和田 大諷

東京葛飾区金町在住

佛画・書・刻字・篆刻を制作

20数回の個展を都内、ひたちなか、ロスアンゼルス、サンクトペテルブルグで開く。過去の個展は展示会の項目をご覧ください。

 

次回鳩居堂での個展は2019年4月2日(火)から7日(日)の予定です。

 テーマのひとつが「紫式部日記」を紺紙銀泥の巻子にまとめたもので、これまでの文字より半分の細字にして上・下を一巻に纏めることが出来た。

なお 恒例の東大名誉教授大場 秀章先生の講演内容も「紫式部日記」と植物がテーマとなります。

 

著作 2014年2月

    「大諷の映画狂時代」

   2018年1月「大諷のへそ曲り

     読書日記」

 

ボクシングは若い頃からのファンにして、頭の中に過去の試合やボクサーの名前が詰まっている。

毎週月曜日のTV観戦記の記事は公平な目での厳しい批評が面白い。世界戦代表的試合は殆ど欠かさずアップしています。

 

 

クリント・イーストウッドのダーティハリー

イーストウッドは若い頃の1959年テレビで放映された「ローハイド」あのフランキー・レインの主題歌で有名、3000頭の牛を運ぶカウボーイ・リーダー、ギル・フェイバーの

補佐役、若くて頼りないロディ・エイッ役を演じていたが(注下記)1964年セルジョ・

レオーネ監督のマカロニ・ウェスタン「荒野の用心棒」で大ブレーク。


引き続いて「夕日のガンマン」「続夕日のガンマン」で人気スターとなった。

そして71年ドン・シーゲル監督のもと当たり役「ダーティ・ハリー」シリーズを世に出すのである。

その内容は物議を醸したが、アメリカ映画の中では評価すべき作品と言えよう。


第一作 

変質者「サソリ」がプールで泳ぐ少女を銃殺するところから始まり、ハリーが逮捕する

が容疑者の同意ない証拠品の回収や逮捕状のない強制逮捕は無効と判断されて釈放され

てしまう。

市のお偉方や、警察の上層部は警察の日頃からの横暴に対する市民の批判を恐れて、及

び腰であり、事なかれ主義に徹して事に当っている。
犯行はエスカレートし、最後はハリーに撃たれ海に落ちて死ぬ。警察上層部はハリーに

苦情を申し立てる。やりすぎだと。

 

(注)50年代の後半、TVではアメリカのドラマが数多く放映されていた。

ロバート・フラーの「ララミー牧場」、ウェンデル・コーリーの「ハーバー・コマンド

」、スティーブ・マックイーンの「拳銃無宿」、ブローデリック・クロフォードの「ハ

イウェイ・パトロール」、チャック・コナーズの「ライフル・マン」、ロバート・スタッフの「アンタッチャブル」、チャールズ・ブロンソンの「カメラマン・コバック」、ロバート・ヤングの「パパは何でも知っている」、そして「ヒッチコック劇場」等で30分ものが大半。
「ローハイド」は1時間ものであり各々見せ場があり、そこそこの内容をもった作品群

であったように記憶している。やゝ遅れてビック・モロー、リック・ジェィスンの「コンバット」と続く。

 

第二作
法に則った捜査でないかぎり、どんな凶悪な犯罪でも見逃されるアメリカ社会に危機感

と憤りを持った交通課に所属する射撃自慢の若き警官グループが白バイを使って次々に

私的制裁を下す。
次第にエスカレート、凶悪犯のみならずスピード違反の運転者まで射殺するようになる。
彼等ははみ出し者で射撃の名手。警察のあり方に不満を持つハリーに目を付け仲間に引

き込もうとする。断ったハリーに対して、彼等は秘密を守るべくハリーを抹殺する事とし、自宅に爆薬を仕掛けたり、様々な攻撃を加えるが結局全員ハリーに殺される。

 

第三作
裁判の証人を護送する任務についたショックリーは娼婦で若き証人を連行する。

遂行状況をコミッショナーに電話で連絡するが、連絡先を警察車両が急襲、家は集中

射撃を受ける。
州境まで応援を依頼するが待ち構えていたのはパトカーで、一斉銃撃を受けて、始めて敵はコミッショナーである事に気づく。証人の娼婦を買い変態プレーを強要したことが明るみに出る事を阻止する為に、地方検事も味方にしての仕業であった。

バイクで逃走中ヘリから銃撃を受けるが、ヘリは高圧線に引っかゝり炎上、ショックリーは循環バスを奪って、天井、前面、側面を鉄板で補強して証人と共に裁判所を目指す。


裁判所の前、道路の両面、ビルの屋上に多数の警官を配し、雨あられの銃撃が浴びせられ、バスは蜂の巣になるが裁判所に乗り込む。その意気込みに警官の銃撃は止み、コミッショナーと地方検事の不正は暴かれる事となる。
(ダーティ・ハリー・ シリーズとは別物であるが同一傾向の作品の為加えた。

刑事の名前はショックリー刑事)

 

第四作
過去、姉妹で集団暴行を受けた姉が復讐を計る。妹はショックで精神を患い、いまだ入院中で意思の疎通は全く出来ない。
次々と目的を遂げるが、最後に残った暴行犯から追われ、遊園地の回転木馬を舞台にして大立回りがあり、犯人達は潰滅、彼女の話を聞いたハリーはその殺人を見逃す事にするのである。


三,四作の共演者は当時愛人と目された、サンドラ・ロックである。

 

第五作
新人女性警察官(市上層部が人気取りで採用した)とコンビを組まされたハリーは

「やってられねえ」と呟く。彼女を戦力として評価せずに放置して仕事に掛かるが、

彼女の熱意に次第に絆されていく。

革命軍を名乗る武装グループは武器庫を襲って、マシンガンから追撃砲まで略奪し、

市長を捕虜として孤島に立てこもり、身代金と逃亡の為のヘリコプターを要求する。


ハリー達2人は上層部の意向を無視して島に上陸、市長を救出して、犯人グループは

全滅、女性警官は犯人に撃たれて死亡する。
警察幹部がヘリで飛来、身代金とヘリを用意したから、市長を解放するように機上から

繰り返しアナウンスする。

 

ダーティーハリーこと刑事ハリー・キャラハンは事なかれ主義の市のお偉方、警察の

上層部の意向を無視し、のさばる凶悪犯人を拳銃と腕っ節の強硬手段で制圧、事件を

解決して行くが、その乱暴な手段がマスコミの恰好の目標となり上層部は困惑し、ハ

リーに様々な処分を行うが、事件解決の実績がある為に、無碍に出来ないアメリカ社

会の退廃振りが色濃く語られると共に、支配層に蔓延している事なかれ主義とこれに

対する絶望感と苛立ちが巧みに描き出されている。


ハリー・キャラハン役のイーストウッドが誠に魅力的である。それにしても、後年監督として大成するとは思ってもみなかった。