創エネ・省エネ(1/30 朝日新聞 夕刊より)

デンマークは1985年原子力発電を導入しないことを議会で決定し、代替エネルギーとして地元の市民参加を柱に風力発電を促してきた。大西洋から吹く風は起伏が少ない地形のデンマークにとっては豊富なエネルギー源でもあった。小規模なものも多いが国内には5400のもの風力発電所がある。電力固定価格買い取り制度や初期投資への補助金などの支援策に加え、税制優遇措置などで地元の人が風車に投資できる法的な仕組みも整えられてきた。

08年からは高さ25m以上の風車を建設する場合4.5km以内に住む18歳以上の市民から最優先で投資を募集することになっている。デンマークでは標準的な風車で投資利回りは年10%を超えるとされる。売電収入は7千クローネ(11万5千円)まで非課税でミデルグリン発電所も約1万人の市民が投資している。同国の風力発電産業協会担当者も「普通の株よりリターンがよいので投資したい人が凄くいる」と話した。同国の風力発電拡大の取り組みは温室効果ガスの排出削減のためでもある。20年までに90年レベルで34%削減して、50年には石炭、石油、天然ガスへの依存からの脱却を目指すという。デンマークでは最近森林地帯に大型風車の試験場が作られた。ドイツのシーメンス社は既に出力6千キロワットと4千キロワットの風車を2基建設。6千キロでは地上から羽の先まで197mになるという。世界最大の風車メーカー、デンマークのベスタス社も200m級の風車を作る予定だという。霞ヶ関ビル(197m)を大幅に超える高さだ。ちなみにデンマークの風力発電が占める割合は現在28%である。日本の風力発電の実績は12年度で49基9万2千キロワットである。06年度の257基と比して大幅に後退しているのが実情である。