日経新聞「多様性薄れた自民の内実」より

8月17日 日経新聞「多様性薄れた自民内実の」より
政府は7月1日に集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしたがこの方針にたてついたのは党内で村上誠一郎元行政改革相ただ一人異なる意見をぶっつけあう激論にはならなかった。かっての自民党は保守とリベラルの軸足を移す「振り子論理」で国民の不満を吸収した。この幅の広さが長期政権を維持できた理由の一つでもあったが、総主流派体制になっってしまった。

 

村上氏は党の会議の風景に異変を感じているという。「最近は会議中にカチャカチャ音が鳴る。写真を撮って『いくつ会議を回ったか』と自分のブログに載せる。発言しない議員は最初は『歌を忘れたカナリア』かと思った。知っていて言わないのかと、だがそうじゃなくて問題点が分からない。歌を忘れたカナリアなら歌を知っている」と。

 

リベラル派が衰えて多様性が薄れただけでなく、勉強不足で政治家の質が劣化しているなら自民党が抱える問題は深刻になる。

梶山静六、後藤田正晴、既になく。加藤紘一、野中広務、河野洋平、引退。古賀誠、与謝野馨、老い。リベラルと言われた人々はことごとく去り、政治家としての見識が失われた人達のみが自民党を支配している。

 

民主制の時代のローマは、元老院が体制を支え執政官の政治をチェックし、次代の執政官候補者を教育してきたが、初代皇帝アウグストウスの時代に入るや、元老院の権限は次第に失われ、皇帝独裁の時代が始まる。

自民党は戦後政治に於ける元老院の役割を果してきたが、安倍独裁政権によってその役割は失われ形骸化していった。多様性も人物の育成もなく、劣化の一途をたどっているようである。