加藤周一最終講義 かもかわ出版

かもかわ出版は加藤の講演を積極的に出版してきた。

出版に際して、加藤は丁寧にゲラを読み、加筆修正したが2008年12月に没し、それはならなかった。

 

この本の中で本格的なマルクス主義論を展開しているがマルクス主義とは何か、日本に浸透していった特殊事情などが詳しく語られている。

 

日本社会は市場経済万能論と民営化論で、ある意味、純粋資本主義社会に近くなってきており、それを理解するためにマルクス主義は非常に有効で、資本主義の本質を理解の為にマルクス主義は依然として鋭いと述べている。

 

40~50年前に、「共産党宣言」「賃労働と資本」「賃金価格利潤」を目から鱗の思いで熱心に読んだ事を思い出す。

「資本論」は何度も挑戦して、その都度挫折したが文章に溢れるマルクスの豊かな知性については感服した事であった。