和田 大諷

東京葛飾区金町在住

佛画・書・刻字・篆刻を制作

20数回の個展を都内、ひたちなか、ロスアンゼルス、サンクトペテルブルグで開く。過去の個展は展示会の項目をご覧ください。

 

2021年鳩居堂の個展(2021年3月30日~4月4日予定)は延期となりました。新たな開催予定が決まりましたら

本ページにてお知らせ致します。

  

著作 

 2014年2月

  「大諷の映画狂時代」

  2018年1月「大諷のへそ曲り

            読書日記」

  2019年7月  「大諷の観音の道」

  2020年11月  「大諷の無辺楽事」

 

ボクシングは若い頃からのファンにして、頭の中に過去の試合やボクサーの名前が詰まっている。

毎週月曜日のTV観戦記の記事は公平な目での厳しい批評が面白い。世界戦代表的試合は殆ど欠かさずアップしています。

 

 

2020 年に読んだ本  (その1)  

① 熱源 川越 宗一  文芸春秋社

 

② 長いお別れ    レイモンド・チャンドラー

  物語にかゝわる周囲の状況の説明が不必要に描かれておりおり必然性に

  乏しい。物語の流れを阻害しているようだ。

 

⓷ 古本で見る昭和の生活  ちくま文庫  岡崎 武志

 

⓸ キス・キス  ロアルド・ダール  ハヤカワ文庫

 

⑤ 王女マメーリア    〃        〃

  共に短編集であるがまことに心地よい読み物である。

 

⑥ 少年  ロアルド・ダール     早川書房

 

⑦ 単独飛行   〃          〃

  ダールの少年時代と青年時代、イギリス空軍での上流社会での活躍をえがく。

  少年時代はヨーロッパの上流家庭の典型でジッドの「一粒の麦も死なずば」に類似

  している所がある。

 

⑧ 古書店主  マーク・ブライヤー  ハヤカワ文庫

 

⑨ 無実はさいなむ    アガサ・クリスティー  ハヤカワ文庫

  古書店主は古書周辺の話が面白い。クリスティーの話は読ませるが詰めの部分が

  極めて弱い。

 

⑩ 数の女王  川添 愛  早川書房

 

⑪ 石器時代の文明  リチャード・ラジリー  河出書房新社

  紀元前1~2万年前から5千年前、人類の知的レベルが果たしてどうだったか等

  記述がある。

 

⑫ 崩壊学  パブロ・セルヴィーニュ/ラファエル・スティーヴァンス  早思社  

  現代の社会制度、エネルギー問題、異常気象の頻発、ITの進歩に伴う危機等 

  危機感に溢れた作品。

 

⑬ yの悲劇  エラリー・クィーン  ハヤカワ文庫

   ミステリーの古典

 

⑭ 一粒の麦も死なずば  アンドレ・ジッド  新潮文庫 堀口 大学訳

  ジッドのエリート意識と超人思想らしきものがかいまみえる。同性愛がひろ

  がっていた事もうかがえジッドがお稚児を玩弄する癖を有しているが、それを些

  かも恥じる様子もない。プルーストの「失われた時を求めて」のシャルリス男爵

  の同性愛が詳細に述べられているように、上流階級に同性愛が少なからずいた事

  がジッドにもみえる。

 

⑮ 丸山眞男座談全9巻   岩波書店

  1946年から1995年に亘る、多様な人達との座談であるが、何故日本が第二次

  大戦に突入したのか、国民の支持なくしてはそれは不可能であったが、その思

  想的根源は何か、国民の手で戦争犯罪を裁くことなく戦後に移行した結果がど

  のように今日の社会に禍根を残しているか、再び反動化が進む今日、その事を

  一貫して追求している。

 

⑯ 丸山眞男回顧談2巻   岩波書店

 

⑰ 戦中と戦後の間  丸山 眞男  みすゞ書房

    (1936年~1957年)

 

⑱ 加藤周一著作集 全24巻    

  戦後日本を代表する知の巨人の政治、文化、芸術、社会に亘る評論であり人生の

  半分は外国で活躍、日、英、独、仏、伊語に通じて、その博覧強記振りはまさに

  脅威的である。中でも必読は「日本文学史序説」である。

 

⑲ 海の都の物語   塩野 七海  中公文庫

  ローマ帝国末期ヨーロッパの恐怖の底に叩き込んだアッティラ・フン族の侵略の

  中で、ヴェネツィア人はいくつもの河川によって出来た平野地帯に住んでいたが

  逃れるみちは唯一海であった。葦が繁る干潟地帯へ逃れたが、しかしそれでも侵

  略者を防ぎきれず、住居を造る木材を持って更に奥の干潟へ避難したのである。

  船の通り路をつくり、その他に杭を打ち込んで侵入を防いだ。ヴェネツィアはや

  がて海運国家としてイタリアを代表する都市を創出する。最盛期でも15万人の人

  口しか有していなかったが、強力な海軍を有し、共和国として1000年の永きに

  亘って繁栄を続けた。その外交手腕と政治力には目をみはる。

 

⑳ リゴ兄弟     ジョルジュ・シムノン  集英社

 

㉑ ピセドールの環  ジョルジュ・シムノン  集英社

       ブログ掲載ズミ

 

㉒  異邦人   アルベール・カミュ   新潮社

  1942年独軍占領以来最高の書としてパリ、ガリマール書店から刊行され、一躍世界

    中で注目される作家となった。「人生の不条理を描いた」異邦人は戦後の人々に共

    感をもって受け入れられたのである。主人公ムルソーは人生の不条理を明瞭に意識

    している人間として前半は「不条理人」の自分を通して語られ、後半は同じ行為が

  社会にはどう受け止められるかを描いている。第一部の「けさ、ママンが死んだ」

    の有名な出だしとなり、暑い砂浜でアラビア人を銃で撃ち殺して裁判にかけられ、

    何故殺したのかを問われて「それは太陽のせいだ」と答えるくだりも、世間に宣

    伝された。

 

㉓ 文豪が愛した映画たち   根本 隆一郎編  ちくま文庫

    福永武彦、高見順、井上靖、林芙美子等40人に及ぶ作家が各々の見方で様々な映

    画について作家らしい論評を加えている。福永の「怒りの葡萄」の中で新藤兼人

    の「縮図」と比べて同じ貧しさを描いても、救いのない「縮図」に対してアメリ

    カの楽天主義がこの作品にある等、みるべき観点が多く語られている。

 

㉓ 荷風追想 岩波文庫 多田 蔵人 編

     荷風と云えば劇場の楽屋に入り浸り、終日裸の踊り子達に親しみ花柳界の裏側を

     かき、吝嗇で無類の人嫌い、特に文壇の作家を忌み嫌い、孤獨の人だったが通説

   である。しかし英語、仏語を能くし、西洋文化と江戸文化に造詣が深く、戦中斎藤

     茂吉、高村光太郎、武者小路 実篤等多くの作家が日本の軍事行為を賛美する中で荷

     風はこの風潮に組する事はなかったのである。作家嫌いの荷風にも拘わらず谷崎潤

    一郎を始め多くの作家達が荷風の作品、行いに尊敬の念を抱き、その作品を高く評

    価していた。特に戦前、戦中の作品が素晴しく、断腸亭日乗、随筆、雨潚潚 等に

    表した社会批評は今もって新鮮で鋭いものがある。

 

㉕ 深夜散歩 福永武彦、中村真一郎他著名作家が探偵小説を取り上げて

                    各々評論している。特に福永武彦は他のペンネームを使って

                    数編の探偵小説を書いており、各々の文章が面白い。

 

㉖   鴎外先生  永井 荷風  中公文庫

     荷風は同時代の作家で唯一尊敬し、崇拝していた鴎外への賛歌である。

 

㉗ 自由への道    サルトル (全3巻)  人文書院

      現実の社会と同時進行の形で描かれた仏社会で、3巻終了で中断したもの。

      フランスの全体小説である。知識人マチュを中心とした戦争前夜と戦中を様々な登

      場人物の立場や思いで進行している。

 

㉘ 日本人の歴史  網野 善彦 全3巻 岩波新書

     網野善彦著作集全18巻別巻1で繰り拡げられた網野史観を一般向けに解りやすく

     書かれたもので、私が学校で習った事と全く異なる主張に著作集は驚きの連続で

     読んだものだが、新書版3冊はコンパクトにその主調がまとめられている。

 

㉙ 網野善彦を継ぐ 中沢 新一、赤坂 憲雄   講談社

  中沢は義理の甥に当り歴史学者赤坂と網野の人となりを興味深く語り合う。

 

㉚ 僕の叔父さん  中沢 新一  集英社新書

  中沢の父親厚の妹真知子の結婚した相手が網野である。

 

㉛ 奇想の系譜   辻 惟雄 ちくま文芸文庫

  絵巻物の生命は室町時代に終焉を遂げたと言われているが、17世紀前半の絵巻

  物には極彩色の特異なものが存在する。なんとも卑俗でアクが強く反撥と嫌悪を

  感じるのがせいぜいの代物であるが、興味をそゝる対象であるとの前置きがあり、

  先ずそれら作品の冒頭に「山中常盤」がとりあげられている。

  全巻150mという長大なもので牛若丸伝説を主題にした室町時代のものである。

  牛若丸が常盤の仇討ちとして押し入った盗賊どもを不意をついて片はしから首を

  刎り、胴切りと凄まじい情景描写が異様な現実味を漂わせている代物である。

  血なまぐさい戦乱の記憶がいまだ生々しく留めていた時期であった事をうかがわ

  せる。後藤又兵衛、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪等がとりあげられている。

  「奇想の系譜」は1970年3月美術出版社から出版されたもので取り上げられた

  画家たちは当時さほど評価されておらず、かなり先駆的なものである。

 

㉜ ピラネージの黒い脳髄   マルグリット・ユルスナール

       ブログに掲載済み

 

㉝ ペスト    アルベール・カミュ 新潮社

  19x4年 仏領アルジェリアのオランで起こったペストは町に鼠の死骸が数多

  く出現する不穏な事態から始まる。やがてペストは猖獗を極め町を席捲する。

  町は交通を遮断され孤立、主人公リウーは医者として治療に奔走する。司祭や判

  事、新聞社ランベル、犯罪者コタールはペストによって大きく変貌一方で、医者

  リウーやタロー等は変化しない。又無神論者ソウーと司祭は対立するも結果的に

  殆んど一致するが、ヨーロッパに於いて神の存在をめぐる事は極めて重要なのだ

  という事を改めて考えさせられる。様々な人達が様々な意見を有し、主張する重

  層的な物語となっている。又ペストに罹災した人々の記述も克明に語られて濃密

  な作品となっている。60年振りに再読したもの。

 

10月26日以降の分へつづ ・・・・