12月8日 朝日新聞による

フランスの地方選が6日投開票され、移民批判を重ねる右翼政党、国民戦線(FN)が全13選挙区のうち6選挙区の得票率で首位に立った。
パリの同時多発テロで広がる国民の不安を取り込んで躍進した。得票率はFN28%、サルコジ前大統領の率いる中道右派の共和党が27%、政権与党社会党の23%であった。

 

同時多発テロでの犠牲者は130名に及び、戦争状態と認めた社会党政権のオランド大統領は非常事態を宣言したと報じた。

 

また12月1日付日経新聞(英、ファイナンシャル タイムズ特約記事)2017年についての
悪夢を見た。その中でトランプ大統領、ルパン大統領、そしてプーチン大統領がいた。
殆どの悪夢と同様、これが現実になることはおそらくないだろう。

だがドナルド・トランプ氏とマリーヌ・ルペン氏がそれぞれ米国とフランス大統領選挙戦を優位に進めているという紛れもない事実は欧米のリベラルの民主主義の健全性に何か憂慮すべきことが起きているサインだ。

混乱と恐怖の時代に有権者は「強い」国家主義的な指導者ーロシアのプーチン大統領の欧米版ーに傾きたい誘惑に駆られているようだ。=途中略= 欧米の政治では何が起こっているのだろうか。

大まかには従来の政治エリートに対する信頼が失われ、過激な代表者を求める動きがある。背景には主に4つの傾向がある。経済不安の高まり、移民に対する反発、テロへの恐怖、そして従来型メディアの衰退だ。


欧米のポプュリストや国家主義者、過激主義者にとり共通のテーマとは主要メディアが討論を抑制し信用ならないエリート層により支配されているということだ。
トランプ氏やルパン氏プーチン氏のような人々は何にでも「真実」だとのラベル貼が出

来る。経済的、社会的、物理的に不安のあるこのような状況下では過激主義が繁栄する

ものだ。

 

さて日本では第2次安倍政権発足以来、立憲主義も、民意も無視して強行した安保法案、
独裁的強権を握って、地方自治も人脈も民主主義も踏み躙る沖縄の基地移転問題、更に
国を売り渡すTPP等国民主権も国の独立さえも、投げ捨てゝ恥じないその暴走にも拘らず、政権支持率は40%を超えているのは不思議といえば不思議であるが、欧米で起きている政治的変化は日本も例外でないことを示していようだ。

1. 1000兆円を超える国の借金  2.  にも拘らずこれを無視して続ける財政政策  3. にも拘らず回復する兆しさえ見えない日本の経済  4.  不正規社員の急増と拡がる国民の貧困化  5. 年金の破綻  6.  原発の恐怖  7.  対外的強硬政策(軍事力と軍事行動の拡大)

将来の希望が全く見えない現状に苛立つ国民の焦燥感、民主主義のあり方に対する不信感が、強い国家主義的な指導者に傾きたい誘惑に駆られているまさに、ぴったり当て嵌まるのである。