夜咄の茶事

茶事7式の一つである夜咄の茶事が「拙政居」にて行われた。

 

正客は河野さんと私達夫婦2人。先ずは汲出しのあま酒、炭手前を全員で拝見したあと、手燭の和蝋燭のみの照明による夜咄が始まった。

薄茶と次いで向付けに鯛こぶ締め、莫大、三つ葉。酒は香露大吟醸が出され、味噌付けはよもぎ麩、カラシ。椀は水前寺のり、真丈、菜の花、人参、木の芽。

焼物は鰆粕漬け(魚久)、進肴は竹の子、ふき、ワカメ、同小柱入りぬた(菊の井)。

箸洗はへぎうめ。八寸は子持昆布、アスパラ。香物は沢庵、日野菜で懐石は終了。


中立のあと、床の飾りが替わって主菓子に西王母(鶴屋八幡)、干菓子に彩紋、

うめせんべい。

 

封切の濃茶は良く練られて絶品。薄茶が出されて、道具拝見のあと無事終了した。

席主は石井宗翠さん。女性3人は40年以前に共にお花の稽古に通って以来、2人はお茶に、1人はお花に各々弟子を有して毎日忙しくしている。

気心の知れた友人で誠に和やかで気持ちの良い茶会ではあった。

(注)「拙政居」は大諷命名で、現在の拙い政治と同じように拙い住いの意である。