和田 大諷

東京葛飾区金町在住

佛画・書・刻字・篆刻を制作

20数回の個展を都内、ひたちなか、ロスアンゼルス、サンクトペテルブルグで開く。過去の個展は展示会の項目をご覧ください。

 

次回鳩居堂の個展は2021年3月30日(火)から4月4日(日)の予定です。

 

 

著作 

 2014年2月

  「大諷の映画狂時代」

  2018年1月「大諷のへそ曲り

            読書日記」

  2019年7月  「大諷の観音の道」

 

ボクシングは若い頃からのファンにして、頭の中に過去の試合やボクサーの名前が詰まっている。

毎週月曜日のTV観戦記の記事は公平な目での厳しい批評が面白い。世界戦代表的試合は殆ど欠かさずアップしています。

 

 

試合は「新型コロナウィルス」感染防止対策のため中止されておりましたが再開されました。WOWOW 放映も遅ればせながら再開されましたので気になる試合をお届けします。 2020/8/

会場 米国 コネチカット州アンカスビル モヒカン・サン・カジノWBC ミドル級タイトルマッチ ジャモール・チャーロ vs テレビヤンチェンコ  2020/9/29

会場 アメリカ コネチカット州 アンカスビル モヒカン・サン・カジノ

WBC ミドル級タイトルマッチ   

ジャモール・チャーロ(米)戦跡 30戦全勝22KO Sウエルター級王座防衛戦3度、

             ミドル級王座3度防衛中

 

挑戦者 セルゲイ・テレビアンチェンコ(ウクライナ)戦跡 15戦13勝10KO 2敗

         2敗はダニエル・ジェイコブスとゲンナディ・ゴロフキン 共に世界戦で判定

           に敗れている。

 

1R テレビヤンチェンコはガードを高く揚げて防御を固め、体を前後、左右に動かして

       体を丸めてチャーロの懐に入って接近戦に持ち込み、得意の左フックを中心に連打

       の作戦であろう。チャーロはいつもの通り足幅を拡くして強い左ストレートのよう

       なジャブで闘う。

 

2R テレビヤンチェンコ 左ジャブを多く出しながら頭を小さく振って前に出る。

 

3R テレビヤンチェンコ 前に出るところ、チャーロ左フック、右アッパーで迎え打つ

       が正確には当らない、終盤右打ち落としのフックが頭部にヒット。テレビヤンチェ

       ンコ腰砕けで体勢を崩し、そのあとのチャーロの追撃に危うかったが辛うじてゴン

       グに救われる。

 

4R テレビヤンチェンコ、開始と同時に接近戦での打ち合いに活路を求めてパンチを振

       う。チャーロは左アッパーカット2発でその勢いを止める。

 

5R テレビヤンチェンコ、チャーロをロープに詰めて左右を振るがチャーロの左アッパ

       ー、フックを打たれ、左フックでテレビヤンチェンコの右目尻カット。

 

6R テレビヤンチェンコ接近戦に持ち込むがロープに詰める事は出来ない。入るところ

      にチャーロの強打を受ける為に入る事は出来ても連打する余裕がない。しかし、当

      初考えた作戦通りの闘い方は出来たが打たれてもいるのだ。

  後半戦にどうひびくか?

 

7R チャーロ、6ラウンドやゝ攻められたので積極的に前に出る。

 

8R テレビヤンチェンコ、ロープに詰めて連打するがチャーロにダメージを与える事は

   出来ない。チャーロの左フック、右ストレートのタイミングはピタリと照準が合っ

       てきて、まともに当ればダウン必定の予感あり。

 

9R チャーロの右ストレート2発、左ストレート1発ガードの上ながらヒット。テレビ

       ヤンチェンコ左目尻も切り苦しい戦いとなってきたがガンバル!

 

10R テレビヤンチェンコにドクター・チェックが入る。目の傷の為だ。しかし前進を止

        める事なく闘いチャーロはこのラウンド休み。

 

11、12R チャーロの手数少なくなり、テレビヤンチェンコの前進は止まず12ラウンド

       にはチャーロ、ロープに詰められて連打を受けたところで終了。

 

判定は116:112、117:111、118:110でチャーロ4度目の防衛に成功。

 

テレビヤンチェンコは途中2度程のダウンの危機を迎えたが何とか持ちこたえて、不屈の闘いをみせ、12ラウンドはチャーロをロープに追い込み連打には、見るものを熱くさせた。強豪ボクサー3人と激闘を演じた事には敬意を表したい。

 

一方のチャーロは今度もその強打の威力を発揮してみせたが、強打で鳴らしているチャーロの本当の姿は待ちのボクシングではないかと思われる。

相手が出てくるところに左ジャブ、右ストレート、左右アッパーで迎え撃つのがスタイルのようで自分から相手を追い込むゴロフキンとは異なるようだ。

足幅が拡すぎて、体重がやゝ後ろに残り、これでは攻撃の際連打は出来ない。

又力一杯パンチを振う為か後半失速気味の試合が最近に良く見られるが、スタミナに難

があるようで、チャンスに畳かけることが出来ないのはその不安があるのではと思われ

せた。

 

会場 米国 コネチカット州 アンカスビル モヒカン・サンカジノ⓵ WBA ライト級暫定王座決定戦 WBA ライト級暫定王座決定戦 ローランド・ロメロ vs ジャクソン・マリネス ⓶ WBC Sミドル級タイトルマッチ チャンピオン  ディビット・ベナビデス vs ロアメル・アングロ  2020/9/7

⓵ WBA ライト級暫定王座決定戦

 

ローランド・ロメロ(米)キューバ生れ 24才 戦跡 11戦全勝10KO メィウェザー プロモーション所属の逸材で関係者の評価も高い。WBAライト級7位

 

対戦者 ジャクソン・マリネス(ドミニカ)29才 戦跡19戦全勝7KO WBAライト級6位

 

1R ロメロ左足を大きく出して左ジャブを上・下に打ち、左右パンチを力一杯振って立上る。マリネスは様子見。

 

2R 圧力はロメロだが、距離はマリネスの方が長く、左ジャブが邪魔で接近出来ない。

 

3R ロメロのジャブは身体を沈めて左足を大きく踏み出して打つが、体重は右足にのっ

  いる為に、連続して攻撃が出来ない。ロメロの前進にマリネス巧みに躱して自分の

  パンチは軽いが当たる。

 

4R マリネスの左ジャブがカウンターとなり、主導権はマリネスに。ロメロのパンチは

  全く当らない。

 

5R マリネスのボディワークのうまさが目立ってきて、ロメロの力まかせのボクシング

  にうまく対応、細かいパンチがヒット。

 

6R 攻勢はロメロ。ヒットしているのはマリネス。ロメロは11戦のうち最長ラウンド

   は6ラウンド。1、2ラウンドで決着がほとんどである。

 

7R ロメロは人生初のラウンドに入り、そのプレッシャーは急速に弱まる。反面マリネ

   スの動きは良くなってくる。

 

8R ロメロの圧力に退遁していたマリネスは足を止め正面から打ち合う。

 

9R ロメロ 左目上カット。これに勢いづいたマリネス積極的にパンチを振う。

 

10R ロメロ 中盤前進するがマリネスに出鼻を叩かる。

 

11R マリネスのショートパンチでロメロ足がふらつく。大分弱ってきたようだ。

 

12R マリネスは勝利を確信してボクシングしながらラウンド過ごす。

 

判定は115:113、116:112、118:110 でロメロに上った。

 

しかし116:112や118:110判定は疑問がつく。ボクシングは前進すれば良いものではなく、相手にいかにダメージを与えたか、又はパンチをどれだけ当てたか、試合をどち

らが支配したのかで決まるもの。この試合は中盤から明らかにマリネスのペースで進み、私の判定は115:113 でマリネスだった。

 

スター候補とみられたロメロに傷をつけたくない業界の思惑が垣間見える。

このクラスはワシル・ロマチェンコ、テォフィモ・ロペス、ジャーボンティ・デービス、ホルヘ・リナレスと実力者が揃っており、あまりにも実力差がありすぎる感がある。

 

 

⓶ 同会場 WBC Sミドル級タイトルマッチ

チャンピオン ディビット・ベナビデス(米)23才 戦跡 22戦全勝19KO ニックネームは「RED FLAG」

 

挑戦者 ロアメル・アングロ(コロンビア)36才 戦跡 27戦26勝22KO 1敗 

 

ベナビデス、計量で1.25㎏超過でタイトル剥奪され、ドーピングで過去タイトル剥奪されており今回で2度目。従って勝ってもタイトルは守れず、アングロが勝てばタイトル獲得となる。アングロは22KOのうち1R KOが10回、平均KOラウンド回数は2.0回である。

 

1R アングロ開始早々ロープにベナビデスを詰めて猛然と攻撃するが、ベナビデス完全に

   防御し長いジャブと右フック ボディにヒット。

 

2R アングロ、 ガードを高く掲げてベナビデスをロープに詰めて連打。これを凌いだあ

   とベナビデス、右ボディブロー強烈、アングロの固いガードの内から外からパンチ

   を送り込み、仕上げは左右のボディブロー70%程の力を使用している。

 

3R アングロ突然突進してベナビデスをロープに詰める。これを余裕を持って凌ぐや左

   ジャブ、右ストレートのあとボディに多彩なパンチを浴びせると、たまらずアング

   ロ ダウンしたがスリップと認定される。しかしアングロの勢いやゝ弱る。

 

4~9R ベナビデス、アングロの出るところに左アッパーのカウンター、フリッカージ

  ャブ、左右ストレート、フックと自在に打ち分け、一方的な試合となった。

 

10R ベナビデス倒しにかゝり、力を入れたパンチを浴びせアングロ辛うじて耐えるが、

   この回終了時ギブアップでベナビデスのTKOに終わった。

 

ベナビデスは下半身を使ったパンチは振わずに手打ちであるが、スナップを効かせた

シャープなパンチを上・下、左・右に自在に打ち分け、手数も多いし、スピードも充分。アングロの覗き見スタイルに対し中央を攻め、ガードを締めさせた上で左右のフックを

空いた顔面に打ち、顔面をカバーとみてボディブローを左右から打つ。まさに頭脳的な

ボクシングをみせて完勝した。

 

アングロも自分のスタイルを貫いて突進。あれだけ打たれても終盤までスピードを落と

すことなく闘ったのは余程準備してきたのだと思わせた。

 

このクラスはWBAにカラム・スミス、IBFにカレフ・ブラント、WBOにビリー・ジョー・サンダースがいずれも全勝で並んでおり、WBAレギュラーにサウル・アルバレスがいて、最近になって急速に強豪が並ぶ事となった。

 

会場 米国 ラスベガス MGM グランド カンファレンス センター① Lヘビー級ヘビー級8回戦 エドガー・ベルランガ vs エリック・ムーン   ⓶ フェザー級8回戦 アイザック・ドグボエ vs クリス・アバカス    ③ Sフェザー級10回戦 オスカル・バルデス vs ジェイソン・バルデス             2020/8/31

① Lヘビー級ヘビー級8回戦 

 

エドガー・ベルランガ (米)23才 戦跡 戦13全勝全KO  WBOミドル級12位

 

対戦者 エリック・ムーン (米)29才 戦跡 13戦11勝6KO 2敗

 

ムーン 彼我の力関係を考えて先制攻撃をかけるが、ベルランガ少しも騒がず圧力をかけ

てロープに詰め、左・右ボディブローのあと右フック2発 顔面にヒット、ムーンダウン

して立ち上がろうとしたが足が立たずKOとなる。

これで14戦総て1RKOとした。楽しみな選手がまた一人出てきた。

 

 

⓶ フェザー級8回戦

 

アイザック・ドグボエ(ガーナ)25歳 戦跡 22戦20勝14KO 2敗 

12年ロンドン五輪出場 元WBO S・バンタム級王者 ナバレッティに判定負けでタイトルを失い、第2戦でTKO負け。1年2ヶ月振りの再起戦を1階級上げて闘う。

ニックネームは「勇敢な息子」

 

対戦者 クリス・アバロス(米)30才 戦跡 34戦27勝20KO 7敗 

ニックネームは「ヒットマン」

 

1R ドグボエは163㎝の小柄な身体を有効に使い、スピードを生かして接近戦に持ち込

みパンチの的中率、手数で一貫して圧力をかけて前に出る。

4R の左ボディブロー強烈、このラウンド終了時アバロスにドクターチェックが入る。

やゝ打たれすぎた為。 その後 7R まで試合は一方的となり、8R ロープに詰めての連打

でレフリーストップ、再起戦を飾った。

 

ドグボエはタイトルを獲った頃の凄みはやゝ薄れて平均的な選手になった感がある。

 

⓷ Sフェザー級10回戦

 

オスカル・バルデス(メキシコ)29才 戦跡 27戦全勝21KO

WBOフェザー級王者6度防衛。Sフェザー級転向2戦目。

 

対戦者 ジェイソン・ペレス(米)32才 戦跡 36戦29勝K21O 6敗1分

 

1R ペレスは体力的に優れる利点を生かして前に出る。これに対してバルデスは例に

      よって目一杯パンチを振う。4Rまでこの流れは変わらず、ペレスは5R、体力にま

      かせてペースを握って優勢に試合をすゝめたが、外側から大きく回したフックで

      ペレス ダウン。

 

7R ペレスのパンチ力、スピードともに落ちてくる。

 

8R ペレス前に出るがパンチ力がなく、しかも当らない。

 

9R バルデスの左フックでペレスぐらつくが、めげずに反撃。

 

10R ペレス一発逆転を狙ってロープに詰めるが、バルデスの左フックで2度目の

        ダウン。立ち上がったところに右フックでダウン。レフリーストップ。

 

バルデスは階級を上げて闘うことになったが、その1戦目アダム・ロペスに2回左アッ

パーでダウンを奪われており、今回の試合でも左・右フックが思うようにヒットするが、ペレスの体力に押され続けて決して楽な闘いではなかった。

1.81㎏の体重差は思ったよりもバルデスに重くのしかゝり、今後も苦しい戦いが続く事であろう。大きく振るう左・右フックも自分の体力を削ることになり、もっと鋭いショートパンチを身につける事が大事となる。

 

① WBO S・バンタム級王座決定戦 アンジェロ・レオ vs トレメイン・ウィリアムス ⓶ ウエルター級10回戦 (キャッチウェイト) ホヤ・ペトラザ vs ミッケル・レスピエール                2020/8/17

① WBO Sバンタム級王座決定戦 

会場 米国 コネチカット州アンキャッツビル モヒガンサン アリーナ

 

アンジェロ・レオ(米)26才 戦跡 19戦全勝9KO  WBO2位、WBC5位、IBF3位 

メイウェザーの秘蔵っ子

 

対戦者 トレメイン・ウイリアムス(米)27歳 戦跡 20戦19勝6KO 1無効試合

サウスポー  バンタム級のケイリー・ラッセルに良く似たスタイルで、試合前のオッズは11:10でこのウイリアムス有利と出ており評価が高い選手である。

 

1R ウィリアムスの立ち上がりは評判どおり右ジャブは早く、次いでの左ストレート

   の切れは抜群で流石と思わせる。

 

2R レオの前進を右ジャブとカウンターの左ストレートで対抗。パーネル・ウィテロ―

   の再来かと思わせる評価は伊達ではない。

 

3R レオは委細構わず自分のスタイルを貫いて前進、ウィリアムスはその迫力にやゝ押

       される。

 

4R レオの前進でウィリアムスの右ジャブでは止められなくなり、フィジカルの強さは

       ウィリアムスの予想をはるかに超えて、懐に入り込まれクリンチするも、ボディブ

       ローを打ち続ける。

 

5R ウィリアムスは右ジャブを攻撃的に使えなくなり、防御的になり受け身に追い込ま

       れるがウィリアムスに未だパンチ力が残っており一方的展開にはならない。

 

6R 接近戦となり、頭を付けて打ち合いウィリアムスもこのまゝではレオのペースで

   あり、このラウンド打ち合って勢いを止める為に打ち合ってレオの打ち合いに活路

       を見出す決意したようだ。

       このラウンド終了時でボディブローの数レオ35発、ウィリアムス24発。この結果

       はフィジカルの強さでレオに軍配が上る。

8R~12R  試合は一方的になり、レオの勢いは終盤に向かって勢いを増し、その馬力は

       驚くばかり。

 

判定は117:111、118:110が2人でレオに上がった

ウィリアムスは自分が過去闘ってきた相手とは桁違いのレオに驚いたことだろう。

完敗であった。

 

WBOのチャンピオン エマヌエル・ナバロッティは前王者の絶対王者ドグボエを番狂わ

せで破り、スーパーマッチとして両戦でも完勝。一躍このクラスのトップ選手となり、

一階級下の井上尚弥との試合を望んだがコロナ禍で実現せず。体重苦もあってライト級

に転向した為に空位となった王座を決定するこの試合となったのである。

 

レオは新チャンピオンとして異色のボクサーで、その突進力と体力、スタミナ、疲れを

知らぬ攻撃は脅威的である。又一人魅力的な選手が出て来た。

 

尚、井上選手は更に一階級を上げてS・バンタム級により適合するであろう。減量苦の緩和と、このクラスに強豪が少ない事による。 

 

⓶ ウエルター級10回戦 

会場  米国 ネバダ州 ラスベガス MGM グランドカンファレンス センター

 

契約はキャッチウェイト(契約体重)S・ライト級リミット140ポンドのところ3ポイント半上回る143.5ポイント契約の試合。

 

ホセ・ペトラザ(プエルトリコ)31歳 戦跡 29戦26勝13KO 3敗 元2階級王者 3敗はジャーボンティ・デービス、ワシル・ロマチェンコ、ホセ・ペセタである。ライト級からSライト級へ転向の試し試合。スイッチヒッター ニックネームはスナイパー(狙撃手)

 

対戦者 ミッケル・レスピエール (米)35才 トリニダートトバコ出身

戦跡 24戦22勝10KO 1敗1分 サウスポー

 

1R 両者とも手数が多く、パンチの交換あり。

 

2R ペトラザ、ミッケルをロープに詰めて一方的に打ちまくる。ミッケルはロープに釘

   付け、ガードを固めて防御に専念。リング中心に戻ってもペトラザ打ち続ける。

       ミッケルのダメージは殆んどない。

3R ペトラザ一転してアウトボクシング、サウスポーに変えて闘う。

   ミッケルは前に出る。

 

4R ミッケルはペトラザのボクシングに慣れてきて自分の本来の右ジャブ、左ストレー

   トのスタイルを回復。

 

6R 左ボディブローが胸に当りペトラザ ダウン。ダメージは無く、今度はペトラザの

   右ストレート、ついでの左フックでミッケル ダウン。ミッケルのダメージは深く、

   このラウンド、足を使って逃げる。

 

7R 開始早々、試合をストップ。レフェリーはテレビのリプレイをみる為にリングを降

   り、6Rのペトラザのダウンはミッケルの右足にペトラザの左足が引っ掛ったものと

   判明、ダウンをスリップと変更再開。この時間休んだミッケルはダメージから回

   復、攻撃を強める。

 

8R ミッケル明らかな劣勢を挽回すべく攻勢を強めるが、ペトラザ、これを足を使って

   躱す。

 

9R ペトラザ攻撃を強めてパンチも当たり、ミッケル右目切る。

 

10R ミッケル攻撃強めてパンチを振うところペトラザの左カウンターでミッケル

        ダウン。 10R終了

 

判定は100:88、99:88が 2人でペトラザ完勝。S・ライト級へ転出の目途がたった。

ペトラザは相手の嫌がるような対応をして、変幻自在、フェイントを使い、左・右に構え

を変える。圧力をかけると思えばアウトボクシングに切り替え、相手が攻撃の意志とみるや、これに付き合うことなく往なす等スピードが凄いわけでもなく、パンチ力がとび抜けているわけでもないペトラザの存在感があるのはボクシングに関しての知恵が他の人と比べて頭抜けている為に他ならない。ペトラザの試合は従って見て面白いのだ。

 

① WBO バンタム級 ジェイソン・マロニー vs レオナルド・バエス  ⓶ WBA S・フライ級タイトル・マッチ チャンピオン  アンドリュ―・マロニー vs ジョシュア・フランコ      会場 米国 ラスベガス 2020/8/10

① WBO王者ジョンリェル・カシメロに対する挑戦者決定戦

WBC バンタム級2位ジェイソン・マロニー(オーストラリア)29才 

戦跡 21戦20勝17KO 1敗、1敗はIBF王者エマヌエル・ロドリゲスに挑戦1:2の僅差の判定で敗れたもの。因みにロドリゲスは2019年5月19日  WBSSの準決勝戦で井上尚弥に2RにKOされている。

 

対戦者 レオナルド・バエス(メキシコ)24才  戦跡 21戦18勝9KO 2敗1無効試合 WBO王者ジョンリェル・カシメロに対する挑戦者を決める重要な試合である。

バエスはWBA S・バンタム級5位。

試合は終始マロニーの主導権のもと闘われた。左ジャブからのコンビネーション、攻撃

の終りには左フックのボディブローとセオリー通りの試合運びであり、脇を締めて繰り

出すパンチは切れもあり、バランスも良く、一回り大きくなバエスを問題にせずに攻め

切って、7R ボディを打たれ続けたバエスはこのR終了後ギブアップ。

マロニーのTKOに終った。

総体的にボクシングのレベルが違い過ぎた感がある。それでもマロニーがチャンピオン

になれるかと言われゝば難しい。WBAスーパー、IBFの王者にモンスター井上、WBAレギュラーにギジエルモ・リゴンドー、WBOにカシメロ、WBOにノルディーヌ・ウバーリ(仏)がいるが12月12日ノニト・ドネアとの対戦が決まっている。何れも強力な相手ばかりでこの非力なマロニーではとても対抗出来ないと思われる。

 

②WBA S・フライ級タイトル・マッチ 

チャンピオン アンドリュー・マロニー(オーストラリア)29才 戦跡 21戦全勝14KO  ニックネームはモンスター 初防衛戦で、ジェイソンとは双子の兄弟である。

挑戦者 ジョシュア・フランコ(米)24才 戦跡 19戦16勝8KO 1敗2分 ニックネームはエル・プロフェソル(教授)。

アンドリュ―はジェイソンと全くと言ってよい程良く似たボクシングスタイルで左ジャブは兄より多い、まさに教科書通りのボクシングで前年は足を使い、打っては離れの自分のボクシングでリードしたが7Rあたりから失速し、フランコの追い上げを受け苦しくなり

11R急速に弱ったところに連打を浴びてダウン。12Rも何とか持ちこたえて終了。

 

判定は115:112、114:112が2人でマロニーは初防衛に失敗した。このパンチ力とスタミナではチャンピオンは荷が重い。だいいちニックネームのモンスターとは何をもって付けたのかとあきれる。モンスターとはヘビー級のワイルダーのように44戦42勝41KO 1敗1分けに示されるように右ストレート一発が当ればだれでも倒れる凄みや、17連続KO防衛を果したゲンダディ・ゴロフキンや井上尚弥に当てはまるもので、これは誇大広告というものである。身の程知らずと言うものである。

 

ライト級10回戦 WBC Sフェザー級チャンピオンミゲール・ベルチェルト vs エレアザール・バレンズエラ 2020/7/28

ライト級10回戦  会場 メキシコシティ 

WBC S・フェザー級チャンピオン ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)28才 

2017年1月フランシスコ・バルガスを11RKOに下し戴冠、以降6度防衛中(内5KO)。

Sフェザー級最強と誰もが認める強豪である。今回はクラスを上げて試験的に行う事で

ライト級でも通用するかを確認する目的である。戦跡38戦37勝33KO 1敗。

 

対戦者 エレアザール・バレンズエラ(メキシコ)25才 戦跡 39戦21勝16KO 13敗4分1無効試合、ニックネームは「トロンコ」(屈強な肉体)

 

1R ベルチェルト ガードを高く掲げて立上る。相変わらず手数は多い。29秒前に間違

  ってゴングが鳴り中断。検めて再開、両者激しく打ち合うなかゴング寸前ベルチェ

  ルトの左フックでバレンズエラ ダウン。

 

2R ベルチェルト、ここぞと倒しにかゝるがバレンズエラ打たれながらも前進を止め

      ずにベルチェルトを押し込む。ベルチェルトも仲々倒れないので倒すのを諦めた

      ようだ。

 

3R  ベルチェルトは顔面、ボディと有効打を連発するがバレンズエラ怯えることなく平

     然と圧力をかけつゞけベルチェルトを押し続ける。ベルチェルトにローブローあり。

 

4R 3R同様だがバレンズエラのパンチも当たり始める。

 

5R   ベルチェルト、相手のタフさを考えてボディ、フック、アッパーを多用して弱らせ

      る作戦をとり始める。

 

6R バレンズエラこれまでの劣勢を挽回すべく猛然と打って出る。一段落のあとベルチ

      ェルト、バレンズエラをロープに詰めてパンチをまとめレフリーストップを呼び込

      こんだ。TKOで決着した。

 

ベルチェルトは左右ストレートが中心で何発も続ける事ができ、必ずその間に左アッパー、左フックのボディブローを打つのを忘れない。

止まるところを知らない手数の多さと的中率は相変わらずで、接近戦も中間距離もアウ

トボクシングもこなす幅の広さも持っており、今脂の乗り切っている選手であるが、今

日の試合を見ると、ライト級では難しいのではと思わざるを得ない。

いくら相手がタフであってもあれだけまともに打って倒れないという事はリミット2.26kgの差が体力的、パンチ力にどれ程の差をつけているかを明らかにしている。

 

しかもライト級にはパウンド・フォー・パウンド1位に挙げられるハイテク ワシル・ロマチェンコが居り、天才メィウェザーの秘蔵っ子で桁外れの強打者ジャーボンティ・デービスが居り、更に若手No.1の倒し屋ティモフィオ。ロペスが居り、いずれも一発でNOする強打の持ち主である。

今日のベルチェルトではとても対抗できるとは思えないからだ。

好漢ベルチェルトは矢張りS・フェザー級で各団体統一を狙うのが順当であろう。

 

私の選ぶスーパースターNo.1「モハメド・アリ」とは   「キンサシャの奇跡」って?    2020/6/30

モハメド・アリ
1960年代はじめ、全米各地のボクシングジムは廃業に追い込まれるところが多く、主要なテレビ局もボクシング放映をしなかった。当時のボクシング界はまさに腐敗にまみれ

ていたからで、八百長が蔓延していると世間からみなされていて正統なスポーツとは認

められていなかったのである。

そんな時代の救世主として1960年のローマ五輪の金メダルを引っさげて登場したアリは、大言壮語してビッグマウスと評される何かと話題を提供した。

しかしアリは当時のヘビー級のスタイルを一新し、腕力にまかせた殴り合いのヘビー級

へ「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の言葉通り、まるで軽・中量級ように軽やかに

ステップを踏み、左ジャブは鋭く速くストレート主体の華麗なるボクシングスタイルを

リングに繰り拡げてみせたのである。

アンジェロ・ダンディ トレーナーのもとスター街道を突き進むことになる。


1964年2月マイアミビーチで長年ヘビー級王者として君臨していた「最強にして最凶」と称されていたソニー・リストンと対戦。戦前ほとんど勝算はないと関係者の誰もが思

った試合を6Rリストンの試合放棄という形で下し初タイトルを握る。22才であった。

1967年ゾラ・フォーリー戦のあと、ベトナム戦争に対する徴兵拒否を表明、ボクシングの統括団体はライセンスを剥奪した。取り戻すのに実に3年の月日を要した。

1971年3月復帰したアリはジョー・フレージャーと対戦。判定で敗れ初の一敗を喫した。更に1973年3月ケン・ノートンに顎骨折のあげく敗戦。

 

1974年10月時のチャンピオンは40戦全勝37KOの「象をも倒す」と評されたジョージ・フォアマンに挑戦。

戦う場所はザイール(現在のコンゴ人民共和国)のキンサシャである。
1.試合は当初ジョー・フレージャーと戦う予定であったがジョージ・フォアマンに2R 6度のダウンを食らってKOで敗れた為にフォアマンに挑戦することゝなった。

フォアマンはそのあとホセ・ローマンを1R KOで下し、74年3月ケン・トートンを2RでKOしている。
2.ザイールの大統領は2千万ドルをかけてスタジアムを建設したが、アリが戦った国

として世界中の人々がザイールを覚えてくれた事の方が大きく得をしたと語っている。

アリが入国するやザイールの国民は歓呼してこれを迎え、街中に「アリ・やっちまえ」

のポスターが張り巡らされた。アフリカ入りをしてアリの人気は更に高まり、彼はあら

ゆるエネルギーを引き出しているようだった。ここがアリの故郷だという実感が力を与

えていた。

時がたつ程フォアマンは不利だった。彼はホテルのスウィートに泊り、食べ物や水を

アメリカから空輸させており、又ザイールを侮辱していて、番犬まで連れて来てザイー

ルの人々を警戒し、ザイールの人々の気分を害して何もかもうまくいかなかった。

彼はアフリカに居たくなかったのである。

試合は9月24日に予定されていたが、その一週間前のスパーリング中、パートナーの

ビル・マクマーリの肘が当ってフォアマンの目の上がパックリと裂けてしまった為に10月30日に延期された。延期はむしろアリにとっての方が痛手とみられた。

年齢を重ねたボクサーの方が短期間に2度もピークを作るのは難しかったからだ。しかしその間アリは精力的に様々なイベントに立ち続けたのである。


3.世界ヘビー級タイトルマッチ 1974年10月30日 場所 ザイール キンシャサ 

契約報酬各500万ドル チャンピオン ジョージ・フォアマン(米)24才 

戦跡 40戦全勝37KO 過去8試合は全て2R以内でKOに下している。強打のリストンより10倍強いと云われた。
挑戦者 モハメド・アリ(米)32才 戦跡 46戦45勝1敗 同級1位


1R アリは足を使って左ジャブ、右ストレート、フォアマンの左フックが顔面にヒット。中盤からアリはロープに詰まるようになる。フォアマンの連打、アリ胸に受ける。

フォアマンのパンチはアリをロープに詰めて当たり始める。

 

2R フォアマンの右がアリの顎にヒット。フォアマンはアリの動きを止めるべくボディを集中的に叩く。アリはロープに詰まって、しかしロープの反動を利用してフォアマン

の強打の衝撃を柔らげる。アリのショートの右ストレート鋭い。コーナーはアリに「ロ

ープに詰まるな、足を使ってリングの中央で戦え」と指示するがアリは「俺の作戦だ」

とうそぶく。過去に例をみない ロープ・ア・ドープ 作戦の開始である。


3R フォアマン アリのボディを集中的に叩き続けるがアリの腹筋は強く、さほどの効果はないようだ。アリはロープに詰まりながらも左・右のショートパンチは速く鋭い有効打

となってフォアマンを苦しめている。フォアマンのパンチのスピードは急速に弱まり、

それに伴って大振りが目立つようになる。

ロープに詰まりながらもアリの優勢が見えてくる。


4R アリの連打をまともに受けてフォアマンぐらつく。アリは3Rから足を止めてロープに釘付けとなりフォアマンの攻撃を受け止めながら、まともにパンチを受けないように

対処し、機を見て繰り出すショートのストレート・ジャブはフォアマンの戦闘能力を次

第に奪って行く。


6R アリの左ジャブが連続5発、6発とフォアマンの出鼻にヒット、フォアマンの右目ふさがってくる。アリは依然としてロープに身体をもたせかけてフォアマンを挑発。

弱ったフォアマンは自分の意志を失った如くにたゞ威力のないパンチを振り回す。


7R アリは弱ったフォアマンに「どうしたジョージ、すげえパンチを出してみろよ。

それでおしまいか?」と嘲笑。


8R フォアマンはアリをロープに追い込み最後の力をふりしぼってラッシュをかけるがガードを固めてこれをたゞ凌いでいたアリは突然ロープ際をすり抜けて、左フックをヒットさせるかと思うと、そのあと4連打フォアマンがバランスを崩したところ長い右ストレートでフォアマンはゆっくりとマットに沈んでいった。

フォアマンは十分に意識があったがあまりにも消耗し闘争心も失っていた為に、カウント内に立つ事ができなかった。人々はこれを『 キンシャサの奇跡 』と呼んだ。

 

モハメド・アリの 全試合 成績 61試合56勝4敗 

 

私の選ぶスーパースターNo.2「マニー・パッキャオ」とは 2020/6/27

マニー・パッキャオ 1978年12月17日生れ フィリピン/キバウェ出身 41歳

アマチュア戦跡 64戦60勝KO4敗 プロデビュー1995年1月(16才1ヶ月)
プロ 戦跡 71戦62勝39KO 7敗2分 世界戦の戦跡 25戦19勝8KO 4敗2分 
身長166㎝ リーチ170㎝
【 獲得王座 】 
1998年12月WBC フライ級 19才
2001年6月 IBF S・バンタム級 22才
2008年3月 WBC S・フェザー級 29才
  〃  年6月 WBC ライト級 29才
2009年11月 WBC ウェルター級 30才
2010年11月 WBC S・ウェルター級 30才 
2014年4月 WBO ウェルター級 35才
2016年11月  ー 〃 -    37才
2018年7月 WBA ウェルター級 39才

 

【 パッキャオ 伝説の試合 】

◎ 2006年11月 S・フェザー級12回戦
 エリック・モラレス(メキシコ)30才 戦跡 52戦48勝34KO 4敗
  vs マニー・パッキャオ(フィリピン)27才 戦跡 47戦42勝32KO 3敗2分
両者過去1勝1敗 パッキャオ 左  : モラレス 右

モラレスは当時軽量級のスーパースターであった。
1R 前回TKOで敗れているモラレスはパッキャオが前に出ると強いことを知っていて、自ら前進し攻勢をかける。

ロープに詰めて連打、パッキャオの左ボディストレート2発ヒット。

 

2R モラレスは攻撃を緩める事なく前進。両者激しく打ち合う。モラレスはパッキャオをロープに詰めて連打を仕掛けるところ、左に回ったパッキャオの左フックぎみのストレート顔面にヒットしてモラレス 1度目のダウン。

このまゝでは劣勢は免れないとみたモラレスは逃げることなく激しく打ち合う。


3R モラレスは正面からパッキャオの攻撃を受けて立ち、前に出るところ左右フックのカウンターからの連打で2度目のダウン。立上ったところ左ストレート顎に受けてロープまで飛ばされて3度目のダウン。倒れて上半身をあげたところでモラレス 力なく首を振って、そのまゝKOとなる。栄光のテリブルのモラレス新旧交代であった。

 

◎ 2009年5月 S・ライト級12回戦 会場 ラスベガス・グランドガーデン
 元2階級王者 リッキー・ハットン(英)28才 戦跡 46戦45勝32KO 1敗 

   (1敗は対フロイド・メィウェザー戦)

  vs  マニー・パッキャオ(フィリピン)30才 戦跡 53戦48勝36KO 3敗2分
1R ハットンは2008年にはS・フェザー級のパッキャオに対し、自分はウエルター級から1階級下げて最も力の出るS・ライト級に下げて対戦する事とした。実に7.7㎏の体重差があったのである。パンチ力も体格もスタミナも自分に敗れる要素は全くないと自信満々でこの試合に挑んできたハットンは体力にまかせてパッキャオをロープに詰め連打するところパッキャオの右フック顔面ににヒット。ハットン ダウン、更に左右のコンビネーションのあと左ストレートでハットン2度目のダウン。辛うじてゴングに救われる。


2R ハットンの意識は半ばもうろうとしているようで、しかし前に出てパンチを振うが力強さは失われており右カウンター顎にヒット、更に左フック(ストレートぎみ)の一発でハットン3度目のダウンはマットに顔を打ちつけ完全なノックアウト。意識はなくしばらく立上ることが出来なかった。実に衝撃的なノックアウトで、数多いパッキャオの試合で一番のものであろう。


更にこのあと

2009年11月WBOウェルター級ミゲール・コットに挑戦、一方的に打ちまくって2度の

ダウンの末12R TKOで下す。

2010年3月これも1敗のみの強豪ジョシア・クロッテイを”鎧袖一触” 何もさせずに大差

の判定で下す。

2010年11月S・ウェルター級の王座をかけて人間風車と云われた強打でタフガイの

アントニオ・マルガリートを一方的に打ちまっくって11Rにはレフリーにこれ以上は

危ないから試合を止めるように催促する余裕をみせて圧勝。

 

その後も一時引退を挟んで現在もWBCウェルター級王座に君臨している。

ニックネームは「パックマン」

私が選ぶ ” 誰が真のスーパースターか ”    2020/06/26

WOWOWの報道が始まってからの40年で、誰が本当のスーパースターかと考えてみた。

  No.1 に挙げるのは   モハメド・アリである。

            No.2 マニー・パッキャオ

            No.3   ナジーム・ハメド

              No.4 リカルド・ロペス

                      No.5 フロイド・メイウェザー 

      

No.1 モハメド・アリ

 

唯強いだけであればヘビー級のマイク・タイソン、ディオン・ワイルダー、ミドル級のゲンナディ・ゴロフキン等多くの名前が浮かぶがアリは一体どこが違うのか。

 

(イ)それまでのヘビー級のボクシング腕力があり打ち倒せば良いと思われていたが、アリはヘビー級に中軽量級のボクシングを持ち込んだ。

「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の言葉通り軽やかにステップを踏み、鋭い左ジャブシャープな右ストレートを武器に速さをヘビー級に持ち込んだこと。

 

(ロ)泥にまみれたボクシングをスポーツに変える事に大きく貢献した。

(ハ)ベトナム戦争への兵役を拒否。
兵役拒否は国家に敵対する犯罪行為であり激しい非難を浴びたが一貫してこれを貫き、ついにはベトナム反戦運動の象徴的存在となり、ついに2005年11月市民に与える最も栄誉ある勲章「大統領自由勲章」を政府は彼に与えたのである。

 

No.2 マニー・パッキャオ


(イ)フライ級からウエルター級まで10階級に亘って6階級を制覇した。 50.88㎏~69.85㎏へ 事実上10階級制覇である。

 

(ロ)階級を上げるたびに全て強敵に当たったことから関係者は皆もう無理だろうと思い、対戦相手も負ける筈はないと皆思った事であろう。

(ハ)10代、20代、30代、40代でそれぞれチャンピオンであった事。

 

(ニ)フィリピンでは長く下院議員を務めていて2足の草鞋を履いている。特に驚くべ

きはフライ級骨格でSフライ級まで制覇した事で、上る度タイトルマッチでその階級で

その階級に馴らす猶予期間はなかったのである。ボクシングあ史上、この偉業は過去

そして未来に亘って誰一人として成す事の出来ないもので不滅の記録である。

(更に詳しくは6月27日付けにて人物、試合内容等紹介)

 

No.3 ナジーム・ハメド

 

(イ)入場の派手さ、リング内への入り方。

 

(ロ)ノーガードで相手の攻撃はすべてステップ、上体の柔らかさで躱す。

 

(ニ)セオリーに全く反して、アゴは上げたまゝパンチは打

ちっ放し、どんな体勢からでもからでも必殺パンチを繰り出す、まさにボクシングの常

識を破った選手である。多くのボクサーがこれを真似したが誰一人として成功した者は

いなかった。彼は一貫してWBOのタイトルのみ保持、その他の団体のタイトルは放棄

している。ハメドの活躍によって一段落ちるとみられていたWBOは一流の団体に認め

られるようになった。(更に詳しくは6月15日付け人物、試合内容等を紹介)

 

No.4 リカルド・ロペス


ミニマム級で20回、Lフライ級で2回防衛。プロ、アマ通じて全勝のまゝ引退。試合を重ねるに従って、自分の欠点を改善し完璧なボクサーを目指した。

常に冷静に試合に臨み、乱戦を嫌い、いかなる場合にも理性的に対処、ボクシングに打ち込む姿勢はストイックで修行僧を思わせた。

総てのボクサーが手本となるようなスタイルを残した。多くの選手は年齢に従い減量が厳しくなりクラスを上げていくが、ロペスは一番軽いミニマム級47.62㎏を1990年~1998年11月まで死守した事も特筆される。

(更に詳しくは6月8日付けで人物、試合内容等紹介) 

 

No.5 フロイド・メイウェザー

 

ミシガン州グランドラッピズ出身1977年2月24日生まれ(43才)

父親のフロイド・シニアはレュガー・レイ・レナーやマーロン・スターリングと戦った経験があり、叔父のジェフは若きデラ・ホーヤと対戦。叔父のロジャーは2階級制覇した元世界王者である。

1996年アトランタ五輪で銅メダルを獲得したメイウェザーは父親が収監中にプロに転向。1998年10月S・フェザー級のテクニシャン ヘナロ・エルナンデスに挑戦。

ヘナロは鼻柱骨折により8R TKOで下しタイトル奪取。当時はS・フェザー級にはWBA

キューバのテクニシャン ホエル・カサマヨル。IBFには長身強打のデイゴ・コラレス

が共に全勝、WBOにブラジルのアセリノ・フレイタスが全勝全KOで其々安定政権を保持。メイウェザーはこの中で3~4番手と見られていた。

 

2001年1月ライト級に転向の意向をもったディゴ・コラレスと対戦(本試合は6月17日

付けアップ)10R TKOに下してから評価を上げた。階級をライト級に上げ2002年4月

ホセ・ルイス・カスティージョに挑戦。一階級2.26㎏の体重差は想像以上に大きくカスティージョに体格で押しまくられて辛うじて薄氷を踏むような勝利を得た。


2005年6月サンダー・アルツロ・ガッティを6R TKOに下してWBC S・ライト級タイト

ルを得るやこれをすぐに返上し、2006年11月カルロス・バルドミーを判定に下しWBCウェルタータイトルを獲得。2007年12月全勝のリッキー・ハットンを10R TKOに下し引退。2011年現役復帰してWBCビクトル・オルチスを4R KOに下し再びWBCウェルターのタイトルを獲得、その後2戦し、2015年5月マニー・パッキャオと対戦12R判定で下したが2015年9月MGMグランドガーデンマリーナでアンドレ・ベルトを大差の判定でくだしそのまゝ引退。2007年5月WBC S・ウェルター級でオスカー・デラホーヤを判定

で下したがこれも疑惑の残るものであった。

 

しかしホセ・ルイス・カスティージョを下した頃からメイウェザーのボクシングは完成

の域に達し、スピード溢れる動きは洗練され特筆すべきは防御技術でまともにパンチを

受ける事は全くなかったのである。

その技術は誰も真似る事の出来ないものであった。終盤に至ってはKOを狙う事もなくなり、当面する試合を劇場のように考えているように、自分のみが納得するように試合を

行ったのである。


一方でデビュー当時はニックネームは「プリティボーイ」と評したが、後半復帰するあ

たりから「マネー」(守銭奴)と自ら評して世界を韜晦(トウカイ)した。

彼のボクシング人生は負けない事により自分のネームバリューをいかに最大にするかに

力を注ぎ、一貫して危ない相手には注意深く回避し、名はあるが既に峠を越した相手を

選択して自らの力量が上昇するに従い、相当する相手を選んだのである。

まことに計算高い選手ではあった。リングを劇場と化し、ボクシングをいかに美しく、

いかに肉体の極限をみせるかボクシングを芸術に高めた唯一の人物である。

 

WBC S・フェザー級タイトルマッチ フロイド・メイウェザー vs ディゴ・コラレス(2001年1月)     2020/6/17

会場 アメリカ ネバダ州ラスベガス グランド・ガーデン 

2001年1月  WBC S・フェザー級タイトルマッチ

チャンピオン フロイド・メイウェザー(米)23才戦跡 24戦全勝18KO

挑戦者 ディゴ・コラレス(米)23才 戦跡 33戦全勝27KO
コラレスは減量苦からIBFのベルトを手放しS・フェザー級に転身を図るが、S・フェザー

級での最後の試合として大金が稼げるWBC王者のフロイド・メィウェザーとの対戦をに同意、一たん体重をあげて、また戻すことはコラレスにとっては予想外の負担となり、

この結果となった。
1R 長身でメイウェザーより一回り大きいコラレスは体力で圧力をかけ前に出る。

メイウェザーは左ジャブを多く繰り出し左・右のフックで上・下に打ち分ける。コラレ

スは圧力をかけて出て行くが手は出さない、様子をみ。
2R メイウェザー左フックボディ2発、右フック顔面へコラレス メイウェザーをロープに詰めてボディを狙い動きを止めにかゝるがメィウェザーの動き早すぎて打つ前に打た

れる。
3R メイウェザーにコーナーからもっとガードを上げろの指示。コラレスはメイウェザーをじぐざぐに追い横への動きを止めようと図る。
4R コラレスの右ストレート メイウェザーにヒット。コラレスのパンチがメイウェザーの身体に当たり始める。
5R コラレス メイウェザーをロープに詰めて連打するがほとんど当らない。メイウェザー突然右からのジャブでコラレス右目が腫れてくる。
6R 突然の左フック コラレスの顔面にまともにヒット。メイウェザー体勢を崩したじ

ろぐ。
7R 開始早々左フックでコラレスダウン。メイウェザーはトップギアーに入りスピードは一段とあげて、左・右フックボディに、ついでの左フックでコラレス2度目のダウン。ロープ際連打で3度目のダウン。
8, 9R メイウェザーの速さは更に一段アップ、自信をもってきた。
10R コラレス 左フックのカウンターでダウン、更に右ストレートで5度目のダウン、

コーナーからタオル投入でTKOで終了。

 

1Rから10Rまでコラレスは思った以上のメイウェザーのスピードに全くついて行くことが出来ず、更に減量も原因していたのか戦前のやゝ有利ではないかの予測にも拘らず惨

敗を喫した。コラレスはこの試合の数ヶ月あとドメスティック・バイオレンスの罪で刑

務所に送られ、出所後の成績はまずまずだったが2007年5月ラスベガスでオートバイ事故で死亡している。
S・フェザー級で3~4番手であったメイウェザーの株は急上昇する事となった。

往年の名選手(その2) ナジーム・ハメド      2020/6/15

ナジーム・ハメド 

両親がイエメンから英国に移住(シェフィールド)。
1974年2月12日ハメドは英国で生まれた。


86年2月アマチュアデビュー 戦跡 67戦62勝5敗18KO 1
92年4月 プロデビュー トレーナーにブレンダン・イングルに付く
94年5月 欧州バンタム級タイトル獲得
94年10月 WBCインターナショナル Sバンタム級タイトル
95年9月 WBOフェザー級タイトル獲得。

       時のチャンピオンは同国人スティーブ・ロビンソンで、この試合が8度目の防衛戦

      である。

1R ロビンソンはハメドの強打を極度に警戒し顔面を両腕でガッチリと貝に閉じこもるようにガードして開始。何せ試合前のハメドの戦跡が29戦全勝27KOであったからだ。

ハメドはガードを胸の前にお義理ののように構えて相手を挑戦し、変則自在のボクシン

グを展開。ロビンソンはパンチを繰り出すとハメドのカウンターが飛んでくるのを恐れて、全く手が出ずに腰が引けて防御一辺倒に追い込まれ、ハメドに翻弄されたあげくに5Rにダウンを奪われると足がもつれて勝負の行方は決まって8Rに必殺の左フック一発でダウン。レフリーはTKOを宣してハメド タイトル獲得となった。


96年3月 Ⅴ1 サイド・ラワル(ナイジェリア)戦は試合開始のゴングが鳴って両者が

    リング中央に進んだとみる間にハメドの右フック一閃ラワル ダウン立上ったと

    ころにコンビネーションを打ち込まれ、2度目のダウン。

    レフリーはTKOを宣した。


96年6月 Ⅴ2 ダニエル・アルシア戦
1R アルシアの右ストレートが予想外に伸びて、ウィービングしたハメドの顔面にパンチが届きハメド ダウン。

2R開始早々ハメドの攻撃凄まじく連打が決まってKOにアルシアを下す。


96年8月 Ⅴ3 マヌエル・メディナに苦戦したが、11R TKOに下す。

     メディナは98年4月 IBFタイトルを獲得している。


96年11月 Ⅴ4 レミヒオ・モリナ(アルゼンチン)戦跡 27戦全勝12KO 26才 

モリナは若手の有望株であったが、1R ハメドは右ジャブから飛び込んでの右アッパー2発をみせる。2R ハメドは右アッパーからの左ストレートでモリナ ダウン。

ここでレフリーはストップを宣した。モリナはリングで何もしないうちに敗れた訳で

さぞ不満であった事だろう。

 

97年2月 Ⅴ5 IBF、WBO のフェザー級の統一戦である。
     IBFのチャンピオンの戦跡は 48戦44勝25KO 2敗2分。2敗はフランク・オーレンと

     マヌエル・メジナであり11度タイトル防衛中の32才。このクラスで一番強いとみら

     れており、油の乗り切った選手である。ハメドはゴンドラに乗って上空から降りて

     登場。例をみない派手なスタイルである。リングに上るときは最上段のロープを掴

     んで前転してのリングイン。
1R 両者の体格は明らかにジョンソン一回り大きい。ジョンソン169㎝、ハメド158㎝。いきなりのハメドの右ジャブはとび込んで打つので届くのである。更に右ストレートが

軽く当って、ハメド調子にのる。ジョンソンは様子見。

2R ハメドの右ストレート軽いがヒット。ハメドのパンチはクリーンヒットではないが当り始め、手数も多い。ジョンソンはスピード重視で対抗する作戦のようだが、ハメド

の攻撃の対応に追われ攻撃にかかれない。
3R ジョンソンの右ストレート ハメドのボディにヒット。ハメドはジョンソンにフェイントをかけ脅しながら圧力をかける。ハメド多彩な集中打でジョンソンを追い込む。

ラウンド終了時ジョンソンの右フックでハメド手を衝いたがレフリーはゴング後と判断しダウンとはせず。
4R ハメドは完全に両手を下げてジョンソンを挑発、いきなりの右アッパー、飛び込んでの左アッパーとやりたい放題となってきた。
5R ハメドの動きにあおられて、ジョンソンのパンチは相手を見ずに出していて、結果一層打たれる事になる。
6R ジョンソンの左ストレート ヒットして唯一のチャンスであったが打って出るとハメドのカウンターが怖い為に追撃が出来なかった。
7R ハメドの短い左フックでジョンソン足がふらつき、その後のコンビネーションでダウン寸前に追い込まれるがゴングに救われる。
8R ハメドのワンツーがヒット、左右ストレートでジョンソンが前かがみにダッキングするところに右アッパーを突き上げられてジョンソン堪らず仰向けにダウン。それまでのジョンソンの弱り具合をみていたレフリーはストップを宣した。
これで2団体統一した。

 

97年7月 Ⅴ6 ファン・カブレラ(アルゼンチン)戦跡 24勝20KO 2敗 身長169㎝
1R ハメドいきなり左・右アッパーを振って先制攻撃。カブレラ ガードを固くして

防御のみ。
2R ハメドの右ストレート、右アッパー ヒット、カブレラが防御の為頭を下げると

ころアッパーカットの連続攻撃で試合続行不能とみたレフリーはストップTKOとなる。

顔が腫れ上がったカブレラは何もしない間に終了してしまった。

 

97年10月 Ⅴ7 ホセ・バデージョ(プエルトリコ)27才 戦跡 20勝15KO 1敗、

1位挑戦者。1敗はトム・ジョンソン 未だダウンの経験なし。
1R 例に似ずハメド右ジャブ多く出す。それがよくヒットする。バデージョ打って

出るところに躱して右フックを合わせる。
2R 1R 同様右ジャブを多く出す。バデージョのパンチは全く当らない。
3R バデージョのパンチはハメドに届かない。ハメド大きな右アッパーを振う。

右ジャブと右アッパーショートヒット、バデージョの顔面腫れてくる。
4R   バデージョのパンチは相変わらず空を切るばかり。ハメドは両手を下げてバデージョを追い掛け回す。
5R ハメド右アッパーをみせたあと、アリシャッフルをしてみせる。
7R ロープに詰めて左・右アッパーの連続、左・右ストレートでバデージョ コーナー

からタオル投入で7R TKO。バデージョの顔は傷だらけだった。

 

97年12月 Ⅴ8 ケビン・ケリー(米)30才 戦跡 50戦47勝32KO 1敗2分。

      93年WBCフェザー級タイトル獲得2度防衛。3度目はアレハンドロ・コブリタ・

      ゴンザレスに初の1敗タイトルを失っている。同級3位 地元ニューヨーク出身、

      ニックネームはフラッシンク(閃光)身長170㎝。ハメドはアメリカ初進出の試合

      で(試合は2ケ月振り)過去最強の相手と目されている。観客は1万2千人。
1R ハメドの右フックで開始され、そのあとケリーをロープに詰めて連打するところ、ケリーのカウンターのショートストレートでハメド一度目のダウン。ケリーは最高の

スタートを切る。
2R お互いに右ジャブを突合せ中、ケリーの左フックでハメド2度目のダウン。

立上ったところにケリーは嵩(カサ)にかゝって攻撃するところ、ハメドの左フック

のカウンター決まってケリー1度目のダウン。
3R ペースは1Rからケリーのものでケリーの左ストレートに2度にわたってハメド

のけぞる。終始ケリーに押されていつものハメドの動きがギクシャクして悪く、この

ラウンド自身の回復の為にアウトボクシングする。
4R ケリーの前進はとまらず、パンチも良く当るが突然ハメドの左ダブルでケリー

2度目のダウン。更にお互いの打ち合いの中でハメド グローブを床についてハメド

3度目のダウン。お互いにもつれた中でハメドの左ショートフックでケリー3度目の

ダウン。これでカウント内にケリー立ち上がれず劇的な幕切れとなった。

試合は一貫してケリーが優位に進めており有効打も多く、ハメドの前評判に臆する事

なくハメドの後ろに大きくのけぞって相手のパンチを躱すスタイルを良く研究して、

更に一歩踏み込んでの左ストレートが極めて有効であったが、如何せんケリーの打た

れ弱さが致命傷となって惜敗。ハメドは3度目のダウンを喫したが身体の柔らかさで

ダウンの割にはダメージが少なかった。これでハメドは国際的スターとなった。


98年4月 Ⅴ9 WBCフェザータイトルマッチ チャンピオン ナジーム・ハメド 

      挑戦者 ウィルフレッド・バスケス(プエルトリコ)37才 87年 WBAバンタム

      級防衛1回、92年 WBA Sバンタム級防衛4回、96年 WBAフェザー級タイトル防

      衛 4回、戦跡 60戦50勝37KO 7敗3分 元3階級制覇王者である。

      タイトル維持から9ヶ月の間に試合をしなければならないところ、今回はWBA

      から指名挑戦者を決められていた。アントニオ・セルメニョである。

      しかしバスケスはその試合の前にハメド戦を行いたいとWBAに懇願したがWBA

      はこれを認めず自身のWBAタイトルを返上してハメド戦を選択した。

      理由は80万ドル(当時の一億円)の為である。

      今回はイギリスのマンチェスターに2万人の観衆を集めた。

1R ハメドの右ジャブで開始。踏み込んでのショート右アッパー、左ストレート2発、

正確にはヒットせず、バスケスは自分からは手を出さず明らかなカウンター狙いに

徹している。
2R ハメドのとび込んでの右フック、アッパー、左ストレートに対しバスケスの右フックのカウンター浅いが当る。しかしバスケスはハメドの早い動きについていけない。

ハメドのアッパーにバスケス ダウンするがスリップと認定される。
3R ハメドの左アッパーぎみのストレートでバスケス1度目のダウン。バスケスは

ハメドの右パンチに右フックを合わせようとするがワンテンポ遅れて奏功せず。

試合中ハメド笑う。
4R バスケスはハメドのフェイントに悉く泳がされて自分のパンチは空を切る。

ハメド跳び込んでの右アッパー、左フック、左ストレートと自在にパンチを繰り出す。

バスケスこのラウンド積極的に前に出てハメドを追うがハメド足を使って、これを巧

みに往(イ)なす。
5R このラウンド バスケス勝負をかけて前に出るが、くり出すパンチは全く当らず。

狙いは圧力をかけて前に出て、ハメドが反撃に出るところに得意のカウンターを決め

る作戦であるが、ハメドこれに付き合わず、この作戦に乗ってこない。
6R ハメド、顔でフェイントをかけるや、突然の右ストレートでバスケス ブロック

するが体勢が崩れたまゝ右フックを打った為にバランス更に崩れて倒れた。

バスケスはスリップと主張したがレフリーはダウンと認定。そのあとすぐにリングの

2段目のロープ緩んで試合を中断、これを修復しようとするが手間取りロープ3本のまゝ再開10分間の中断。ハメドこのラウンド流す。
7R バランス攻めに行ったところハメドの左フックで3度目のダウン。

更に追い打ちをかけられたが、すでにバスケスに戦闘能力は失われて足許おぼつかな

いところ、左フックで4度目のダウンを喫し、立上ったが右アッパーを受けたところ

でレフリーはTKOを宣した。

さすがにバスケスは勝機をハメドのパンチに合わせてのカウンター狙いに定め、最後

迄これを狙ったが、予想外のハメドのスピードについて行く事が出来ずに、手も足も

出ない状況で完敗した。

 

2000年8月19日 Ⅴ13 会場 ロンドン オリンピア・アリーナ

      挑戦者 ブヤニ・ブング(南アフリカ)33才,  94年8月 IBF Sバンタム級タイトル

      獲得 13回防衛、戦跡 39戦37勝19KO 2敗 無尽蔵のスタアミナを有する。

      今回階級を1クラス上げて挑戦。S バンタム級タイトル返上。
1R ハメドは右ジャブを出していつもの立上り。ブングはガッチリとガードを固め、

体勢を低くして上体を揺すって警戒。
2R ハメド、ショート右フック、左アッパー、ガードの上にヒットし、パンチが当

り始める。
3R ハメド、相手を呑んでかゝり、多彩なパンチでブングを追い込み左ストレート

ヒット。ブング打たれて後退、左目切る。
4R ブングの動きがやっといつものように柔らかくなり、パンチも出しながら前進を

始めたところ、ハメドの左ストレート 一閃、ブング ダウン。立上れずKOとなる。

 

2000年8月19年 Ⅴ14 今回の挑戦者は同級8位オーギー・サンチェス(米)22才、

       戦跡27戦26勝23KO 1敗 
1R ハメド例の通り右ジャブ、左ストレート、ボディに2発、左アッパー1、

サンチェス臆する事なく正攻法で前に出る。
2R サンチェスの右ストレート2発でハメド ダウンするもスリップと判定。

終了間際に右ストレートでハメド床にグローブがつくがレフリーこれを見逃す。

尚スリップとの判定は明らかに間違いでダウンである。
3R サンチェスの右ストレートの3連打でハメド顎をあげられ危うくダウンするとこ

あり、サンチェスの攻勢は順調であったが、クリンチするうちにハメドは自分の腕を

引き抜いて左、右のショートフックを放つと、これがサンチェスに大きなダメージと

なり、ついでの左フック、ストレートでサンチェスは足にきて急速に弱る。
4R こうなると、あとは仕上げが残るのみ。右左、右左のコンビネ―ションの4連打

でサンチェス ダウン。サンチェスはしばし立ち上がれず、ダメージの強さがうかがわ

れた。


2000年10月 ハメドは最強の挑戦者イッシュトヴァン・コバチ(ハンガリー)との

対戦を回避、タイトルを返上した。
その後マルコ・アントニオ・バレラと無冠のまゝ対戦、判定で敗退するやそのまゝ引退。
生涯戦跡は 35戦34勝30KO 1敗 KO率86% 26才での早い引退であった。   

 

       ☆☆☆☆ ハメドについて ☆☆☆☆
ハメドは過去、現在そして恐らく将来も見ることができない異能のボクサーである。

生まれながらのエンターテイナーと云って良い。


1.先ず、登場が派手でゴンドラに乗って空中から降りてきたり、花火を盛大に打ち

上げたり、空飛ぶ絨毯にのって登場したりして観客を楽しませる。

リング入りはトップロープを握って前転でリングに降り立ち、試合のあとはバック転

を行うなどやりすぎる程サービスをする。


2.ボクシングの鉄則は相手のきめ手のパンチに合わせてグローブをしっかり顎に

つけて防衛体制をつくり、パンチを出すときは打ったあと素早く元の位置に直す。

打ち終わりの反撃を防ぐ為だ。

顎は常に引いて上目づかいに相手をみる。顎は最も危険な部分であるからだ。
しかしハメドはグローブは大方だらりと下に下げて、相手のパンチはステップとウィー

ビング・ダッキングだけで躱す。ブロックする事はない。顎は常に上げっぱなしにし

ており、パンチを振うときは顎をあげて打ちっぱなしでありおよそセオリー破りの

スタイルを貫いている。

ハメドの快進撃をみて多くの選手がこれを真似たが、誰一人成功した者はいない。

皆痛い目にあっているのだ。


3.それでも勝ち続けてなをKOの山を築くのは一発必倒のパンチ力があるからで、

しかも連打型でなく唯一発で倒す。左・右いずれでもストレート、フック、アッパー

どれをとっても脅威の威力を有しており、特に右アッパーの威力は凄まじいものがある。誰も恐ろしい為に先ず防御を考え、ガードを固めるが身体が委縮してノーガードで迫っ

てくる相手に気分的に圧倒されて、翻弄されてしまうのだ。

又ハメドの表情や仕草がまるで歌舞伎役者のように大見得を切り、自信満々の表情で

凄みをきかせたり、嘲笑したり、フェイントをかけたりして、パンチの威力を更に倍

にしていて、皆その脅しに呑まれて彼のペースにはめられるのだ。

しかも右、左どちらでも構えることができるので、まるで180°の拡がりを持ってい

るようである。ハメドは自称160㎝の身長と云うが、実のところは158㎝しかない。

身体が柔らかでしかもバネがあり、復元力もある為に時にダウンするもダメージを最

小限に留める事ができるのだ。

ハメドのニックネームは「プリンス」又は「悪魔王子」
世界戦は15戦であり、そのうち判定ではスリップとしたが事実は明白なダウンが3回、

ダウンと認定されたのが4回 計7回もダウンを喫している。

しかも全勝でボクシング界でこんな選手は私の知るかぎりでは見当たらない。

 

往年の名選手(その1)プロ、アマ通算 89戦 88勝1分    リカルド・ロペス の 軌跡と全勝の訳  2020/6/8

リカルド・ロペス 1966年7月25日メキシコ生れ
身長166㎝ リーチ165㎝
アマチュア戦跡40戦全勝
1985年プロデビュー
90年10月  大橋 秀行に5R KO勝してWBCストロー級(ミニマム級)タイトル獲得

91年5月

 1Ⅴ 平野 公夫 戦 8R TKO 7回までワンサイド
91年12月 

  2Ⅴ  李 敬渕 戦(韓国)22才 
         当日は会場が寒い等トラブルが続いて、本人の出来も悪かったが、12Rあわ

           や KOかと思われたがロペスのグローブのテープが2度剥がれてその間に李が

    立直り大差の判定となった。

92年3月

  3Ⅴ ドミンゴ・ルーカス戦 大差の判定勝ち
92年8月

     4Ⅴ  シンプラサート・キティカセム戦 同級7位 場所タイ
             5R 左フックのカウンターでキティカセム ダウン 5分近く起き上がれずKO
92年10月 

  5Ⅴ ロッキー・リン戦 2R KO
93年3月 

      6Ⅴ 呉光洙 9R 出血多く負傷KO勝ち 同位3位 呉はアマの世界戦で銀メダル

             を獲得しており有望視されプロ7戦目の挑戦であったが、プロの厳しさを味

             わう事となった。
同年7月 

     7Ⅴ サマン・ソーチャトロン戦 同位4位
            1R ロペスの右ストレートのカウンター決まってサマンは1度目のダウン
            2R 左アッパーからの左フックでサマン2度目のダウン。立上るところ左ス

           トレートでサマン3度目のダウンでTKO。サマンはそのあと1階級上げてライ

           トフライ級でチャンピオンとなっている。突進力がありパンチもあり、スタ

           ミナもある精力的な選手であった。
93年12月

  8Ⅴ  マニー・メルチョー戦 タイで試合は行われ11R TKO 

            メルチョーはIFBのチャンピオン

           この試合アメリカ ロペス初登場 メルチョーは同級6位 ロペスはこの試

           合慎重に闘い11R右ストレートのカウンター決まりKO勝ち

94年5月 

      9Ⅴ  ケルミン・ヴァルティア戦 (コロンビア) 同級1位 戦跡12勝全勝16KO 

             サイスポ― この試合は指名試合である。

             ラスベガスで行われ、バアルティアはサウスポーで防御も動きも良い選手

     である。2Rヴァルティアの右ストレートでロペスやゝ腰くだけたが持ち越す。

             5R後半からロペスは立直り始めペースを握って闘いヴァルティアは前半飛ば

            した為に後半失速。大差の判定でロペス勝利したが点差以上の苦戦であった。

            サウスポーとの対戦はこの試合までやゝ苦手としていた。
94年9月 

     10Ⅴ ヨドシン・センガーモロコット(タイ)会場ラスベガス

           1R 右クロスカウンターでダウン、更に左フックで2度目のダウン。

           1R 53秒でTKO。
94年11月 

     11Ⅴ ハビエル・バルデス戦 タフガイのメキシコ人 短身のバルデスは接近戦を

    狙うが前進するところ、ロペスに出鼻を叩かれて、これがことごとくカウン

    ターとなり、接近出来ないまゝ8R、コーナーで打たれ続けた為レフリーストッ

    プ TKOとなる。
94年12月 

      12Ⅴ ヤミル・カラバジョ戦 (コロンビア) 同級9位 会場メキシコ・モントレー

             立ち上がり右ストレート一発でKO 1分10秒。

             この試合のあとロペスは1階級上げてライト・フライ級で闘いたい旨公表し

             たが、想定されるマイケル・カルバへルやウンベルト・ゴンザレス等から対

             戦を断わられて対戦相手が見当たらずにいた。
95年4月 

  13Ⅴ アンディ・タバナス戦(フィリピン)同級3位 オッズは12:1

     1Rから持ち味の突進が出来ずに一方的な試合となり12Rついにレフリースト

     ップとなる。突貫小僧タバナスの良い所が発揮されなかった。
96年3月 

  14Ⅴ  アラ・ビアモア戦  フィリピン人 25才 ジョー小泉配下の選手でアマ戦跡

     50勝1敗 プロ戦跡31戦29勝26KO1敗1分 同級1位 サウスポー 

     1Rから身体を左右に振りながらアラ・ビアモアの左・右に回り左ジャブ、

     右ストレート、アッパーと多彩なパンチを振う。5Rあたりから攻撃に一段

     と力を入れ始め、前進してきたそれまでのビラモアは後退を始めて、ロペス

     のボディブローも集中的に受けて一方的展開となってきた。6R ロペス鼻血を

     出し7Rは右目切る。7Rアラビア・モア力をふりしぼって打って出る。

     8R ロペス短いフェイントのあと長い左アッパーでアラ・ビアモア仰向けに

     ダウン。そのまゝ起き上れずにKO。8R40秒であった。

96年6月 

  15Ⅴ キティチセイ・ブリーチャ 同級4位 元ムエタイの選手 3R 3連打のコン

     ビネーションの最後は左アッパーでKO。
96年9月 

     16Ⅴ モーガン・ニドウモ戦(南アフリカ)同級4位 ロペスは風邪で体調優れな

     いまゝの試合だが、5Rでモーガンの顔は腫れ上がる。

     6R一方的となって55秒レフリーストップTKO。
96年12月

  17Ⅴ 朴 明燮戦 同級5位 戦跡11勝10KO4敗 会場カリフォルニア・インディオ 

               1R 右ストレートで一度目のダウン、立上ったところで、左ストレートから

               の右アッパーでレフリーストップTKO。
97年3月 

      18Ⅴ  モンコル・チャーロン戦(タイ) 戦跡17勝5KO1敗 ラスベガスのヒルトン

              ホテル内を会場。ワンサイドで判定勝ち。

97年8月 

  19Ⅴ BWC、WBO統一戦 WBOチャンピオン アレックス・サンチェス 戦跡

              25戦25勝18KO 会場はマディソン・スクエアガーデン オッズは10:1
             1R サンチェスとは距離が違う為にサンチェスは距離を詰めようと前に出る

             が、そこを打たれる。2R ロペスの右ストレートでサンチェス ダウン。

             3R サンチェスは接近戦しか勝機はないとみて前に出る。途中ロペスを引き

             倒して、そのあとボディにパンチ。これでレフリーは減点1を告げる。

             ロペス終盤に上・下に集中打。5R 集中打でサンチェス ダウン。

             試合が一方的であった事もあってレフリーはストップを宣言。

            力の差がありすぎた。

98年3月 WBA・WBC 統一戦 ロセンド・アルバレス戦 

            7R ロペス負傷の為引き分け。

98年10月 

    20Ⅴ ロセンド・アルバレス戦 12R 判定勝ち。この時点で20度連続防衛を記録。

99年9月 WBC タイトル剥奪
99年10月 

    IBF ライトフライ級タイトルに挑戦。 

    ウィル・グリッグスピー戦 12R判定でタイトル獲得。
2000年12月 

  1Ⅴ  ラタナポン・ソーウォラビン 3R TKO。
2001年9月 

               ゾラニ・ペテオ戦 8R KO。
2002年11月 引退 


記録 ① プロ 戦跡49戦48勝35KO 1分 
     アマ 戦跡40戦全勝      
     プロ/アマ通算89戦88勝1分   
   ⓶ミニマム級最短KO 94年12月 ヤミル・カラバジョ戦 1R 70秒
         ③ミニマム級防衛 20回 
    ライトフライ級   2回   

ロペス全勝の理由
その1.ほとんどのボクサーは試合のあとは必ずスタッフ一同で打ち上げを行い、過酷

な減量から解放されて日常生活に戻し、次の試合まで減量を忘れて生活し、試合が決ま

ると徐々にリミットまで戻す作業に入るのである。ミニマム級でも5~7㎏の減量は普

通の事である。しかしロペスは試合のあとも打ち上げ等する事なくすぐホテルに引きあ

げて、試合のあとも体重制限を緩める事なく節制していた。


その2.「ボクシングは打たれない」を身上とし、コーナーを出る時にはガードを高々

と揚げて準備し防御をしっかりすることを常に自分に言い聞かせていた。


その3.接近戦を嫌がる。接近戦は頭がぶつかったり、思わぬパンチを受けたり体力の

消耗も多い事から極力これを避ける為に徹底して自分の距離をとる為に、左の長いリー

ドパンチを多彩に駆使、ジャブ、アッパー、フックを上下に打ち分け相手を内に入れ

ない。


その4.打つパンチは踏み込みの良さでより長く感じられ、すべてのパンチが身体のし

なりをきかせて打つ為に威力があり、しかも左ジャブはまるでストレートの様であり左

フック、左アッパーは短いものも長いものも一発必倒の威力を有している。


その5.打たれるのが嫌い。
攻撃の際に自分のパンチを出すとすぐその場~離れて相手の射程の外に位置を変える。

防御はフットワーク、身体を常に動かして自身を動く標的にし、危険な位置に自分を置

かない。いかなる時でも相手を冷静に観察し、当る所を見つけてはそこにパンチを送り

込み、決して無理押しはせず、充分判断したあと、仕上げに入る。1Rから12RまでKO出来るすきを狙う。


その6.試合のたび毎に自分の弱点を修正し改善を怠らない。試合毎に着実に技術を身

につけ、安定感を増していった。その試合振りは「精密機械」と謳われ、その姿はまる

で修行僧を思わせるものであった。ロペスのボクシングはまさに完成されたもので理想

的なボクサーと云えるのである。
ボクシング史上最高の選手の数少ない一人である。     

会場 中国 江西省 撫州市 撫州市体育館   2試合   WBA フェザー級タイトルマッチ Champ. シュー・ツァン vs 久保 隼 / WBA Lフライ級タイトルマッチ Champ.  カザルス・カニザレス vs 木村 翔   2019/6/3

会場 中国 江西省 撫州市 撫州市体育館          2019・06.03


 WBAフェザー級タイトルマッチ
チャンピオン シュー・ツァン(中国)25才 戦跡 18戦16勝2KO 2敗 

ニックネームはモンスター このニックネームはパンチ力のことではなく無尽蔵の

スタミナがある事を指している。


挑戦者 久保 隼(日本)29才 戦跡 14戦13勝9KO 1敗
1R~5Rまで 久保はボディブローを中心にシューのスタミナを奪って後半勝負に持ち込む作戦である。しかしシューの手数の多い多彩なパンチに、終始受け身となり、両者ともに175、176㎝の長身もあって、リーチの長い選手と闘ったことがない為か、ガードが低く、しかも甘いことから顔面にまともにパンチをもらい続けたのに対し、シューは高々とガードを固め顔面へのパンチはほとんどブロック、久保のガードの甘さをついてショートで鋭いパンチを空いたところに的確に決め、一貫して試合を有利に進めた。
シューはチャンスとみるやパンチに一段と力を込めて連打を繰り出し・・・・


6R 集中打でレフリーストップを呼び込んだ。

 

過去18戦2KOの戦跡とは思えない力強さを示した。防御技術、パンチの正確さ、スタミナ総ての面で久保と実力が違いすぎた。当然の結末である。

 

 同会場  WBA Lフライ級タイトルマッチ  チャンピオン カルロス・カニザレス

(ベネズエラ)26才  戦跡 22戦21勝17KO 1分


挑戦者 木村 翔(日本)30才 戦跡 22戦18勝11KO 2敗2分
フライ級で中国の連続五輪で金メダルをとってプロ転向後チャンピオンとなったゾウ・シンミンを破ってタイトルを獲得したが初防衛戦で敗れて、以来1年9ヶ月振りにLフライ級に1ランク下げての挑戦である。


1R~12R 木村はガードを固めて終始前進し、カニザレスは左・右に動いて木村の前進を左ジャブ、左右ストレート、フックを力一杯振って対抗。木村はウィービングや首を振って標的とならないように接近すべきであったが直線的に、しかもジャブを出しながら前進すべきところ、手を出さずに前に出る為にカニザレスの恰好の餌食となった。

カニザレス自らは頭の位置を変え、前後左右に軽やかにステップを踏んで木村の出鼻を叩き、時に強烈な左・右を思い切り振って木村を翻弄。木村のボディ打ちにやゝ苦しむも打たれたらその3倍も打ち返すファイトで木村を封じ切った。

力強く振るパンチとボディに受け続けたパンチにも拘わらず、終盤までスピードもパンチ力も落とすことなく闘い切った。


判定は119:109が2人、118:110が1人でカニザレスの完勝であった。


この2試合をみて日本の選手の弱点が良くみえる。

  ・漫然と練習をやっていないか、実践を想定して練習をしているか?

  ・ガードを固めていれば良いのか?

  ・練習時からウィービング、ダッキング、打ったら自分の位置を変える

            事を常に頭に入れているか?

  ・パンチを当てる為にどう組み立てを行うか?

いきなり狙っても進歩した現代のボクシングではほとんど当らない。

  ・試合途中で相手の出方に応じて作戦を変更できるか? 等また

  ・勝つ為にどの時点でどう勝負するか? 

を考えなければ、現代のボクシングの進歩に追いついていくことは出来ない。

たゞ漫然と練習しているとこの2試合のように不様な姿をファンに曝すことになる事を知るべきである。

 

会場 ニューヨーク バークレイズ・センター 3試合       ① WBOアジア・パシフィック ヘビー級王座決定戦                 ② ヘビー級10回戦 ③ WBA ヘビー級挑戦者決定戦     2020/3/16

① WBOアジアパシフィック ヘビー級王座決定戦


フランク・サンチェス(キュバー)27才 戦跡 15戦14勝11K 1無効試合 

ニックネームはキュ―バ・フラッシュ(キューバの閃光)

 

ジョーイ・ダウエィユ(米)29才 戦跡 31戦20勝11KO 7敗4分

アマチュア時の戦跡 68戦56勝12敗

 

サンチェスはキューバ特有のアマチュアで鍛えたボクシング技術を駆使して左ジャブ、右ストレートでダウエィユを内懐に入れる事なく、距離をとって終始試合をすすめ、ダウエィユが攻撃を仕掛けるとみると足を使ってアウトボクシングと、自分の思い通りの試合を行い判定勝ち。98:92が一人、100:90が二人で完勝。

 

ダウエィユは身体が柔らかくパンチを殺すテクニックは有しているが、打ち合って自分の持ち味が出るスタイルの為にアウトボクシングされて試合にならなかった。
しかしプロで客を喜ばせなければ人気も上がらず、良い相手とも戦えない。

ファイトマネーも稼げない事をサンチェスは知るべきであろう。

 

② ヘビー級10回戦


エフェ・アジャバ(ナイジェリア)25才  リオ五輪でベスト8 

戦跡 12戦全勝10KO  WBCヘビー級16位


ラズバン・コジャヌ(ルーマニア)32才 戦跡 23戦17勝6敗


1R アジャバ、左ジャブを突いて右ストレートをつなげるこれも正統派スタイル。


2R 1R押されたコジャヌは前に出てパンチを振るう。コジャヌはストレートは使わずほとんどが左右フックを振るう選手である。有効打はない。


3R,4R アジャバは左ジャブからの右ストレート、左右フックのあと、必ず左ボディブローを使う。


5R アジャバは自分が打ったあと距離を取ってコジャヌの出方を見て反撃を躱す。


6R アジャバは攻撃を強め上下を打ち分け、忘れずにボディブローをも交ぜる。


7R アジャバはストレート顔面に2発ガードが閉じたとみるや左・右左フックだ顔面側面を打ち、ついでボディに。


8R アジャバは手数を増やし軽いながらも的中率良く、コジャヌは打たれすぎて遂に

ダウン。


9R コジャヌはすっかり弱って集中打でダウンして9Rコジャヌ ロープ際で打たれダウン。レフリーストップ。

 

アジャバは未だアマのスタイルを抜け出せておらず、一発必倒のパンチが無いために相手を恐れさせる事が出来ない。技術ではすでに充分であるのに、これではもっと突進力やパンチ力ある相手に通じないと思われる。

 

③ WBA ヘビー級挑戦者決定戦


アダム・コウナッキ (ポーランド)30才 戦跡 20戦全勝15KO  
WBC 6位、IBF 3位、WBO 4位、 ニックネームはベビーフェイス


ロバート・ヘレニウス(フィンランド)36才 戦跡 32戦29勝18KO 3敗 

ニックネームはノルディック・ナイトメア(北欧の悪夢)

 

1R コウナッキ 1Rから倒しにかかり前に出る。ヘレニウス後退。


2R ヘレニウスの右ストレート威力あり。しかしコウナッキ倒れても平然として前進。

ロープにつめて集中打をみせる。攻勢はコウナッキだが、パンチの有効打はヘレニウス。


3R コウナッキの攻勢続くが時折放つヘレニウスのストレートが総てカウンターとなっている。


4R ヘレニウスのワンツーが攻めるコウナッキの顔面にヒット。コウナッキ ダウンしたがレフリーはこれをスリップと判定、立ち上がったところにヘレニウスの右ストレートでコウナッキ立ち上がったがコウナッキ戦う意欲なくヘレニウスのここぞとばかり集中打でレフリーストップとなる番狂わせとなった。


しかし見たところ前評判の高かったコウナッキの防御はなっておらず、左右フックも腰が入っていない手打ちで威力なく、この結果は当然であった。
防御技術が拙い上に威力がないパンチを振るって前進すれば、さして強くないストレートも悉くカウンターとなる結果をみる典型である。


ヘビー級のフューリー、ワイルダー、ジョシュア、ルイス、オルティスの後に続くボクサーはいずれも差が大きすぎる感が否めない。こんなコウナッキが上位にランクされているヘビー級は層の薄さを露呈している。

 

会場 テネシー州ナッシュビル・ブリジストン・アリーナー    IBF Sミドル級タイトル・マッチ  チャンピオン ケイレプ・プラント vs ビンセント・フェイゲンブッツ     2020/3/9

チャンピオン ケイレプ・プラント(米)27才

戦跡 19戦全勝11KO ニックネーム「スウィートハンド」
アンドレ・ディレルを一方的に破ってタイトルを握ったベネズエラの強豪で、評価の高かったホセ・ウスカデギを大番狂わせで破ってタイトル奪取。

今回が2度目の防衛戦である。

 

挑戦者 ビンセントフェイゲンブッツ(ドイツ)24才 

戦跡 33戦31勝28KO 2敗  WBA、IBF 同級3位

 

1R プラントは半身の構えで左手を下げて得意の左ジャブを上・下に打ち分け左ジャブからの右フックをボディに2発。ヘイゲンブッツは圧力をかけて前進するが手は出ず。


2R プラント左ジャブ、フック、アッパーと自在なパンチをスピード豊かに、特に左ジャブからの右アッパー更に左フックとリズムにのる。


3R ヘイゲンブッツはガッチリとガードを固めた覗みスタイルだがプラントは左ジャブ、左・右フックで顔面側部を打ち、ガードをあけて左アッパーを中央から突きあげてこのガードを崩す。中盤左ジャブのカウンターでヘイゲンブッツよろめく。


4R~8R すっかり余裕を持ったプラントは自在なボクシングで相手を見下し、途中や休みながら自分の思い通りの試合をすすめポイントでも1Rも落とすことなく経過。


9R プラント、相手の動きが鈍ったのをみて倒しにかかり集中打。ヘイゲンブッツ鼻血を出しガードはしているが相手をみておらず一方的に打たれる。


10R プラント攻撃力を一段とあげて集中打。ヘイゲンブッツは反撃できずに攻撃を受けつづけた為に2分23秒レフリーストップとなる。


これだけ一方的に打たれて、しかも自分のパンチは全く当たらなくてはやむを得ない結果で、実力が違いすぎた。
これでプラントの評価は大きくあがる事であろうが、この試合の前にカネロ・アルバレス(WBA王者)との対戦の話があったが「自分には未だカネロと戦う実力が無い」と断っている通りカネロのパンチのパワー左でも右でも一発KOの威力を秘めており、ボクシングもうまくスタミナもあるのを考えると、いまだ実力に差を感じるのは否めない。

WBAスーパーチャンピオンのカラム・スミスも長身で懐が深く長い強力なパンチを有する難敵である。他にべナビデンスやビリージョー、サンダースと他団体のチャンピオンも居てこの勝利で喜んではいられないはずである。
しかしプラントの左ジャブ、左フック、ストレートについでの左アッパー、左ボディブローの巧みさは傑出しており、流石にチャンピオンと唸らせるが、あれだけ的中率が高いにもかかわらずダウンも奪えない事から見ても、非力であるのは否定出来ない。特に右がいかにも弱い、KO率が低い事もうなづけるのだ。

会場 ラスべガス グランド・ガーデンアナ        WBC ヘビー級タイトル・マッチ   チャンピオン デォンティ・ワイルダー vs タイソン・フューリー                                             2020/2/23

チャンピオン ディオンティ・ワイルダー(米)34才 戦跡 43戦42勝41KO 1分

ニックネームはブロンズ・ボマー

11回目の防衛戦であり、フューリーとは1戦目引分けで1年2ヶ月振りの再戦となる。

尚3戦目も予定されておりファイトマネーの最低保証は28億円と定まっている。

 

挑戦者 タイソン・フューリー(英)31才 戦跡 30戦29勝20KO 1分 

前回より8㎏ウェィトをあげて試合を迎えた。ニックネームは「ジプシー・キング」

試合前にフェリーは「12Rワイルダーの周りをぐるぐる回るつもりはない。2RにKOしてやる」と語っている。

 

試合前のアメリカのオッズは1:1。 チケット収入は19億円、ゴング前に解説のジョー小泉は「判定でフューリー、KOでワイルダーが大方の予想であるが違う可能性もあるような気がする」と不気味な予言を述べている。

 

さて1R 始まる。フューリーは前回と違ってワイルダーの右ストレートの脅威があるにも拘わらず、左手を下げてワイルダーの射程距離に踏み込み、左のフリッカージャブを多く放って前進、ワイルダーに圧力をかけジャブが予想以上に強力でワイルダー後退。

右ストレートを2発放ったが後退しながらの為に威力が半減以下となる。

フューリー左・右フックでワイルダーを追う。

 

2R フューリーのフリッカージャブが良くヒットしワイルダーの上体が起きている為に武器の右ストレートにウェイトが乗らずにフューリーに押され右ストレートを当てられ、ペースはフューリーに握られる。

 

3R フューリーの左ジャブからの右アッパーでワイルダーの体勢が崩れるところフューリーの左ジャブからの右フックが側頭部にヒットしてワイルダープロ入り初のダウン。

立ち上がったが足元ぐらつく。右耳から出血する。

 

4R フューリー、クリンチからの右アッパーの後もつれてワイルダー スリップダウン。

フューリーの右フック テンプルにヒット。ワイルダーは何とか時間を稼いで回復を図るがフューリーはこれを許さない。

 

5R フューリーのワンツーを受けてワイルダーふらつく。両者の距離が一層接近し、フューリーの左ボディストレートでワイルダー2度目のダウン。ワイルダーから戦闘能力が著しく失われて後退一方、足元が定まらず、レフリーはワイルダーの顔を見続けてストップの時点を窺う。

 

6R フューリーは倒しにかかり、ロープに詰めてパンチを振るうが、焦りもあってかやゝ大振りになり、ワイルダーはこれを辛くもかわしつづける。ロープ際でお互いにアッパーを振るうがワイルダーにはるかにダメージが大きく気息奄奄の状態。

 

7R フューリーの左フックでワイルダーの顎が完全にあがり、軽いジャブを受けても大きくぐらつく。コーナーに詰められての右ストレート顔面に受けたところでレフリーはストップを宣言。コーナーからもタオルが投げられた。7R1分39秒の事であった。 

長くヨーロッパに渡っていたヘビー級をアメリカに取り戻したが、タイトルは再びヨーロッパに渡ったのである。

 

試合後ワイルダーはインタビューに応えて「言い訳はしない。ボクシングにはこんなことはある。今日は強い者が勝った。コーナーが続けさせてくれなかった。もっと強くなって戻ってくる。イベントを支えてくれた皆様に感謝したい」と語った。

 

フューリーは「キリストに感謝する。ワイルダーはハートの強さを示した真の戦士だ。

トップランク ボブアラムそしてイギリスの人達有難う」と語り、歌を唄おうかなと歌を一曲唄い切る。「音楽は僕の心に成功を与えたんだ」と。

 

試合前の大方の予想を覆し、フューリーは前回よりも8㎏も増量したことは疑問視する見方が多い中ワイルダーの必殺の右ストレートの危険にも拘わらず左のガードを下げて、左ジャブを最大の武器にして、その威力を上げて、ワイルダーを下げさせる事に成功、上体を起こさせて、後退させるさ事でワイルダーの特に右足にかゝる体重は踵に乗って、右ストレートは右足を蹴って打ち出されるが、これができずその為に手打ちにならざるを得なかった。

ワイルダーの右ストレートの威力を大きく減殺させたのである。

誰もがフットワークを使ってチャンスみてパンチを当てゝポイントを取るとみられたフューリーの作戦お真っ向から反して、増量した体力とジャブをストレートお威力をもって

ワイルダーの右ストレートを封殺した戦略は見事で、フューリーのインテリジェンスの高さに驚愕するしかない。また試合会場に登場するスタイルは観客の度肝を抜くもので、フューリーは王冠を被り、マントを羽織って王座に座り輿に乗って現われた。

ワイルダーも黒い騎士スタイルで仮面に電飾を飾って登場したが、この戦いは明らかにフューリーに軍配が上がったのである。

両者の予定される3戦目は果たしてダイレクト・リマッチが行われるかは疑問となった。

ワイルダーのダメージの大きさがうかがわれるからだ。それ程にワイルダーの負担は重かったようにみえる。 

 写真 右)輿に乗って登場するフューリー

上) 輿の上のフューリーアップ 

左下)黒い騎士姿で登場のワイルダー

下)ワイルダー アップ

 



会場 アトランタ ステートファーム・アリーナ      ①WBA Lヘビー級タイトルマッチ ②WBAライト級王座決定戦                       2020/2/3

会場 アトランタ ステート」ファーム・アリーナ  2020/2/3

①WBA Lヘビー級タイトルマッチ 

チャンピオン ジャン・パスカル (カナダ)37才
戦跡42戦34勝20KO 6敗1分1無効試合 マーカス・ブラウンを敗って8年振りに王座帰り咲く。
挑戦者バドウ・ジャック(スウェーデン)36才

戦跡27戦22勝13KO 2敗3分 元2階級制覇王者


4R ジャック、 12Rパスカルともにダウンし一進一退の攻防の末判定にもつれ

114:112、114:112、112:114の2:1でパスカル防衛に成功したが、この判定には大いに疑問が残った。

いずれにしてもすでに盛りを越した両者の戦いは迫力に乏しい凡戦であった。
 
② WBAライト級王座決定戦
ジャーボンティ・デービス(米)25才
戦跡 22戦全勝21KO  ニックネームはタンク。メイウェザーの秘蔵っ子である。
Sフェザー級のタイトル返上。


ユリオルキス・ガンボア(キューバ)38才 

ニックネームはグアンタナモのサイクロン。フェザー級、Sフェザー級、ライト級の

元3階級制覇チャンピオンである。


1Rから12R までデービスの一方的試合となり、3度のダウンを奪ってレフリーストップ、TKOでデービスWBAライト級のタイトルを獲得した。

試合は12R総てで優勢完勝であった。


この試合は明らかなミスマッチでパンチカ、スピードで段違いの差があり、2014年7月ガンボアはテレンス・クロフォードに全勝同士で対決しKO敗けを喫しており、この頃がピークでその後は下り坂であったのである。

 

会場 ニューヨーク マジソン・スクエアガーデン                ①  IBF ライト級タイトルマッチ ② WBO ウェルター級タイトルマッチ    2019/12/15

会場 ニューヨーク マジソン・スクエアガーデン 2019/12/15

 

IBF ライト級タイトルマッチ 

 チャンピオン リチャード・コミー(ガーナ)32才 戦跡 31戦29勝26KO 2敗


挑戦者 ティフォモ・ロペス(米)22才 戦跡 14戦全勝11KO

 

1R  体格的に優るコミーの左ジャブと右ストレートは共に長く早い。

リーチの短いロペスの入り込むところ、コミーの右カウンターのストレート、距離は合っている。ロペスのパンチは遠くてコミーに届かない。


2R  1R様子をみていたコミーは前に出て得意の右ストレートを狙う。ロペスは待っていたかコミーの右ストレートに対して首を左に傾けて、同時の右ストレートのカウンターを一発にコミー ダウン。

ダメージは大きくやっと立ち上がったところにロープに詰めて乱打。

レフリーが割って入りTKOを宣した。


2R 1分13秒、若き新チャンピオンの誕生となった。2020年は愈々ロマチェンコとの統一戦が現実のものとなってきた。

 

② WBO ウエルター級タイトルマッチ


チャンピオン テレンス・クロフォード(米)32才 戦跡 36戦全勝26KO  3階級制覇しており、Sライト級では4団体統一チャンピオンでもあった。パウンド・フォーパウンドの上位に常に位置している。ボクシング界のスーパースターである。


挑戦者 エギディウス・カバラウスカス(リトアニア)31才 

戦跡 22戦21勝17KO 1分 プロ・アマ通じてダウン経験ないタフさを誇る。同級1位。


1R  最近の試合のほとんどが左構えで挑むクロフォードはこの試合も左構えで開始。

188㎝の長いリーチを有効に使っての長い右ジャブで距離をとる。カバラウスカスはガードを固め、頭を左右に振って、パンチは出さずに様子をみる。


2R  カバロウスカスの左ジャブ、始めての右を出しての右フック浅いが当る。


3R  カバロウスカスの右フック一発の直後もみ合いでクロフォード膝をつく。

スリップと判断されるが、レフリーによってはダウンと判定されたかもしれない。

4R  クロフォード、主導権を狙って前進、右ジャブを多用。カバロウスカスは右フックのカウンターを狙うタイミングは合っているようだ。クロフォードの右フックのボディ、左フックのカウンター当る。


5R  クロフォードのプレッシャー少しずゝ強めてカバロウスカスの右フックには左コブシを顎につけて対応。エンジンが掛かってきた。

力とスピードにカバロウスカス後手に回って押されてくる。


6R  クロフォードは相手のパンチをさほど危険を感じなくなったのか接近戦を挑み、試合は一方的な様相を呈してきた。


7R  クロフォードはすっかり余裕を持って動きも軽やかになり、自在に動き始めるやパンチに力を込めて打ち出すや、右フックでカバロウスカスついにダウン。


8R  クロフォード右構えに変え、倒しにかゝり自在にパンチを振ってカバロウスカスを追い込みカバロウスカスはダウン寸前。


9R  クロフォード、右アッパーでダウンを奪うや立ち上がったところに右フックでダウン。レフリーここで試合を止め、9R 44秒 TKOで3度目の防衛戦を飾った。

 

会場 ペンシルバニア州フィラディルフィア リアコーラス・センター WBC・IBF Lヘビー級王座決定戦 2019/11/4

会場 ペンシルベニア州フィラデルフィア リアコーラス・センター 2019/11/4

 

WBC・IBF Lヘビー級王座統一戦
WBCチャンピオン オレキサンダー・クボジーク(ウクライナ)32才 

戦跡 17戦全勝14KO  ロンドン五輪 Lヘビー級銅メダル
IBFチャンピオン アルツール・ペテルビエフ(ロシア)34才 戦跡 14戦全勝全KO


1R ペテルビエフ ガードをしっかり固めて圧力をかけて前進、クボジークは足を使って動き、左ジャブで距離をとって立ち上がる。ペテルビエフはほとんど手を出さず。


2R  ペテルビエフ 1R 同様圧力をかけて右クロス有効。パンチのあと直ぐにガードに戻し防御体勢をつくる。


3R 前に出てのペテルビエフの左・右フックはヒットはしないが力強く迫力はある。

クボジークは退きながら右ストレート当る。


4R クボジークは試合の主導権を握るべく攻勢をかけるが、相手の強打を警戒して腰が入っておらず、ペテルビエフに恐怖感を与える事が出来ない。


5R クボジークはペテルビエフのパンチを極度に警戒し心身を擦り減らしているようだ。一方のペテルビエフは相手のパンチにさほど心配していない戦い方、省エネスタイルで体力を温存している。このRあたりから左右ボディ打ちが終盤に向けて有効とみて集中してきている。


6R ペテルビエフの右ボディストレート2発有効。クボジークは懸命に手数を多く対応しているが、次第に押されてくる。ロープ際に追い詰められてクボジーク、ダウン・スリップと認定されて辛うじてダウンは免れる。


7R ペテルビエフの左アッパー、右フックと共にボディーに的中し、クボジーク苦しくなる。


8R クボジークも右ストレート2発で対抗するが、右ストレートのボディブローと右フックの相打ちで劣勢。


9R ペテルビエフは右ストレートのボディブロー2発、左フックのボディブローを始めとして一気に攻勢を強め倒しにかかり、後半は ダウン寸前にクボジーク追い込まれる。


10R クボジークは開始早々2発の右ストレートのカウンター狙いをみせるが、ペテルビエフの攻撃の前についにダウン。左・右フックで2度目のダウン、右フックで3度目のダウンでペテルビエフTKOでクボジークを下す。

 

9Rまでの採点は87:84、86:85と2人がクボジーク。87:83でペテルビエフが1人であった。
クボジークは相手の強打に軽打でパンチを当てゝ各ラウンドを取る作戦であったが、相手の圧力に次第に疲労を深めていった。ペテルビエフは相手の足を止め、スタミナを奪って後半勝負に持ち込んでいく作戦をとり、相手に圧力をかけて自分は適当に休みながらの省エネボクシングで体力を温存し、9R勝負にでて見事に倒し切った。

勝ち方を知った戦い方は知能的でもあった。これで全階級のチャンピオンを通じて唯一の全勝全KOを守った。
クボジークはペテルビエフの前進を止める為にもっと左ジャブ、右ストレートを早く強く繰り出す必要があった。従来の戦い方で成功してきたが今回の相手はこのパンチ力とスピードでは止めることが出来なかった。しかし王者同士の戦いはお互いにしっかり作戦を立てて計画に従って実行されており仲々味わい深く、見るべきところが多い試合であった。

 

会場 さいたまスーパーアリーナ ワールド・ボクシンズ・スーパーシリーズ 2019/11/07

ワールド・ボクシンズ・スーパーシリーズ

※その階級で誰が一番強いかを決めるトーナメント

 

井上尚弥 日本 26才

戦跡18戦全勝16KO ニックネームはモンスター

3階級制覇チャンピオン 準々決勝は1R、準決勝は2RでKO勝ちしている。

 

ノニト・ドネア フィリピン 36才

戦跡45戦40勝26KO5敗 ニックネームはフィリピーノ・フラッシュ

5階級制覇チャンピオン

 

8年程前にWBC・WBOチャンピオンとの統一戦でフェルナンド・モンティエルを2R左フック一発でKOに下し倒れたモンティエルを2R左フック一発でKOに下し倒れたモンティエルが両・手足をばたつかせてもがいた姿が今でも鮮明に脳裡に焼き付いてる。

この一戦で、ドネアの左フックは世界にその名を轟かせた。しかし2014年10月フェザー級の頂上決戦で豪腕ニコラス・ウォータースと対戦6R KOと完膚なきまでに惨敗を喫し、ドネア時代も終焉かと思われたが、クラスをバンタム級に引き下げて復活。

戦前の不利との予想を覆して、モンスター井上と互角に渡り合った。

9Rにあわや井上をKO寸前に追い込んだのだから。

さて、1R井上の左ジャブのボディブローで試合は始まった。ドネアは圧力をかけて前に出る。中盤両者激しく打ち合う。左ふっく不十分ながら両者相打ち。

スピード差で井上やや優勢。体格はドネアが3kg程は大きいようだ。

2R 井上の左フック2発でドネアたじろぐ。

終盤ドネアの左フックで右目上瞼切る。かなりの深傷のようだ。

3R 井上、右拳で石顔面をガッチリガードしてドネアの左フックに備える。ドネアは2Rの余勢を駆って攻めるが、井上、左ジャブを出しながら足を使ってアウトボクシングする。

4R 井上、ガードを固めて左リードジャブを間断な出して距離をとる。ドネアは井上のパンチに左フックを合せる作戦のようだ。

5R ドネアの前に出るところに井上のパンチが的確にヒット。右ストレート・左フックでドネアぐらつく。

6R 両者ともにこのラウンド、一休みか、井上後半ポイント獲得を狙って攻勢をかける。最後の左フックで優勢をとったか。

7R 相変わらずドネア前進。井上の右ストレート、左フックのボディブロー決まる。

8R ドネアは何れが優勢か判断できないこの試合の主導権を明確にとるべく攻勢を強め、右ストレート等で追い上げる。

9R ドネアの右ストレート強烈で井上腰がくだけかかるが辛うじてクリンチに逃れる。ドネアは当然井上が反撃に出るとみて、それに合わせての左フックのカウンターを狙ってか追撃の手を弛めるうちに井上立ち直る。

10R 井上、このラウンドからが勝負とみて猛然と攻撃。右フック2発を始めとしてドネアに打ち勝つ。

11R ドネアの打ってくるところに左フックのボディブローがカウンターとなってこれまでボディーを打たれて疲労してきたドネアはついにダウン。辛うじて立ち上ったところに井上追撃するが、ドネアは弱ったうちにも必殺の左フックの切れ味は依然として健在。その威力は衰えていない。

12R ドネアは最後の勝負をかけてカウンター狙いに徹したが、井上かさにかっての攻めは自重し、攻勢は維持したまま終了。

判定は116:111、117:109、114:113で軍配は井上に挙った。

ドネアは全盛期をすぎたとは云え、プレッシャーのかけ方、左フックの切れ味、相手にプレッシャーをかけながら自分は適当に休む等試合運びのうまさ、スピード・スタミナも十分計算して終盤におとすことなく、良く準備してきた。

さすが、レジェンドと云うべき試合であった。

一方井上は右目上に深い傷を負うハンデを抱えながら、冷静に戦況を判断し、この試合に勝利する最善の方法を選択する能力を発揮。危険を犯す事を避けながら、ポイントも計算。終盤に至るもスピードもパンチ力も落とす事なく、チャンスとみると必殺の左フックのボディブローを放つなど勝負師らしさを示した。

打たれ強さも証明。総合的な強さを改めて世界に示した。この試合で世界的人気も一段と上る事であろう。

会場 ミネソタ州ミネア・ポリス アーモーリー                        ①ヘビー級12回戦、② NABO北米ヘビー級王座決定戦     ③WBA Sウエルター級王座決定戦 2019/10/21

①  ヘビー級12回戦 

ジョー・ジョイス(英国)33才 戦跡 9戦全勝全KO リオ五輪銀メダリスト WBCヘビー級14位 ニックネームはジャガーノート(圧倒的破壊力)
対戦者 ブライアント・ジェニングス(米)34才
戦跡 27戦24勝14KO 3敗 ニックネームはバイバイ 世界戦2試合で敗れている。ウラジミール・クリチコとルイス・オルティス。


試合は12R判定118:109、117:110、115:112でジョイスの勝利であった。

体力と手数の多さで優位に立ったが有効打はほとんどなく、有効打はジェニングスの方が多かったが如何せん手数が少なすぎた事とロープに詰まる事も多く、見た目が著しく悪かったことが災いしたのは明かである。

ジョイスは輝かしい経歴でイギリスのホープではあるが、スピードもパンチ力も無く、体格と手数の多さで押し切って勝ってきたが、今後強豪と対する事を考えると将来は極めて厳しいの現実であろう。

 

②  NABO北米ヘビー級王座決定戦
フランク・サンチェス(キューバ)27才 戦跡 13戦12勝10KO 1無効試合
対戦者ビクトル・ビスパル(プエルトリコ)39才 戦跡 26戦23勝17KO 3敗 

体重125㎏両者の体重差は25㎏


1R サンチェスの左ジャブは早く長く鋭い。右ストレート、左右フックは力感溢れる力強さでスピードも満点。ビスバルはそのスピードに対応出来ず。2R からは相手のパンチに合わせてのカウンター狙い一本に絞って対抗するが不首尾に終わり、為す術なく4R に至って一方的に打たれ  4R終了時コーナーに戻る際に足がもつれてよろめき、このR 終了でギブ・アップ、KOとなる。

 

サンチェスの動きパンチの速さはまるで中量級で、今後大いに期待できる逸材とみた。

 

③  WBA Sウェルター級王座決定戦
エリスランディ・ララ  キューバ生まれのアメリカ人36才 戦跡 31戦25勝14KO 3敗3分 サウスポー ニックネームはアメリカン・ドリーム。14年7月ミドル級カネロ・アルバレスと戦って1:2の僅差の判定負け。しかし中盤以降アルバレスを子ども扱いにして翻弄、そのテクニックの冴えを存分に発揮して明らかに優勢で疑問の残る判定であった。
その後Sウエルター級の王者となり7度防衛したが8度目の防衛でジャレット・ハード相手に優勢に試合を進めていたが12R不覚のダウンを喫し1:2で判定負け。その2の1つは1ポイント差であった。


対戦者  ラモン・アルバレス(メキシコ)33才 戦跡 39戦28勝16KO 7敗3分1無効試合
アルバレスは男7人、女1人の8人兄妹であり、その内リコベルト、リカルド、ラモン、カネロの4人がプロボクサーである。
計量日の体重は2㎏オーバーして、もしこの試合に勝ってもタイトルはとれない。しかも試合当日の体重差は3.6㎏であった。


1R  ラモンはこの事態に気落ちしてか精彩を欠いて、スピードも切れもない。

ララは伸びのある右ジャブからの左ストレートが的確で 2R 右ジャブでラモンの顔をあげての左ストレート3発でラモンをロープダウンに追い込んみ、試合再開でロープに詰めての連打でレフリーストップを呼び込んだ。

 

流れるような理詰めのテクニックを見せてチャンピオンに帰り咲く。
全階級を通じて屈指のテクニシャンであり、その技術の素晴らしさはまさに惚れ惚れする選手である。

 

会場 ロンドンD2アリーナ 三団体統一ライト級タイトルマッチ 2019/09/01

WBA・WBO チャンピオン ワシル・ロマチェンコ ウクライナ

オリンピック2大会 連続ライト級金メダリスト

戦跡 14戦13勝10KO1敗 ニックネームはハイテク

挑戦者 ルーク・キャンベル イギリス

戦跡22戦20勝16KO2敗 ロンドンオリンピックフェザー級金メダリスト

この試合はWBC王座決定戦(ミゲール・ガルシアの王座返上による)も兼ねて勝者は3団体王者となる。

お互いにサウスポー、オッズは12:1でロマチェンコ

 

1R 身長で5cmリーチで14cm優れ、キャンベルはこの特長を生かして、右ジャブを盛んに繰り出し左はしっかり顎に付けてロマチェンコの右フックに備える。

ロマチェンコはほとんど手を出さずに相手の出方をみるが、距離の長さは感じているようだ。

 

2R ロマチェンコの動きが始まり距離はやや詰まってきたが、未だロマチェンコの距離ではない。

 

キャンベルはロマチェンコの入ってくるところに左・右のボディアッパーで対抗。

 

3R ロマチェンコの右ジャブは鋭く、当り始め、キャンベルの顎があげられ、やや上体が起され始める。

 

4R キャンベルの右・左のボディアッパー2発ヒット

ロマチェンコの左ボディブロー一発は強烈で、キャンベルたじろぐ。

 

5R キャンベル、ロマチェンコに入り込ませない為に右ジャブを多用するが、ロマチェンコの左フック顔面にヒット。

ついでの左フックのカウンター顔面に直撃。更に連打でキャンベルダウン寸前に追い込まれゴングで辛うじて救われる。

 

6R キャンベル、5Rの盤回を図るべく前に出る。

これをみたロマチェンコは相手をみて巧みに躱し、中盤以降に攻撃を強めキャベル、ロープに詰る状態が多くなる。

 

7R キャンベルの左アッパーがカウンターとなり、ロマチェンコ怯む。Rの後半、ロマチェンコ猛攻に転じ、試合は一方的な様相を呈してくる。

 

8R ロマチェンコのスピードは次第に上ってきて独壇場となってきた。が、一方的にならないのはキャンベルが右・左のアッパーで対抗してくる為。

 

9R ロマチェンコはこのRやや休む

 

10R ロマチェンコ、右ジャブを上・下に打ち分けてキャンベルの上体を起こす。

 

11R チャンピオンシップラウンド

ロマチェンコは倒しにかかり、猛然と打って出る。

左フック顔面にヒットぐらつくところ、上・下に雨あられの連打を浴びせてキャンベルついにダウン。終わったかにみえたが、キャンベル立ち上る。

 

12R ロマチェンコ中盤最後のKO狙いで、攻撃をかけるがキャンベル辛うじて凌いで終了

判定は118:109が1人、119:108が2人でロマチェンコの圧勝であった。

 

ロマチェンコの凄さは11Rになってもこの攻撃力を発揮出来る事と、後半になるほどスピードパンチ力を上げる事が出来る事を改めて示した。

判定まで持ち込んだのはキャンベルの斗い方にあり、右ジャブを多発して距離を保った事を入り込んで来た時に恐れずに右・左のアッパーのボディブローを打ち込んだ事にある。特に中盤までロマチェンコはパンチに力を入れる事が少い為に打たれるのを覚悟してアッパーを振ってダメージを与えようとした作戦は見事であった。又何よりもオリンピック金メダリストプライドにかけて不様な試合は出来ないとのキャンベルの気持ちが大きかったのではと思われる。

会場テキサス州ヒューストンNRGアリーナ WBC Sウェルター級挑戦者決定戦 2019/08/26

とは云っても、決定戦の準決勝で決定まであと1試合が必要。

 

エリクソン・ルビン アメリカ 23才

戦跡21戦20勝16KO 1敗 同級4位

ニックネームはハンマー 2年前に、当時チャンピオンのジャーメル・チャーロに挑戦したが、初回右アッパーを受けてKOに敗れている。

当時の予想ではややルビン有利と出ていたが、再挑戦を目指す。

対戦者ザカリア・アトー フランス 37才 同12位

戦跡37戦29勝7KO6敗2分

ルビンは、早い右ジャブできついプレッシャーをかける。

右手を下げたデトロイト・スタイル

 

3Rまで、攻撃は厳しくアトーは防戦一方

 

4R ルビンはアトーをロープに詰めて連打でダウン。コーナーからタオルが投げられてKOにアトーを下す。ルビンはここらで足踏みしている訳にはいかない。チャンピオンになる素材だからだ。ただ直線的な攻撃のみに疑問は残る。

 

同会場 WBC ミドル級タイトルマッチ

チャンピオン ジャーマル・チャーロ アメリカ 29才

戦跡28戦全勝21KO ニックネームはヒットマン

往年の名選手トーマス・ハーンズが使っていたものだ。

 

挑戦者ブランドン・アダムス アメリカ 29才

戦跡23勝21勝13KO2敗 ニックネームはキャノン(大砲)

 

1R アダムスは小柄で身体も柔らかく、防衛技術に秀れており、チャーロのパンチが全く当らない。

 

2R以降 中盤まで、この状態は続き、チャーロのパンチはまともに当る事がなく、アダムスは距離を置いて飛び込む時は素早く接近して、チャーロの内懐に入り込む。自分の考えた作戦通りの試合振りである。

後半に入るとアダムスのスピードはやや落ちてきてチャーロのパンチが不十分ながらガードの上に当たりだし、主導権を握る。そのまま12Rまで推移して終了。後半はチャーロ・アダムスが出来るところに右ストレートのカウンターを狙い、入り込むところに右アッパーを突き上げる方針に変更した。

 

判定は119:109が1人、120:108が2人でチャーロの完勝であった。チャーロは早くうまく、かつ小柄な相手にパンチを強振しても当らないことを自覚して懐に入り込ませないようにうまく対応して斗った。

 

派手なKOを狙うことが墓穴を招くことを警戒し、勝つ事に徹したのは賢い選択であったと思われる。依然としてS・ウェルター・ミドルクラスの台風の目である事は変らない。

会場 カリフォルニア州 ラメキュラ・ぺチャンプ リゾート&カジノ IBFライト級タイトルマッチ 2019/08/19

 

IBFライト級タイトルマッチ

チャンピオン リチャード・コミー ガーナ32才

戦跡30戦28勝25KO2敗

初防衛戦

 

挑戦者レイムンド・ベルトラン メキシコ38才

戦跡46戦36勝22KO8敗1分1無効試合

元WBOライト級チャンピオン 4度目の挑戦でたいとるを獲得した経験を有する歴戦の雄である。

 

1R 右ストレートでベルトランダウン。立ち上がったところにロープに詰めて乱打でレフリーはロープダウンを宣する。

 

2R~4R ベルトラン立ち直って互角の斗い。

 

しかし、5R、体力で押されて3度目のダウン

 

ベルトラン、左目上切る。6~7R、一進一退。

 

8R コミーの左フック一発で4度目のダウン

これをみて、レフリーストップを宣しコミーは初防衛線に勝利。

ベルトランは未だ身体が暖まっていないときにいきなり先制攻撃を受けての2回のダウンによるダメージが大きく、後半に盛り返す。

 

いつもの斗いが出来なかったコミーはこのクラスでロマチェンコの対抗馬と目されているが、確かにフィジカルが強く、パンチの強さもスタミナもあるが、パンチがやや大振りで的中率が悪く、スピードに欠けている為にロマチェンコに勝つのは難しいと考えるのが妥当なところだ。

むしろ若手のテモフィオ・ロペスの方にチャンスがあるやも知れない。若くして完成された技術とスピードを有しているからだ。

会場 ニュージャージー州ニューアークプルテンシャルセンター NABO北米フェザー級タイトルマッチ 2019/08/05

シャクール・スティーブンソン WBA・WBOフェザー級1位

戦跡11戦全勝6KO 16年リオ五輪銀メダリスト

ニックネームはフィアレス(怖いもの知らず)

アルベルト・ゲバラ相手に1Rから押しまくり2Rにダウン2度。3Rに2度ダウンを奪ってKO勝ち。年内にはタイトルマッチが組まれる事であろう。

プロ転向時にはスピードとうまさが目立っていたが、体力がつきパンチも強まり、倒しやになりつつある。

会場 ラスベガス・MGM・グランドガーデン・アリーナ WBOインターコンチネンタルヘビー級タイトルマッチ 2019/08/05

タイソン・フューリー イギリス 30才

戦跡28戦27勝19KO 1分 元3団体王者

トム・シュワルツ ドイツ 25才

戦跡24戦全勝16KO

 

フューリーは黒いフード付ガウンをまとって登場。これを脱ぐとアメリカ国旗をあしらったシルクハットとガウンでロッキーを思わせるパフォーマンスで、そのエンターテイナー振りを披露し観客の気持ちを瞬時に掴んだ。

シュワルツは全く霞んでしまったが、その上スーパーファイトに怖気づいたか実力も胆力もついていけない様子であった。

 

1Rフューリーは鋭くて早い左ジャブを繰り出し、時に右ストレートで主導権を握る。

 

2Rフューリー左構えにチェンジ。左ストレートでシュワルツ鼻血を出し、これではならじと攻撃に出るが総て躱された上、ロープに詰められて、左ストレートを受けてダウン。立上がったところ連打でレフリーストップ。2分54秒であった。フューリーは開始早々から相手を完全に呑んでかかり、格下にスパーリングをつけるような試合振りでヘビー級の2大実力者の力を世界に示した。ワイルダーとの再戦が待たれる。

会場 ラスベガス・マンダレイベイ・リゾート&カジノ ミドル級6回戦 2019/07/29

ジョーイ・スペンサー アメリカ19才

戦跡7戦全勝6KO

白人のスター候補生として期待の星

 

アキーム・ブラック アメリカ24才

戦跡7戦5勝2KO2敗

スペンサー59:55の判定(3人とも)で勝利したが、左手を曲げたデトロイトスタイルで斗ったが、ブラックの早いパンチに対応できず大苦戦。防御も攻撃も基本から練習し直す必要ありとみた。今のままでは大成はおぼつかない。

WBC S・バンタム級 挑戦者決定戦

ギジェルモ・リゴンドー キューバ38才

戦跡20戦18勝12KO 1敗1無効試合

シドニー・アテネオリンピックで連続金メダル獲得

WBA王座を10度防衛し、ライト級のロマチェンコと対戦したが、途中ギブアップで完敗。大いに株を下げた。

 

対戦者 フリオ・セハ メキシコ26才

戦跡35戦32勝28KO3敗

1R~8Rまでリゴンドーは試合の運び方を根本的に変えて斗った。従来は相手との距離を取り、相手の出てくるところに右ジャブからの長い左ストレートのカウンターで迎え打ち、当ったとみるや連続攻撃で止める。相手に打たせないで打つ。徹底したスタイルで斗って北川、人気が今一つ出ないことから試合のプロモーターが仲々つかず、ビッグマッチにも恵まれなかった。やっと掴んだロマチェンコとの対決に惨敗。戦略を変更して、接近戦で正面から打ち合う作戦をとる事とした。

汚名挽回と人気獲得の為である。

 

セハにとっては得意の分野で願ってもない接近戦で目一杯斗った為に、一進一退、リゴンドーにとっては始めてスペンスは時折り強烈なパンチを振う。始めての経験であり、相当に打たれたが8R、左フック一発でセハをKOに下した。しかしこれだけ打たれては、選手生命を縮める事になる。年齢の事もあって果してリゴンドーの今後はどうなるか。

Sウェルター12回戦

前WBC Sウェルター級チャンピオン

ジャーメル・チャーロ アメリカ 29才

戦跡32戦31勝15KO1敗

トニー・ハリソンにまさかの敗戦で王座陥落した。復帰戦である。ニックネームは「アイアンマン」

双子の兄はミドル級王者

 

対戦者 ホルヘ・コタ メキシコ31才

戦跡31戦28勝25KO3敗

ニックネームはテモニオ(悪魔)

 

3R 右ストレートでコタダウン 立ち上ったところに右ストレート見事に顎にヒット。コタ・ダウンしてしばらく立上れず、壮絶なKOであった。

ジャーメルはタイトル獲得前は技術優先のスタイルであったがその後強打者に変身。中量級の有数のハードヒッターとなった。今やチャーロ兄弟はSウェルターとミドルのクラスの台風の目となっており、サウル・アルバレスの最強の敵となった。

会場 ラスベガス・MGMグランドガーデン・アリーナWBAウェルター級王座統一戦 2019/07/22

WBAウェルター級スーパーチャンピオン

キース・サーマン アメリカ30才

戦跡30戦29勝22KO 1無効試合

 

6年間で8度の防衛を果している。2年前に強豪ダニー・ガルシアと突貫ショーン・ポーターと斗い打ち勝ってウェルター級最強と謳われたが、故障によって2年間ブランクをつくり、復帰第1戦に勝利し、6ヶ月振りの試合である。

 

ニックネームは「ワンタイム」

挑戦者 WBAレギュラーチャンピオン マニー・パッキャオ

フィリピン 40才

戦跡70戦61勝39KO 7敗2分

 

10代20代30代40代にかけてフライ級からS・ウェルター級までのうち6階級を制覇しておりいずれもボクシング史上初めての選手である。強打のルーカス・マティセをKOに下して何度目かの戴冠を果し、自身2度目の防衛戦でもある。

 

1R サーマンは自信満々にドッシリと構えてゆっくりと前進圧力をかけてパッキャオをロープに詰めて攻勢をとったが、終盤近く左から返しの右フックを受けてまさかのダウンを喫した。サーマンの足が揃ったところにパンチを受けてバランスを崩してダウンしたものでダメージはなかったが、精神面での負い目は図り知れないものがあった事であろう。

 

2R サーマンの従来の試合は、左右のパンチを大きく振って攻めるスタイルであるがスピードがある為に、付け入られる事がなかった。しかし今回ダウンを奪われて戦術を転換したが、左ジャブを多くし、右はショートストレートを主体に切り換えて慎重に対処するようになる。パッキャオはダウンを奪って、動きが良くなり、右フック、左ストレートが不十分ながらヒット、ペースを握った。

 

3R お互いにフェイントをかけ合い、有効なパンチはなく一進一退。

 

4R サーマンは主導権をとり戻すべく攻勢に出るが、パッキャオも反撃、両者の手数が多くなる。

 

5R サーマン4R同様流れを取り戻す為に攻撃力を強める。このラウンドをどちらが取るかによってこの試合の帰趨を決める重要なラウンドとみて、互いにベースを取り合う。

サーマン鼻血を出す。

 

6R 両者手数は多いが有効打はない。

 

7R サーマン、積極的に攻撃。右ストレート・左ジャブのカウンターを当てて、サーマンのペースとなってきた。

 

8R パッキャオ、前ラウンドの劣勢をとり戻す為に動きも良くパンチも当り出す。

 

9R 一進一退

 

10R サーマン局面を打壊する為にパンチを振って前進するところ。パッキャオの左アッパーのボディブローを受けて、サーマン明らかなダメージを受けて以降スピードもパンチの力強さを失われる。

この試合で1Rのダウンを除けば両者にとって唯一のクリーンヒットであった。

 

11R サーマン必死で右ストレート2発有効打あり。このRをとる。

 

12R パッキャオ優勢のまま終了

 

判定は114:113が1人サーマン。115:112が2人パッキャオでパッキャオがタイトルを統一した。

明確な差は1Rのダウンと10Rのボディブローであとはどちら有利とも云えない試合でありこの2つのラウンドが勝敗を決定したのである。

試合前サーマンはパンチ力、パンチのスピード、スタミナ、体格、すべての面で自分有利は動かないと確信していたし、何といっても自分は脂の乗り切った絶頂の30才。相手は引退していて当然の40才で体力の衰えは誰も否定できない事実であったからだ。従ってパッキャオのパンチを少々食らっても大丈夫と思っていたであろう。

やや相手を甘くみたか、体力にまかせて圧力をかけロープに押し込んだが、ショートの右フックを受けてまさかのダウンを喫した。2R以降、倒すのを断念して、ポイントを獲得する作戦に切り換えて、コンパクトの左ジャブと右ストレートと主要武器としたが、いかんせん迫力に乏しくなったのは否めない。中盤から主導権を取るべく何度も仕掛けたが、その都度反撃にあって果せず。

一進一退をくり返すなか、1R、10Rの2ラウンドの有効打が勝敗を決した。10Rのボディブローにみるパッキャオの攻撃力はサーマンの予想をはるかに超えていたのである。パッキャオ恐るべし。

会場スコットランドのグラスゴー WBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)準決勝2019/05/19

バンタム級4団体の中で誰が一番強いのかを8人で争うトーナメント。WBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)の準決勝戦である。

 

WBAチャンピオン 井上尚弥26才

Lフライ級 Sフライ級 バンタム級の3階級制覇チャンピオンで準々決勝はファン・カルロス・マヤノを1R70秒でKOに下している。

戦跡17戦全勝15KO 内世界戦12戦全勝11KO ニックネームはモンスター

対するIBFチャンピオン エマヌエル・ロドリゲス

プエルトリコ 26才 戦跡19戦全勝12KO

ニックネームはマニー

 

現地のオッズは5:1で井上と出ており、計量時のロドリゲスはこれを知って、これまでの試合で戦前の予想で自分が劣勢に立ったことが始めての事もあって、表情がやや硬く、緊張しているのがみてとれた。井上はリラックスして笑顔もみせていた。

 

1R ロドリゲスは井上を前に出させてはその攻撃力からみて勝機はないと考えたのであろう。序盤に主導権を握ることが、何より大事とみて積極的にパンチを出し、井上の左リードに右ストレートを合せる等、圧力をかけて前に出て、先ずは作戦通りに1Rを終了

2R 1Rで様子をみていた井上は打って出るとロドリゲスもここが勝負とみて正面から対抗するが、井上の左ショートフックが顔面を捉えるや、ロドリゲス堪らずダウン、鼻血も出す。何とか立ち上ったところに顔面警戒のロドリゲスに左フックのボディブロー決まってロドリゲス苦悶の表情を浮かべて2度目のダウン。この時点で首を振ってもう駄目の意思表示をしたが、それでも立上ったところ、再びの左フックのボディブローで3度目のダウン。レフリーストップとなった2R1分19秒であった。司会者が今回は何故2Rもかかったのか質問したように今や井上のパンチの威力はヘビー級を除けば、全階級のトップに位置するといって過言でない。

年内に沢勝戦が行われるが相手は歴戦のつわものノニト・ドネアだが、余裕のアクシデントでもないかぎり井上の圧倒的有利は変らないであろう。

ロサンゼルス マラーブルズ・センター WBOライト級2019/04/13

 チャンピオン ワシル・ロマチェンコ ウクライナ31才

戦跡13戦12勝9KO1敗 3階級制覇している13戦のうち12戦が世界戦であり、パウンド・フォー・パウンド1位にランクされているスーパースターである。

挑戦者 アンソニー・クロラ イギリス 32才

戦跡43戦34勝13KO2敗1分

ニックネームはミリオンダラー 元WBAライト級王者ホルヘ・リナレスと統一戦を戦い敗れてタイトルを失う。

戦前のオッズは18:1で当然ながらロマチェンコであるクロラの計量時の自信に満ちた表情とその体型をみても体調は完璧に仕上げて来たことがうかがえた。

1R ロマチェンコはフェイントを掛けて威嚇、早い右ジャブを上・下に終盤はコーナーに詰めて上・下・左・右にコンビネーションを打ち分ける。

クロラは戦前の予想では前に出て、左右フックをボディにとであったが、ロマチェンコのスピードとパンチの早さに防御するので手一杯。

2R ロマチェンコは右ジャブの連打から、右フックをボディ、左アッパーを顔面ボディにと一段とスピードを上げる。クロラは右フックをボディに一発のみ一方的に押される。

3R ロマチェンコは右フックを上・下に、体を入れ替えて左ストレートをボディに上・下・左・右にパンチを散らし、クロラは防戦一方、ロープに詰めて左・右の連打で、打たれ続けたクロラを見て、レフリーは両者の間に割って入った。ロマチェンコもコーナーも試合終了と判断しコーナーもリングに入ってきたが、レフリーはロープダウンを宣言し、試合は続行すぐコングでクロラは救われる。

4R ロマチェンコは倒しにかかり、左ボディブローは強烈。ついで右ふっくがランプルを直撃、クロラは顔面からマットに沈んでしばし立ち上がれず、壮絶なKO敗けとなった。クロラはリングに上って何もさせてもらえずに唯打たれて完敗した。

ロマチェンコの強さの秘訣は一体どこにあるのか、第一に相手との距離がある。自分は自在に動けてパンチも当たるが相手は戦えない距離で動きが早くてクリンチもできない。

リング上で相手と対峙した時点で瞬時に距離を把握するやフェイントをかけて威嚇。更に右ジャブをつきながら一気に距離を詰める。相手は異常スピードで接近する敵との距離をとる為に後進するが、それを許さず距離を確保するのだ。

第ニに相手は接近する敵を止めるべく、ジャブ・ストレートを繰り出そうとするが、その気配を察知して先にパンチを出し、相手の攻撃を封ずる、又はステップバックして攻撃をかわすやいなや、すぐさま元の攻撃位置に戻る。

第三に、接近された相手が自分の距離を確保する為に後退し体制が整わない時点で多彩なパンチ、右ジャブ、左右ストレート、フック、アッパーを上・下・左右に打ち分けられ相手は防御に追われて体制が崩れたところにパンチを受けて、ダウンに追い込まれる。強いパンチでなくても良いのだ。

第四に相手の力量を見極めたら、あとは変化自在に自分の予定通りに試合を進めて打たれた相手が体力的にも消耗し、それ以上に子供扱いされて一方的に打たれ続けた為に気力を奪われてもう何をやってもやがて倒されるだけだと戦斗意欲を失ってしまう。

唯一、ホルヘ・リナレスのカウンターのショートストレートを食ってダウンを喫したのが、あの至近距離であのショートストレートを打てるのは今ホルヘしかいなにので、天才のホルヘの技術はさすがのロマチェンコの予想を超えたものであっただろう。

リナレス戦とペトラザ戦でやや苦戦したことでロマチェンコもこの2戦のモヤモヤを払拭する意気込みが感じられて前半から攻撃的であった。2度の防衛戦を終え、3度目となったこの試合で、このクラスによって一段と凄みが増した。相手のパンチを受けない技術は生来のものが絶対の自信をもっており、そうでなければアマの戦跡396勝1敗などというとてつもない記録は生まれなかったであろう。ライト級での最後の敵はミゲール・マイキー・ガルシアであるが、この強敵もこの調子でいけば問題なく下すことであろう。この選手は一体どこまで高みに登って行く事であろうか。

テレビで試合をみて、さほど力を入れていないパンチなのに、何故倒されるのであろうと不思議に思われる。レオ・サンタクルス(WBAフェザー級王者)のようにあれだけ打っても、仲々KOは出来ないのにと、ロマチェンコは相手の打たれると思わない時に、その個所を打たれると思わない処を打つので、通常の2倍・3倍とダメージを与える事ができるのであろう。