2020年に読んだ本 (その2)

            【 2020年に読んだ本 つづき 】

㉞ なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか      望月 衣塑子、佐高 信  講談社

  政権に対する容赦ない追及の鋭さで一躍名を馳せた東京新聞記者望月と硬骨の論客

      佐高の対談である。安倍政権の様々な問題に対する追求を中心としてこれに伴う官

  僚全体の疲弊化と検察の弱体化、及びマスコミの対権力の姿勢の後退と右傾化につ

  いて論ずる。

 

 日本会議の研究  菅野 完 扶桑社新書

     2012年安倍内閣発足以来、特定秘密保護法、集団的自衛権に関する閣議決定、安保

     法制の強行採決と傍若無人を続け、更にモリカケ問題、桜を見る会問題を抱えて遂に

     政権を投げ出した、この安倍政権を支えた政策的支柱となっていた「日本会議」なる

     ものゝ成り立ちと実態を解明した快書である。

 

㊱ 天馬賦   石川 淳  中公文庫

      極めて現実感溢るゝ物語は一転して虚構の世界に入り込む。一大ロマンの豪華絢爛

      たる一大絵巻きが繰り拡げられる。リズム感ある独特の文体に乗せられて息もつか]        せぬ力技はまさに見事。

 

㊲ 封建制の文明史観   今谷 明    PHP選書

     封建制は民主制の反対概念として悪しきものとされてきた。しかし蒙古軍の世界的な

     侵略に対して日本、ドイツ、エジプトではその侵略を防いでいる。いずれも封建制が

     確立していた。尚資本主義も封建制が根づいた地域から発展している事からみて、こ

     の事をどうとらえるか。戦前、戦後様々な歴史学者等が封建制とはなにかについて問

     題を提起している。

 

 天門  石川 淳  集英社

      青年弁護士 遠矢東吉は世俗の世界にのり出す。恋と冒険の物語。例によって現実と

      虚構が入り混じり、不思議な世界に我々を巻き込む。

 

 夷斎先生座談 ( 上・下) 石川 淳  中公文庫

  夷斎先生こと石川淳が武田泰淳、川端康成、安部公房、吉川幸次郎、中野重治、三

  島由紀夫等を相手とし歴史、人間、芸術、文学、江戸と西洋、歌仙の世界、中国古

  典、徂徠とヒューマニティ等々多岐にわたって談論風発。石川淳の博覧強記振りを

  遺憾なく発揮している。

 

 夷斎先生  石川 淳    文芸春秋社 

      芸術家の人間条件、革命とは何か等語り尽くす。1987年石川淳死去によって最後の

      文人が失われた感あり。

 

 日本の思想  丸山眞男  岩波新書 

    7月4日付け ブログに掲載

 

㊷ 諸国畸人伝  石川淳 全集10巻より

    9月22日付け ブログに掲載

 

 図書館巡礼  スチュアート・ケルズ  早川書房

     知の集積所として図書館がいかにして創られたのか。古今の図書館は町の権力者が

     文化の保護者として又権力の飾り物とも云うべき壮麗な建物をつくり世界中の珍書、

     古書を集めた。それは現代に至るまで各国の図書館は文献の保守、保存、獲得に心血

     を注いで今日に至っている。愛書家たちは稀覯本の収集に熱中し、稀覯本をめぐる犯

     罪にも頁をさいて読み物としてもまことに熱の入った一冊である。

 

㊹ 鶴見俊輔全漫画論  松田哲夫編 1.2.ちくま学芸文庫

      鶴見は最初の本として「団子串助」をとりあげている。奧付けは大正14年3月5日で

      あるが、この本を繰り返し何度となく読み返しており、その後もまんが全集の計画

      に参画する等ずっと係わりあってきた。長谷川町子から白土三平の「カムイ伝」、

      滝田ゆうの「寺島町奇談」から水木しげる(水木しげるには相当のページ数を費や

     している)、つげ義春について詳細な分析を加えてもいる。鶴見は幼年時代から老年

     に至るまで、大量の漫画本を集め、スクラップをつくり、関心が衰えることがなかっ

     た。漫画論1,2を通じて哲学者鶴見俊輔は漫画本に現れた日本の文化を学門的に考

     察している。鶴見が漫画に詳しい事を知ったのは岩明均の「寄生獣」を推選している

     のをどこかで見て早速読んでからである。「寄生獣」は期待に違わぬ出来であった。

 

㊺  18世紀京都画壇   (蕭白、若冲、応挙たちの世界)  辻 惟雄    講談社選書メチエ

     京都に於ける絵画の部門のルネッサンスと云うべき時代が繰り広げられた。

   この時代は日本絵画は狩野派、土佐派等手法の伝承などを重視した形式主義とも云え

   る殻を破って新しい表現が現れた。それは集団ではなく各々の画家の個性であったの

   である。

   江戸時代の将軍の威光のもとで輝きを失いつゝあった絵画芸術は京都という比較的

   自由な雰囲気の中で台頭してきた町人に依拠して、新しい表現者が生まれてくる。

     それが与謝蕪村、蕭白、若冲達であったし18世紀から19世紀初めにかけて、京都画

   壇は多士済々の人を生んだのである。尚応挙の弟子の長沢蘆雪は蕭白や若冲に比し

   て、人気も評判も今一つの感があるが動物を描かせては当代一の実力者であり、月

   夜山水図等の山水画も誠に魅力的であると思う。

 

 検証 ( レッドパージ 電力産業労働者の闘いと証言 ) 編集 益子 純一

        9月 14日付け ブログ掲載

                          ( 続く )