「日本会議の研究」菅野完著読む

本書は「安倍政権の暴走が止まらない」から始まる。安倍首相はもとより主要閣僚のこぞって幼稚すぎる無軌道な発言が続出しているのは何故か、その基に日本会議が見えかくれしている。日本会議のWebサイトに「日本会議が目指すもの」というコーナーが設けられており、

1、美しい伝統の国柄を明日の日本へ

2、新しい時代にふさわしい新憲法を

3、国の名誉と国民の命を守る政治を

4、日本の感性をはぐくむ教育の創造を

5、国の安全を高め世界の平和貢献を

6、共生共栄の心でむすぶ世界との友好を

をあげている。

 

その主張は陳腐極まりないが、実に現政権閣僚の8割以上が日本会議国会議員懇談会に所属している事を考えると、もはや安倍内閣は日本会議のお仲間内閣と言っても過言ではない。まことに容易ならざる事態と言って良い。

そもそも日本会議の出発点は社青同(社会党の青年部)が占拠し授業中断が続いていた長崎大学を生長の家信徒の学生がこれを正常化に成功し右翼学生の希望の星となった。1969年椛島有三を中心として「民族流の全学連」を結成する。そのあと1970年「日本青年協議会」を結成する。(書記長椛島有三)

 

1983年生長の家は政治的活動から一切手を引くのである。生長の家を母体としてやがてこれから離れ1977年日本会議を結成組織を拡大。神社本庁を始めとする様々な神道系の宗教団体、新興宗教団体が関わっており改憲や教科書右傾化や、元号法制化などの運動を執拗に続けて、市町村議会にも積極的に働きかけており署名活動もデモにも積極的である。日本会議の中心人物は椛島有三、安藤巌、衛藤晟一、百地章、高橋史郎の面々であると菅野は述べている。

 

現政権の主張はほぼ日本会議が先行して主張してきたものを後追いしている。

首相や閣僚が靖国神社に参拝するのも何故か今一理解出来ないものがあったが、彼等は日本会議の一員として本気で明治憲法の復権を考えているのである。

 

今話題の森友学園の籠池理事長も日本会議の有力会員で幼稚園を会議場所として日本会議に提供している。彼等は思想的に同志であり小学校開校や国有地値引に協力するのもしごく当然であるのだ。安倍首相も昭恵夫人も鴻池議員も森友学園の教育方針、幼児達に教育勅語を暗誦させている姿に感銘を受けているのもうなづける事である。

又、2015年6月10日集団的自衛権を合憲とする憲法学者がこんなに居ると菅官房長官が挙げた人物はたった3人

長尾一紘 中央大学名誉教授

百地 章 日本大学教授

西 修  駒沢大学名誉教授

でいずれも日本会議の関連団体の役員であることも挙げておきたい。

私達の考えている範囲を遥かに超えて政府は明治憲法の皇国日本、軍国主義日本の復権を本気で願い、その完遂を追求している人達が占有しているのである。

 

○日本会議の研究

扶桑社新書 ¥800+税

 

○偽りの保守 安倍晋三の正体

岸井 成格

佐高 信

講談社新書 ¥800+税

○徹底検証 安倍政治

岩波書店 中野晃一編 ¥1900+税