和田 大諷

東京都 葛飾区金町在住

佛画・書・刻字・篆刻を制作。

個展は都内、ひたちなか、米国のロスアンゼルス、ロシアのサンクトペテルブルグで開催、20数回に及ぶ。

過去の個展は展示会の項目をご覧ください。

 

鳩居堂「和田 大諷 の個展」終了の

お知らせ

  2022年4月の第7回の個展を

  持ちまして個展開催は終了と

  致すことになりました。

  

  これ迄度々個展に足を運ん

  で下さいました皆様に心より

  お礼申し上げます。

 

  作品の作成および発表は本

  ホームページにてこれ迄通

  り行います

  引き続きご覧くださいます

  ようお願い致します。

     2023年 1月 1日

     

 

   

著 書

 2014年2月

  「大諷の映画狂時代」

  2018年1月「大諷のへそ曲り

            読書日記」

  2019年7月  「大諷の観音の道」

  2020年11月  「大諷の無辺楽事」

  2021年11月「続 ・大諷の無辺楽事

         ボクシング編」

  2022年 10月

          和田大諷「金泥の世界 」

 

ボクシングは若い頃からのファンにして、頭の中に過去の試合やボクサーの名前が詰まっている。

毎週月曜日のTV観戦記の記事は公平な目での厳しい批評が面白い。世界戦代表的試合は殆ど欠かさずアップしています。

 

 

ビデオ『鉄西区』( WEST OF TRACKS)をみる

ビデオ 「鉄西区」ーWest of Tracks

 

監督 撮影 王 兵 (中国)2002年度製作 

  一部 工場  244分

  二部  街  178分

  三部 鉄路  134分  

      計 556分 9時間16分の大作ドキュメントである。

 

第一部 「工場」占領軍としての日本が現地に残した銅精錬工場などを基にした中

国の計画経済の遺産は2000年頃まで50年に及び稼働し続けた。しかし工場の老朽化に

より次第に経営の行きつまった国営工場での低賃金、長時間労働、劣悪な労働環境の中

で働く労働者の日常を執拗に追う。将来の全く見えない仕事の中での無気力な仕事振り

と僅かの休憩中にカードで憂さを晴らし、些細な事で諍いを繰り返し、絶えず 煙草を

吸う人々。

 

彼等は自分達が今後どのような行く末が待っているのか全く分からずに未来へと投げ出

されるのだ。男達に比べて僅かに映像にとらえられた女性達の元気な姿にはホットさせ

られる。

中国共産党の目指す社会主義とは一体何だったのであろうか。労働者の悲惨な実態が非

情なまでに映像で暴き出されている。

 

第二部 「街」この鉄西地区の労働者たちの工員向け住宅で両親と暮らすティーンエー

ジャーの生活に焦点をあてゝ描いている。老朽化した工場群は廃止され、住宅も取り

壊されることが決まっている。早々に家財道具を車に乗せて新しい共同住宅ヘスタ引っ

越す人達。どうすのか迷う人達、そして立ち退き絶対反対を貫く人達と様々な対応を

描く。

若者達はそうした中でも明るく生きているが、この鉄西地区の労働者の家族達は新しい

共同住宅でどう生活していくのか。家賃、電気代や水道代等の公共料金はどうなるのか、又仕事はあるのか、ここまでは一切描かれていないが絶望的な結末が窺えるのだ。彼等の行く先は真っ暗である。

 

第三部 「鉄路」 鉄西地区の工場群をつなぐ貨物路線24㎞とそこで働く労働者、鉄

道の敷地内で不法に小屋を建てゝ住み、鉄道に依存して生活する人達すべてがやがて廃

止される鉄道のあとどうするかが先の見透しもないまゝ唯今までの仕事や生活を続けて

いる。

 

このドキュメンタリー映画の特徴は製作者の主張を盛り込む事を控えて一つの時代の終

焉という出来事に向かい合い、これを記録することによってその時代の政治、社会のあ

り方、中国国民の生活実体を炙り出す事に成功しているのだ。

 

この監督の製作した「死霊魂」は2019年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で最優秀

賞を獲得し、近日中に東京でも上映される事が決まっている。これも9時間に及ぶ大作

であり、上映が楽しみである。