和田 大諷

東京葛飾区金町在住

佛画・書・刻字・篆刻を制作

20数回の個展を都内、ひたちなか、ロスアンゼルス、サンクトペテルブルグで開く。過去の個展は展示会の項目をご覧ください。

 

次回鳩居堂での個展は2019年4月2日(火)から7日(日)の予定です。

 テーマのひとつが「紫式部日記」を紺紙銀泥の巻子にまとめたもので、これまでの文字より半分の細字にして上・下を一巻に纏めることが出来た。

なお 恒例の東大名誉教授大場 秀章先生の講演内容も「紫式部日記」と植物がテーマとなります。

 

著作 2014年2月

    「大諷の映画狂時代」

   2018年1月「大諷のへそ曲り

     読書日記」

 

ボクシングは若い頃からのファンにして、頭の中に過去の試合やボクサーの名前が詰まっている。

毎週月曜日のTV観戦記の記事は公平な目での厳しい批評が面白い。世界戦代表的試合は殆ど欠かさずアップしています。

 

 

映画「ホース・マネー」を観る (ユーロースペース)

冒頭20世紀始めのニューヨーク スラム街の写真が数枚写しだされる。
ポルトガル・リスボンの廃墟のような建物の中を裸のヴェントゥーラが降りてゆく。

牢獄のような建物にもみえるが精神病棟のようでもあり、病室は比較的清潔に保たれ

ている。彼は医師の質問に19歳3ヶ月(年齢)で今日は1975年3月11日だと語る。

 

待遇に不満を持ち植民地戦争に疑問を抱いた若手将校を中心に「国民運動」が盛り上ってスピノラ前大統領による軍事クーデターを粉砕して民主化は一挙に加速した。
兵士達がリスボン市民からもらったカーネーションの花を銃口に刺したことからカーネーション革命と呼ばれたのが3月11日であった。
しかし当時ポルトガルにいた10万人に及ぶ黒人移民達にその恩恵が及ぶことはなかったのである。

革命にも歴史からも無視された多くの黒人達をヴェントゥーラが体現しているのだ。

 

若き日のヴェントゥーラが革命軍に捕えられる場面が出てくるが、映像は彼の老人の現在の姿である。
突然ヴィタリナというアフリカ西部のカーボ・ウェルテ出身の女がヴェントゥーラの見舞いに現われる。また夫の死亡通知をみて早速やってきたのだと云い、夫と自分の婚姻証明を読み上げる。彼女はこの後再三登場してくる。

廃墟となった昔働いていたレンガ工場の中や病院の中をパジャマ姿やパンツ一枚、シャレたシャツとスラックス姿で歩き回るヴェントゥーラ。

病院のエレベーターの中で武装した反革命軍とおぼしき兵士と対話するヴェントゥーラ。

彫像化している過去の兵士で口も利かない。声はヴィタリナを始めとする様な人物の声がひびき、ヴェントゥーラと時空を超えて対話する。

やがてヴェントゥーラは退院する。

 

 題名「ホース・マネー」について。
ヴェントゥーラは「マネー」という名の馬を故郷に残し「マネー」を得るためにポル

トガルに移民した訳だが、馬は奴隷の取引にも利用され、また飢饉の際には食用肉と

もなった。「ホース」は「マネー」なのであった。

 

この作品は山形国際ドキュメンタリー映画祭2015年でグランプリにあたる大賞を受

けている。
監督はポルトガルの鬼才ペドリ・コスタ。