渡辺一夫 偶感集 上巻(B)より (1947年)

「広津和郎先生がある対談会で次のように言って居られた。」

”現実の政治というようなものについてはある意味で非常にニヒリステックなアナキスチックな気持ちになりますね・・・・・国民が3合の配給を望んでいる。そして一つの政党
が内閣を取って配給をやろうとしていると外の政党はそれがうまくいかないでつぶれ
るのを待っている。それがつぶれて外の政党が立つ。するとその政党が国民に配給できないでつぶれることをまた次の政党が待っている。やり切れないのは国民で・・・・あるいは、もう政党政治の時代ではないのではないか?あるいは政党政治でうまくやっていけぬほど国民も政治家も教養がないのではないか?・・・・” と

 

広津和郎のこの感想は現在の日本の姿をよく観察したものであろうとともに更に深く広いものに触れている。政党の本義や議会政治の本務を忘れ去り各政党がただ政権を握ることを以って政治の目的とするような日本の現状について抱かれる絶望は・・・・

 

山積する諸課題は総て放り投げて解散をのみ叫ぶ自民党、民主党の人気離れに乗じて政策無視の野合を図る維新の会等人間の品格はいずことつくづくこの文章を改めて読む。