現代資本主義の行きつくところ

「現代社会の理論」岩波新書 見田宗介著
GMの戦略としてフォードの場合、機能主義的で非常に堅牢な実用車をT型フォードでたくさん安くつくり成長した。しかしT型フォードは20年位もつため中流階級がみんな車を買ってしまうと売れなくなってしまい、いわば成長の限界に達する。そこをGMは突破した。
当時としては画期的なことにGMは毎年新しいデザインの車を売り出した。車を年次商品にしてしまった。そうすると普通のファッションと同じで5年もすると古くなったと感じ買い替えたくなる。
これでマーケットが何倍にもなった。それ以後の情報消費化社会のメカニズムの原型となったのである。
GMの場合はデザインとクレジットとCMの力であるが、いずれも虚構のマーケットを開発した。
車にはじまった成長は金融機関まで行き着いた。金融商品をどんどんつくればバブル的にまさに虚構のマーケットの空間をつくる実質的な高度成長が頭打ちになったあとで無理やりに成長を続けようと思ったら虚構のマーケットをつくるしかない。いづれは必ず破綻するが当面無理に成長を続けるかぎりは虚構の空間を続けるしかない。それは必然なものである。
現代日本をどのような国にしてゆくかのギリギリの選択が求められているが、その認識は現代の政党にみられない。