プエルトリコ・バヤモンルーベン・ロドリゲス・コロシアム。 WBA・WBC Sライト級タイトルマッチ。チャンピオン ダニ・ーガルシア(プエルトリコ系
米人)25歳。戦跡27戦 全勝16KO、ニックネームはスイフト(俊敏な男)。
対戦者はWBA Sライト級3位マウリシオ・ヘレラ(メキシコ系米人33歳)。戦跡23戦 20勝 7KO 3敗、ニックネームはマエストロ(達人)、2011年に豪打のルスラン・プロポドニコフを破っている。
1R ガルシア圧力をかけて前に出る。2R~12Rまでガルシアの得意の右フックが全く当たらず、ヘラレの軽いパンチが良く当たる場面に続く。
ガルシアは足を使ってヘレラの周囲を廻り、アウトボクシングで闘うが大苦戦のまゝ12ラウンド終了。判定は114:114が一人、116:112が二人で2:0でガルシア辛くも勝利したが、疑問の残る判定であり、試合の主導権はむしろヘレラにあったようにも見られた。ガルシアは元来カウンター・パンチャーで自分から打って出るタイプではない事と、リードパンチが少ないことが今回の苦戦の原因と見られる。エリック・モラレス、アミール・カーン、ザブ・ジュダーそして強打のルーカス・マティセを倒して一躍スター・ダムにのし上がったガルシアに陰がさした一戦であった。今後の対戦者はヘレラの戦法を参考にして
くることは必定であるからだ。
プエルトリコ・バヤモンルーベン・ロドリゲス・コロシアム 司会はジミー・レノンJR。WBOインターナショナルSフェザー級タイトルマッチ。
元2階級制覇チャンピオン ダニエル・ポンセデレオン(メキシコ)33歳、
戦跡50戦45勝35KO5敗。
対戦者ファン・マヌエル・ロペス(プエルトリコ)30歳ニックネームはファンマ。戦跡36戦33勝30KO3敗。
両者は2008年に対戦1R KOでロペスが勝利している。ロペスの3敗はオルランド・サリドに2敗、ミゲール・ガルシアに1敗である。両者ともサウスポー。
1R ロペス例によって右フックを振るう。ポンセデレオンは右フックとストレートで対抗。2R ポンセデレオンの左フックでロペス ダウン、倒しに掛かったポンセデレオンは警戒していたロペスの右フックにガードがおろそかになり、振った右フックに合されたロペスの黄金の右フックでダウン。ロペスは手を緩めずに連打で2度目のダウンを奪い、更に連打でレフリーストップ、TKOに下しトップ戦線に生き残った。ロペスは相変わらずパンチをまともに受け、防御に難点があることを露呈した。先行きが懸念される。
ニューヨーク州ブルックリン・バークレイズ・センター
S・フェザー級8回戦、58・97kg,WBOフェザー級1位 ゲイリー・ラッセル(米)25歳、戦跡23全勝13KO。
対戦者ミゲール・タマヨ(メキシコ)共にサウスポーである。
1R 共に右が良く出て、頭を付けて打合う。ラッセルの右フックが顔面、ボディに一発づつ。2R ラッセルは右ジャブ、フックを顔面、ボディに打ち分け優勢。3R ラッセル優勢のまゝ 4R 右フックのボディから顔面へのコンビネーションでタマヨ ダウン、そのまゝKOとなる。
ラッセルは右が早く強く多彩であるが左が今一の感あり。しかし近くチャンピオンつく可能性をうかがわせた。
ニュージャージ州 アトランテックシティ・ボードウォークホール・ボール・ルーム
WBO・Lヘビー級タイトルマッチ75.38kg
チャンピオン セルゲイ・コバレフ(ロシア)
30才 ニックネームはクラッシャー(破壊者)
戦跡24戦23勝21KO1分、KO率88%、
挑戦者セドリック・アグニュー(米)27才
戦跡26戦全勝13KO サウスポー
1Rコバレフ、プレッシャーをかけて相手をロープに詰めて左ジャブ、左フックを顔面、ボディに打を分ける。アグニューはコバレフの力に押されてガードを固めて防御を専らとする。
2Rアグニューはガードを高く掲げて守る一方、コバレフは固いガードの空いている所を狙って多彩なパンチを送り込む、右フックの返しの左フックでアグニュー1度目のダウン
3R左ストレート、右フックのボディ打ち強烈アグニューすっかり呑まれて防戦一方そのままコバレフの一方的な攻撃のまま試合は推移
6Rコバレフの左ジャブで2度目のダウン
7Rコバレフの左ジャブのボディでローブで7R58秒KO
コバレフは前評判通りのパンチの強さ、正確さ、多彩さ、試合運びのうまさを実力を存分に見せて今度もっと人気も上ってスーパーファイトも組まれていくことであろう。
ドイツ・ザクセン・アンハルト州・マクデブルグ・ゲテック・アリーナ
WBO Sミドル級タイトルマッチ76.20kgチャンピオン ロバート・スティーグリッツ ロシア出身のドイツ国籍32才 戦跡49戦46勝26KO3敗
挑戦者アルツール・アブラハム・アルメニア出身のドイツ国籍34才
戦跡42戦38勝28KO4敗 ニックネームはキング・アーサー、
ミドル級で王座に長く君臨、無敵の強さを誇って全勝のままSミドルに階級を上げてS.シックスのリーグ戦に挑んだ。ミッケル・ケスラーと並んで優勝候補であったが、攻防分離の弱点を突かれてアンドレ・ウォード・カール・フロッチ、アンドレ・ディレルに破れて低迷した。この両者は第一戦にアブラハムが判定にスティーグリッツを下して王座についたが第2戦目はスティーグリッツが4R、TKOに下して王座奪回してこの試合が3戦目である。
1R、ボクサータイプでテクニシャンのスティーグリッツが先制攻撃をかけて接近戦を挑み、スロースターターのアブラハムが力を出さないうちに主導権をとる作戦に出た。
手数も多く前進する迫力にアブラハムは例によって両腕でガッチリとガードを固めて受け止める防衛に専念する。
2Rも1R同様アブラハムは殆んど手を出さないまま相手の攻撃を受けて終了。
3Rスティーグリッツはアブラハムの得意とする中間距離で闘うことを避けて打ってはクリンチで相手を攪乱する作戦に出る。
4R前回同様でペースはスティーグリッツで試合を支配していた。
5Rアブラハムもやっと手を出し始め 6Rスティーグリッツの手数に対し、強打で対抗。左右フックを丸太棒を振り回すように振う。
8R相変わらずスティーグリッツは手数で試合を支配する作戦、アブラハムはラビットパンチの反則で1点減点。
9R今度はスティーグリッツが相手を押さえ込んで減点1、前半のハイペースで疲れてくる。
10Rスティーグリッツは前進するがスピードも強さも失われて11R、何とか手数を出してポイントを取る努力をするが、アブラハムの右フックが当たり始め、12R左アッパーと次いでの右ストレートでスティーグリッツ遂にダウン。何とか立ち上がって終了。判定は113:112でスティーグリッツあとの2人は115:110、114:111でアブラハムの2対1の勝利となった。アブラハムは勝利したが、ミドル級時代の輝けるキング・アーサーの姿はそこには見ることが出来なかった。
ネバダ州ラスベガス・MGM・グランドガーデン・アリーナ
WBA・Sライト級タイトルマッチ 63.50kgチャンピオン カビブ アラクベルディエフ(ロシア)31才 戦跡19戦全勝9KO サウスポーでホアン・グスマンと全勝対決し5R負傷判定で王座につき今回2度目の防衛戦である。過去オーストラリアのS,ライト級王座に長く君臨した強打のコンスタンチン・チューの指導を受けている。
挑戦者ジェシー・バルガス(米)24才 戦跡は23戦全勝、9KOであり、米のト
ップランク社のホープである。
1R バルガス、右廻りしながら左ジャブと右ストレートを狙う。
2R~3R バルガスジャブを多用し、左アッパー左フックが有効。右フックはオ
ープンブロー前半はバルガスペース。
4Rからスロースターターのカビブが右ジャブを多用し相手にプレッシャーをか
け始める。お互いにジャブを多用するテクニックの勝負の様相となる。
以降、カビブが右ジャブを中心として攻勢を強め、バルガスは時折反撃するパタ
ーンが最後まで続き終了。中盤以降がカビブの優勢とみられたが判定は115:113
が2人、117:111が1人の結果でバルガス勝利であった。
まことに不可解な判定で、後に物議をかもす事になるかもしれない。いずれにし
ても世界戦にしてはお互いに力不足で物足りない試合であった。
( 写真はありません)
MGM グランドガーデン・アリーナ
WBOウェルター級タイトルマッチ66.68kgチャンピオン ティモシー・ブランドリー(米)戦跡32戦31戦12KO 1無効試合。挑戦者元6階級王座チャンピオンスーパースーチーのマニー・パッキャオ(フィリピン)35才
戦跡62戦55勝38KO 5敗2分 2012年6月19日の両者による第一戦は2:1でブラッドリーの判定勝であったが、のちに様々な批判があり、WBOは後日試合をVDで再検討の結果パッキャオの勝利であったことを公表したが、判定の結果はそのままとした。その第2戦である。
1R ブラッドリーは過去のスタイルと打って変わってパンチを思い切り振る試
合方法を選択。5Rまで力で対抗する。お互いにパンチのスピードは充分でやや
ブラッドリーペースで進む。6R以降ブラッドリーは前半に力を使いすぎた為か
、手数も力強さも弱まりパッキャオペースとなっていく。
攻撃はパッキャオに移るがファン・マヌエル・マルケスに壮絶なKO負けを喫したトラウマがある為か、全盛期の踏み込みのスピードと驚異的な左ストレートの力強さが失われており手数で勝負する結果となり、判定は116:112が2人、118:110が1人となってパッキャオの勝利となったが、パッキャオが過去の輝きを取り戻す事は不可能となったようである。残念な事ではある。
IBF Sライト級タイトルマッチ レイモンド・ピーターソン(米)30歳、戦跡34戦31勝16KO 2敗1分、ビクター・オルチスと引き分け、人気者アミール・カーンに判定勝。強打のマティセに3R TKO負け(2013年5月)と名のある歴戦の雄と数多く闘っている。
挑戦者デイリー・ジャン(ハイチ出身のカナダ人)31歳 同級1位。戦跡25戦全勝17KO。
1R ジャンは接近して打合う作戦だがピーターソンは左ジャブを多用して近づかせない。2~3R お互いにスピードある攻防があってほぼ互角の闘い。
4R ピーターソン、ガードが固くボディワークも巧みで、相手のパンチをまともに受けない。次第にピーターソンのペースとなる。5R ピーターソン攻勢を強め、ジャン押され始める。ピーターソン優位が明らかとなってくる。6R ピーターソン集中攻撃を仕掛け、やゝ一方的となり終盤まで変わらず、判定118:111、116:112、115:113であったが経験の差が出た試合で、中盤からピーターソンは呑んでかかっていた。
イギリス、スコットランド、グラスゴー、スコテッシュ・エキシビジョン・センター。 WBO ライト級タイトルマッチ 王者リッキー・バーンズ(英)30歳、戦跡39戦36勝11KO 2敗1分。ニックネームはトリックスター。
地元スコットランドで5度目の防衛戦、英のスーパースターで人気抜群の選手である。ローマン・マルチネスを破り、Sフェザー級の王者となり、マイケル・カティディスを破ってWBOライト級王者となっている。
挑戦者テレンス・クロフォード(米)26歳、戦跡22戦全勝16KO、ニックネームはハンター、オッズはクロフォード9:4である。
1R クロフォード右構えから左へと自在にスタイルを変えて、バーンズの左に右を合せる。2R クロフォード、サウスポー構えを中心として自在にパンチを振るいバーンズ手数が減る。3R バーンズは左を苦手としているようで、パンチが当たらずに次第にクロフォードのペースにはまり 4R
クロフォード攻撃を強めて手数も多くなり以降パンチに力を込め始めて、一方的な展開となる。嘘のないバーンズは相手の動きに翻弄されて、得意の右ストレートは全く当たらずに、良いようにあしらわれて、消化不良のまま終了。
判定は117:111、116:112が二人であったが、判定以上の差があり、クロフォードの完勝であった。クロフォードは左右両用の構えで頭を絶えず動かし、足も早く、常に脱力、右ジャブを多用し、どのパンチも的確に相手を捉え、力むことがない。前評判どおりの力を発揮して実力者バーンズを一蹴した。
今一つパンチに凄みがつけば、スーパースターも夢ではない。人気も急上昇することであろう。
ニューヨーク ブルックリン バークレイズセンターにて
WBAインターナショナル ウェルター級タイトルマッチ。
ルイス・コラーゾ(米)32歳 WBAウェルター級3位、戦跡39戦34勝17KO 5敗
元WBAウェルタ-級王者。
挑戦者ビクター・オルティス(米)26歳 戦跡35戦29勝22KO 4敗2分 ニックネームはビシヤス(痛いところを突く)。 元WBC ウェルタ-級王者、あの天才メイウェザーにKO負けで王座陥落、次いでホセシト・ロペスにTK0敗と連敗しており、文字通りの再起戦である, 共にサウスポー。
1R コラーゾは完全な半身の体勢で右ジャブを多用、順調な出足である。2R オルティスの左フックからの返しの右フックに対しカウンターの右フックをアゴに一閃。見事なKO勝ちでコラーゾは勝負の戦線に生き残った。オルティスはメイウェザー戦の敗北を引きずっている感じがあり、まだ若いことからどこかで快勝する事が出来れば再びスターダム戻ることも可能であろう。何せパンチがあり戦闘的な魅力に富んだ選手であるからである。
カナダ モントリオール ベル・センターにて NABF北米 L・ヘビー級タイトルマッチ 12回戦ルシアン・ビュテ(ルーマニア)33才。戦跡32勝31勝24KO 1敗。Sミドル級王者として9度防衛。ニックネーム ル・トンベル(破壊者)。カール・フロッチに5RTKOに敗れてタイトルを失う。初の1敗である。
挑戦者はジャン・パスカル(ハイチ)31歳。 戦跡31戦28勝17KO 2敗1分。
元WBC L・ヘビー級王者。 2敗1分の内1敗1分は老獪なバーナード・ポプキンスとの対戦によるものであり、サウスポーのスピードを武器とする実力者である。
1R ビュテの戦術は相手が出て来て右ストレート、フックを打つところをかわして左アッパーを顔面、ボディに打ち込むことであるが、パスカルは打ってこない。左ジャブ、右ストレートは速く距離が遠い為に、ビュテ自身の型にならずに後手に回る。
2R以降 打ってこない相手に止むなくビュテは攻撃を仕掛けるが自分の形ではない作戦と相手の右ストレートが早く強い為に充分に踏み込めずに無理して出るところにパスカルの右ストレートが効果的に飛んでくる攻防が続き主導権は完全にパスカルのものとなり、6R パスカル、ビュテをロープに詰めて連打して 8R 左フックで事実上のダウンを奪う(判定はスリップ)。10R までパスカルの自在の攻撃はつづき優勢は確定的となる。11~12R ビュテ最後の攻撃を仕掛けてポイントは取るが大勢は変らず判定は116:112、117:110、117;111でパスカルの圧勝であった。
ビュテは自分の得意手が少なく、カール・フロッチに敗れた後遺症もあって精彩を欠き
パスカルに思うように試合をコントロールされた。一方のパスカルは自分からの積極的な攻撃が少なく、この試合振りではもっと攻撃型の選手等に対抗出来ないのではないかと懸念される。
WBAミドル級タイトルマッチ。ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)31歳。戦跡28戦全勝25KO、ニックネームはトリプル・シー。現在9連続KO防衛中。
挑戦者 オスマヌ・アダマ(ガーナ)33才。戦跡25戦22勝16KO3敗、ニックネームはマシンガン、KO敗はない。
1R 右ストレートでアダマ ダウン 2R アダマ ダウンから回復せずに足がバタつくが身体が柔らかで手が長い為に顔面、ボディを完全にカバーして相手の攻撃を防ぐ。
6R アダマのマウスピースが外れる。左アッパーが顎に命中してアダマダウン。
7R左ジャブで2度目のダウン、立ち上がったところ右フックでTKOとなる。1Rのダウンでアダマのパンチに力が入らなくなり実力差がありすぎた。10連続KO勝となる。
尚連続KO防御の記録は 1位、ウイルフレッド・ゴメス(Sバンタム)17。
2位 ダリウス・ミハエルゾウスキー(Lヘビー)14。
3位 ロベルト・デュラン(ライト)ナジーム・ハメド、ゴロフキン共に10。
6位 ヘンリー・アームストロング(ウエルタ)、カルロス・サラテ(バンタム) フェリックス・ トリニダート(ウエルター)9の面々である。
ネバダ州ラスベガス MGMグランド・ガーデン・アリーナにて。
WBC Sバンタム級タイトルマチ 55.94kg.
チャンピオン レオ・サンタクルス(メキシコ)25歳。戦跡27戦26勝15KO1分、ニックネームはテレモト(地震)。 挑戦者クリスチャン・ミハレス(メキシコ)32歳、戦跡58戦49勝23KO 7敗2分、サウスポー。
1R サンタクルスは手が長く両腕でガードすると顔面、ボディが全部隠れる程でしかもガードが高く固い。前進してワンツーストレートを振るい、得意の左アッパーをボディに見舞う。ハミレスは足を使ってアウト・ボクシングで様子を見る。
2R、3Rサンタクルスの攻勢続き、ミハレス足を使うがロープに詰ることが多くなる。
4R バッテングでサンタクルス右目上を切り流血したが攻撃の手は緩めない。以降ミハレスはアウト・ボクシングのなか時折攻撃を仕掛けるが、パンチの力と手数に断然差があり劣勢は変わらない。
12R ミハレス最後の力を振り絞って攻撃に転ずるが、劣勢はいかんともしがたく判定は119:109が一人、120:108が二人でサンタクルスの完勝であった。
サンタクルスの攻撃的ボクシングスタイルは急速に人気を集め始めているのはうなずける。ミハレスはこのクラスでは力不足は否めないようだ。
メキシコ ウィキルカン競馬場にて、 WBC Lフライ級タイトルマッチ 48.9kg,.
チャンピオン アドリアン エルナンデス(メキシコ) 28歳 ニックネームはビッグ・バン、 戦跡31戦28勝17KO 2敗1分。 挑戦者 ジャニエル・リベラ(プエルトリコ)22歳。
WBCミニマム級8位。 戦跡は13戦10勝8KO 1敗2分. エルナンデス4度目の防衛戦である。
1Rからエルナンデス、プレッシャーを掛け左右のパンチを振ってリベラを追い回す。
2R エルナンデスもメキシコ選手に共通するボディ打ちが巧みで、連打の中に必ずボディ打ちを交えて連打、リベラ敗色を濃厚。3R 集中打が続きTKOでリベラ敗れる。体力差はもとより実力が違いすぎた。エルナンデスはすべてのパンチを力一杯打つ為、常に身体に力が入っているために、打たれると危ないところもあるようで、目の良い、パンチをコンパクトに振る選手。ジャブが速い選手に苦戦しそうである。
4月6日井上尚哉が6戦目でエルナンデスに挑戦する。場所は大田区総合体育館である。乱戦に付き合わないで、速いジャブを多用すれば勝機は十分とみた。
メキシコ パレンケ・デラ・フェリア・メソ・アメリカーナにて フライ級10回戦。
ローマン・ゴンザレス 元2階級チャンピオン、戦跡27戦全勝21KO(ニカラグア)26歳、ニックネームはエル・チョコラ・ティート(小さいチョコレート)KO率84%。
挑戦者 ファン・カントウン(メキシコ)戦跡29戦21勝15KO 5敗3分。
1R カントウン パンチを力一杯振って先制攻撃をかけるがゴンザレスの圧力と顔面、ボディにパンチを受けロープを背負う。2Rから5Rまでゴンザレス、ガードを固めて相手の攻撃を受けとめ、流れるような左右フック、アッパーを顔面、ボディに的確に決め攻撃を緩めない。しかし力を込めて打ってはいないようで、途中力を抜いて休んでもいる。
5R 途中からギア・チェンジを行い、少し力を入れてパンチを振るいKO狙いに切り変えて、6R ボディ中心に集中打で2度ダウンを奪いTKOに下す。
群を抜くパンチ力と安定感でこの周辺のクラスでは敵が見当たらない。
対戦する敵がいないのが悩みといった圧倒的な力を見せ付けて、無人の野を行くおもむきがある。パンチ力と左のフック、頭を下げると左右のアッパーと、格別力を入れているように見えない自在な試合運びで、次第にギア・チェンジして力を込めた集中打を見舞う。その間は脱力して、スタミナの配分と相手のパンチを殺す巧みさも合わせ持つ万能強打の天才ボクサーである。往年の名ボクサー、ミニマム級のリカルド・ロペス(アマ、プロ通じて無敗のまま引退した)は完璧な防御と一発必倒のパンチで同級に君臨したが、ゴンザレスはまた違った強さで、ロペスに並ぶスーパー・スターとなると思われる
ネバダ州ラスベガス MGMグランド・ガーデン・アリーナ。
WBCライト級挑戦者決定戦、 61.23kg。
ホルヘ・リナレス WBCライト級5位、元2階級チャンピオン、メキシコ生まれ、帝拳所属、28歳。 戦跡38戦35勝23KO 3敗,ニックネームはエル・ニーニョ・デ・オロ(ゴールデンボーイ)。
荒川仁人 同級2位、32歳。戦跡28戦24勝16KO 3敗 ニックネームはベビーフェイス、スナイパー。前戦の対フィゲロア戦での激闘で大いに名を挙げての今回の戦である、サウスポー。
1R リナレス左ジャブ、左フック、右フックボデイとスピード豊かな攻撃をみせて主導権を握る。荒川は作戦通り、ガードを固めて相手に打たせて前進する。
2R 以降この形勢は変わらず進行。 7R 荒川右目上腫れてきて、ボデイーへの強烈なパンチを数多く打たれたことによりスピードが落ちパンチの威力も失われてくるが、リナレスのスピードは変わらない。そのまま10Rに至って判定は98:92が一人、100:90が二人でリナレスの完勝であった。
二人のボクシングのレベルが違いすぎたようで、この結果はやむを得ない。
リナレスは最後まで全体のスピードもパンチの威力も変わらずに、その能力の高さを示して王座帰り咲きを予想させる出来栄えであった、が左右ストレート、アッパー、左右フックのボデイブローは素晴らしいが左右フックの顔面へのパンチはやゝオープンブローとなっており威力がない。 連打もやゝ同様であることが気がかりであり、今一つの破壊力が望まれる。それと打たれ弱さが克服されない弱点があり、相手に打たせない作戦を一層みがく事が必要であろう。
MGM グランド・ガーデン・アリーナ、 Sウエルター級12回戦 69.85kg。
サウル・アルバレス メキシコ 23歳。戦跡44戦42勝30KO 1敗1分、ニックネームはカネロ(シナモン)、 天才メイウェザーとの対戦で初の1敗〇年振りの再起戦である。元WBA、WBCのチャンピオンであり次代を担うスーパー・スター候補である。
対戦者は元WBO暫定王者のアルフレッド・アングロ、メキシコ、31歳、戦跡は25戦22勝18KO 3敗 04年アテネ五輪出場者ニックネームはペロ(犬)狂暴な犬のことである。3敗はカーミット・シントロンとジェームス・ークランドには共にKOで敗れており、これも再起戦である。
1R アルバレスの強烈な左ロングフック2発で始まり、顔面とボディに右フックでマングロたじろぐ。 2Rアルバレスの左右アッパー・フックが顔面ボディーに悉く決まり、アンゴロなすすべなく、深いダメージを受け、繰り出すパンチも全く威力がなく、早々のKO負けを予想させた。アングロの正面からの右目下腫れたくる。 3R アングロ正面からの打ち合いにでるがパンチの威力が断然違い、再三ぐらつく。 4Rアルバレス、3Rまでに力を込めたパンチをくりだしたことから手数を減らし、的確なパンチを出し7R、8Rアングロ勝負をかけて前進し、ロープに詰めて攻勢に出るが効果的なパンチは当らない。
10R 開始早々アルバレスの左アッパーでアングロの顔が大きくあがったところでレフリーストップでKOとなった。
アングロは相当の準備をしたことが窺われ、一段と戦闘心を持つと共に、従来よりもガードを高めにしっかりと固め、パンチはコンパクトに振るうように心掛けて対抗したことから10Rまで持ち応えたと云える。アルバレスの攻勢力は凄まじく、しかも多彩、特に左フックのボディーブロー、左右アッパーは強力で的確、防御も巧みでガードも固く攻防共に優れている。試合振りに華もあり人気の高さもうなずけるもので今一番人を集める選手であろう。23歳の若さですでにスーパースターである。
テキサス州サンアントニオ・アラモドーム、WBOフェザー級タイトルマッチ、57.15kg。
前王者オルランド・サリド、リミッド守れず王者剥奪のため勝利してもタイトルは失う。
対戦者はワシル・ロマチェンコ (ウクライナ)WBOフェザー級5位。北京、ロンドンオリンピック金メダリストでアマ時代は1敗しかしていない。プロ2戦目でタイトルマッチとなるボクシング界の金の卵である。
1R ロマチェンコ、プレッシャーを掛けてサリドを前に出さない戦法で優勢。
2Rからサリドは前に出て来て5Rまで一進一退が続く。6Rから次第にサリドベースとなり、ロマチェンコの右ジャブと速い動きに委細かまわず左右フックをふって前進する。
中盤から後半にかけてサリド優勢は変らずに、12R ロマチェンコ最後の攻撃が功を奏しサリドはダウン寸前追い込まれたが、辛うじて逃げ切った。
判定は115:113で一人ロマチェンコ、116:112、116:113で二人サリドであったがサリド優勢は明らかであった。サリドは叩き上げの不屈の闘志をもった選手で、プエルトリコの英雄で、80%を超えるKO率を誇った全勝のファン・マヌエル・ロペスを2連続KOで下して一躍名を挙げて、その後負けもありながらタイトルを3度獲得している誰もが嫌がる対戦者となる。ロマチェンコは右ジャブで相手をコントロールして速い動きで対抗しようとしたがサリドの前進は、もっと強いパンチでないと止まらないことを思い知らされたことであろう。
2戦目で闘うには悪い相手を選んだものだと思う。しかしロマチェンコの才能は随所に見られた。すべるような動き、早いスムーズなパンチ、目の良さ、そして12Rに見せた攻撃力もみるべきものがあり、もう少しパンチに威力が出れば、今後楽しめる選手になることは間違いない。
サン・アントニオ・アラモドーム、 Sミドル級 75.9kg 契約。
フリオ・セザール・チャペスJR(メキシコ)28歳、王座統一戦でセルシオ・マルチネスに判定敗で初の一敗、王座陥落、再起戦である。 親父のチャベスは1987年11月WBAライト級エドウィン・ロザリオを11R TKOに下し王座につくや1994年フランキー・ランドールに敗れるまで通算100戦近くまで全勝を続けた伝説的なメキシコの英雄であり、JRはスーパースターが約束されたサラブレットである。
対戦者はブライアン・ベラで再戦である。
1Rベラ積極的に前に出る。チャベス、アウトボクシングで距離をとり、左フックがボディ、顔面にヒットして優勢。 2Rベラ手数多く、ペースを握る。 3~4R チャベスの左フックのボディ、右ストレートの顔面への攻撃が有効でベラ後退。 5~6R チャベスの左フックのボディを中心に力強いパンチを振って、プレッシャーをかけ続け主導権を握り続ける。ベラは打たれながら、手数で対抗するが、体力的にも押されぎみ、8Rまでチャベスの攻撃は続き、ベラ劣勢、9Rベラ攻勢に転じ、手数で圧倒、チャベス打ち疲れて以降、スピードが落ちるがベラも同様、有効打少なく判定に持ち込まれた。
判定は114:113が一人、117:110が二人でチャベス勝利となった。
チャベスの特に左フックのボディブローは強烈で、返しの右フックの打ち下ろしも威力あり、ベラでなければ倒されていたであろう。 ベラはチャベスの強打を顔面、ボディに多く受け劣勢であったが、手数で対抗し、その驚異的タフネス振りと、ファイティングスピリットは実に恐るべきものであった。チャベスは左ボディブローは強力だが、右のパンチに今ひとつ強さに欠けるところがあり、攻撃が単調のところも気になったが、またチャンピオンに返り咲くことであろう。
上段 左から
ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)、 マーティン・マレー(イギリス)
セルヒオ・マルチネス(アルゼンチン)、ダーレン・バーカー(イギリス)
ピーター・クイリン(アメリカ)、
下段 左から
マルコ・アントニオ・ルビオ(メキシコ)、ダニエル・ギール(オーストラリア)、
フェリックス・シュトルム(ドイツ)、村田 諒太(日本)
アメリカ ニュージャーシー州アトランテックシティ・ボードウォーク・ホール。
ミドル級10回戦 72.57kg。 WBOミドル級9位マッド・コロボフ(ロシア)30歳、戦跡
21戦全勝12KO。 挑戦者 元NABA北米Sミドル級チャンピオン、デレク・エドワーズ(米)34歳。戦跡29戦26勝13KO 2敗1分。
コロボフは2005年、2007年のアマ・ミドル級の優勝者である。
1R コロボフ先制攻撃をかけ連打でエドワーズ ダウン寸前、しかしエドワーズの右ストレートがカウンターとなり、形勢逆転、コロボフ意識もうろうとなる。 2R エドワーズ攻勢に出るチャンスであったが自身のダメージもあり出られない内にコロボフの左ストレートでダウンを奪われる。3R以降コロボフの攻撃が続くがエドワーズの右ストレートを警戒して慎重さが目立つ。7R コロボフの左ストレートでエドワーズ2度目のダウン。
8R コロボフは倒しにかかり、9R 左ストレートでエドワーズは3度目のダウンでTKOに下した。コロボフは主戦武器は左ストレートだけ。左右のフックは手打ちの上オープンブローで威力はない。また打たれ弱くこれでは今後多くは望めないであろう。
ドイツ・シュトウッドガルト・ポルシェ・アリーナ。IBFミドル級タイトルマッチ76.26kg。
チャンピオン ダーレン・バーカー(英)31歳。ダニエル・ギールを破って王座につき、初の防衛戦である。ニックネームはダズリング(目のくらむようなスピードの持ち主)--それ程早くはないが-- 戦跡27戦26勝16KO 1敗。
挑戦者はフェリックス・シュトルム(独)34歳。ニックネームは「ザ・ファイタ-」。
戦跡は44戦38勝17KO 3敗 2分 1無効試合、過去3度の王座獲得。あのオスカー・デラ・ホーヤに一度王座を奪われて復活し、6階級制覇を許したが最近ではギールに敗
れて3度目の王座を失っている。4度目の王座奪還を狙う。
1Rお互いにジャブを中心に積極的に打ち合うが効果打は少ない。お互いにテクニシャン。 2Rバーカーは前進を強めて打ち合いに出るがシュトルムの右フック2発でバーカー、ダウン。 立ち上がったところへオーバーハンドの右フック、 アッパーで再度のダウン。コーナーからタオルが投げられてTKOでシュトルム王座に帰り咲く。シュトルムは鉄壁のガードで相手の攻撃で受けとめ、相手の打ち終わりに左フックのボディ、右オーバーハンドのフック、アッパを巧みに打ち分け健在振りを示した。
アメリカ ニューヨーク バークレイズ・センター、WBC Sミドル級タイトルマッチ、
76.20kg。 チャンピオン サキオ・ビカ (カメルーン出身のオーストラリア)34歳。
戦跡39戦32勝21KO 5敗 2分。マルコ・アントニオ・ケリガンとの王座決定戦に勝利して初の防衛戦、ニックネームはスコーピオン(サソリ)。
挑戦者アンソニー・ディレル(米)29歳、戦跡26戦全勝22KO、ニックネームはドック。
兄は同じクラスのアンドレでスーパー6に出ていた1歳上の強豪である。
1R 例の通りビカ パンチを振り回して打って出る。ディレルは身体が柔らかくパンチはコンパクトで早い。2R終盤ディレルの右ストレート有効。3Rビカはロープにつめて連打するが、ディレル防御に自信を持っており巧みに防ぐ。4Rビカの左右のマサカリスイングにディレル圧倒される。5Rディレルの右ショートストレートで今までダウンしたことのないビカがダウン。ディレル集中打を浴びせるがビカ何とかしのぐ。6Rビカ、ディレルをロープに詰め左右フックがまともに当り、ディレルぐらつく。7R以降ディレル疲れてきて
ますます手数が減る。ビカは相変わらず力まかせにパンチにを振り回し、ややビカ優勢で終了。12R終盤ディレルは勝ったとばかりに手をあげてリングを駆け回る。
判定は114:112でビカ。116:110でディレル、あとの一人は113:113でドロー。
ビカの初防衛となった。ビカは体力とスタミナに任せて1Rから12Rまで左右スイングを
繰り返しひたすら前進あるのみ。ディレルは防衛も巧みで切れるパンチを持ち、実にいい選手ではあるが積極性に乏しく、手数も少ない上にスタミナに難点があり、これでは王座獲得は難しいとみた。
ディレルの地元での試合であったが盛り上がる場面がなく、かえって朴訥なビカの戦い方に共感した観客が多かった。しかしビカの長期政権はないとみる。早いジャブを持った相手には対抗できないであろう。
2014年2月10日 ニューヨーク・バークレイズ・センター 、WBA Sウエルター暫定王座戦 69.85kg チャンピオン エリスランディ・ララ 30歳(キューバ)アルフレッド・アングを10R TKOに下して暫定王座につく。
戦跡21戦18勝12KO1敗2分、キューバからギジェルモ・リゴンドーと一緒にドイツに亡命するが失敗してキューバに連れ戻される。、再びメキシコに亡命し、ドイツへ、更にアメリカに渡る。2005年ウエルター級のアマチュア選手権で優勝の実績あり。1敗はポール・ウイリアムスで疑惑の判定負けである。カルロス・モリナ、バーネス・マーティロシアンと引き分けている。
挑戦者はオースティン・トラウト28歳(米)。戦跡27戦26勝14KO1敗。 2013年4月サウル・アレバレスとの統一戦で判定負けしてWBA、Sウエルター級の王座を失ったのが唯一の敗戦であるが、コットも敗っている強豪である。
共にサウスポーのテクニシャン同士の戦いであるが、1R 互いに右ジャブを突いて始まる。2R ララの左ストレートが的確に当り優勢となるが、トラウトの右ガードが低いことも原因となっている。トラウトは右を下げて早いジャブを出すことを優先し攻撃主体の構えの為に、相手のパンチが防げない。トラウトは本来相手の出ばなを右で叩いて、左ストレートのカウンターで決めるスタイルであるが、同じスタイルのララの先制攻撃とタイミングの良い左ストレートの前にリズムを崩し、徐々にあせりはじめて、自分のスタイルを崩して前に攻めることを余儀なくされて11Rトラウトの右フックに会せてのララの左ストレートのカウンターでトラウトダウン。 12R大差の判定にトラウトを退けた。判定は一人が118:109、二人が117:110であった。ララはキューバの選手に共通するスタイルで無理にKOを狙うことはなく、常に自分の距離を保ち、観客のブーイングも意に介することなく、負けないボクシングを一貫している選手とみえ、面白くはないがテクニシャン
の冴えを楽しめる選手ではある。今回初防衛。
2月10日 ニューヨーク州ブルックリン・バークレイセンター 10F。ウエルター級タイトルマッチ 66.68kg 。
チャンピオン デボン・アレキサンダー(米)26歳 戦跡26戦25勝14KO 1敗。
ニックネーム、アレキサンダー・ザ・グレート。2009年ジュニア・ウィッターを敗ってSライト級のタイトルを取り、その後ティモンシー・ブラッドリーに1敗。パンチ力はさほどないが抜群のテクニシャンである。
挑戦者 ショーン・ポーター(米)26歳。IBFウェルター級 6位。初の世界戦。
パッキャオのスパークリング・パートナーを務めていた。戦跡23戦22勝14KO 1分、ニックネームはショータイム。
1R ポーターの左ストレート、右フックがよく当り、揉合いも続いてアレキサンダーはポーターの荒っぽいペースに巻き込まれて冷静さをやゝ失って自分の距離を忘れて打ち合う。ポーターの優勢が続く。5、6R アレキサンダー距離をとり、右フック、左ストレートアッパを的確に当て始めて本来のリズムが出てくるが、7R 再びポーターの前進と肉弾戦にのまれて、アレキサンダー得意の左カウンター、アッパーもポーターの早いふみ込みと手数におされて後手後手に回り、ポーターペースに戻る。9R 思うように試合が運べないアレキサンダーはコーナーを出るときに、苦笑いを浮かべていた。どうしようもないと云ったところか。4R 左目の上を切ったアレキサンダーは劣勢を覆すことが出来ないまゝ、判定負け、判定は115:113が一人、116:112が二人で完敗であった。
アレキサンダーは強打のマイダナ、マティセに真っ向勝負で打ち勝ってきた自信と相手
が無名の選手である為に調子を落として試合に臨んだことが原因の第一であり、相手の突進に距離を取って戦うべきところが、自己のプライドの為か自分の距離でないところで相手と打ち合う愚を演じた為がその第二であった様だ。相手の得意の土俵で勝ってみせるとの気持ちである。
ウェルター級戦線は現在、天才ブローナーの鼻柱を折ってWBAは王座についたマルコ
ス・マイダナ、WBA暫定王座はスピードとテクニックと強打を兼ね備えた若手のホープ
・キース・サーマン。WBCが不世出の天才の名をほしいままにする、フロイド・メイウェザー、WBOが全勝のティモシー・ブラッドリーである。
近く対戦がほぼ決まっているのはメイウェザーとイギリスのスピードスターのアミール・カーン、そしてブラッドリーとパッキャオの再戦であり共に楽しみな対戦である。
WBAウエルター級暫定王座選手権 66.68kg テキサス州サンアントニオ・アラムドーム 司会はジミー・レノンJR。
チャンピオンはキース・サーマン(米)26歳 戦跡22戦21勝19KO 1無効試合
ニックネームは「ワン・タイム」
挑戦者ヘスス・ソト・カラス 同級10位(メキシコ)31歳 戦跡40戦28勝18KO 8敗3分
1無効試合。ニックネームは「レヌエンテ」(反抗的な奴)。
前戦でスーパースター候補であったアンドレ・ベルトを12R、KOに仕止めて意気が上がっている。粘り強くて好戦的でひたすら前進するファイターで、誰と戦っても熱戦とな
る、丁度Sウエルター級のマルガリートをスピード、迫力を含めて一回り小さくしたような
選手である。
1R 自信満々のサーマンは得意の左のアッパーを振るうがそれに合わせてカラスの右フックで、ぐらつき危うかったが、何とか立ち直ってラウンドにの終わりには攻勢に転ずる。 2R サーマンのペースとなり軽いフットワークと、早くて多彩なパンチを顔面、ボデイに打ち込むパンチは切れがあって、しかも力強い。カラスはがっちりガードを固めて前進し、サーマンに圧力をかける。 3R カラスの戦略は相手をコーナーに詰めて肉弾戦に持ち込むことであり、相手を追い続けるがサーマンは後退しながら放つ有効打のほうが多い。4R サーマンの右ボデイブロー強烈。でもカラスは前進を止めない。
5R サーマンはアッパーのボディブローが得意のようで威力は抜群、特に左が強い。
ラウンド後半左アッパーを真ん中から突き上げカラス、ダウン。
6R カラス動きが急速に衰えパンチにも力が無くなるが、前進は止めず、打ち続ける。
サーマンの左アッパーに合わせての右フックを起死回生の一発として狙っているようだ。9R サーマン集中打を浴びせてカラスをKOに下した。
ウエルター級戦線はメィウェザー、パッキャオ、ブローナー、マイダナと居並ぶ、強豪揃いの中にサーマンも割って入ることとなった。
サーマンの気になる点は右を打つときに下がる左ガードと、左アッパーを打つときにガードがガラ空きになることである。今回はスピード、パンチ力とも今一のカラスであった
から事なきを得たが、マイダナのパンチ力を相手にした時は命取りなりかねない。
ファン・マヌエル、マルケスのようなカウンターの名手。カラスより突進力のあるルスラン、ブロボドニコスのような相手に対抗できるか一抹の不安は残る・・・が今後が楽し
みの選手ではある。
アメリカ・ブルックリン・バークレイズセンターにて IBF Lヘビー級タイトルマッチが行われた。78.38kg。
《 過去最高齢チャンピオンは》
1位 バーナード・ポプキンス 46歳4ケ月(2011年)Lヘビー級ジャン・パスカルを破って戴冠。 2位ジョージ・フォアマン 若くしてヘビー級のチャンピオンとなり、象も倒すといわれた強打を誇ったが1974年10月キンシャサの奇跡と云われたモハメッド・アリに8RKOに敗れ、その後数試合のあと引退、20年近いブランクの末に復活、45歳9ヶ月(1994年)ヘビー級マイケル・モーラーをKOに下して戴冠。中年の星と謳われた。
3位バージル・ヒル 42歳7ヶ月(2006年)クルーザー級で戴冠。 4位ボブ・フィッシモンズ 40歳6ケ月(1903年)Lヘビー級である。
この試合のチャンピオンはタポリス・クラウド(米)31歳、4度防衛中。戦跡24勝全勝19KO、ニックネームはサンダー。パンチが速く強い連打型の選手でタフでスタミナもある。挑戦者バーナード・ポプキンス(米)48歳1ヶ月、戦跡62戦52勝32KO6敗2分2無効試合、ミドル級で20度防衛。4団体統一チャンピオンの時期もある。
若手有望株の速く強いパンチを持ち、足も速くスタイリッシュのスーパースター候補であったジャーメイン・テイラーに敗れ連勝はストップした。この頃がポプキンスの最も強かったときでテイラーに2連敗して新旧交替かとみられたがLヘビー級とクラスを挙げてリニュウアル、今までのやゝダーティで反則すれすれもいとわない、右一発で相手を打倒す力と力と体力のボクシングと、リングに必ず覆面を被って登場し、首を掻き切る仕草を行い悪役を絵に描いたような役回りであった。
同じ90年代に華やかに脚光を浴び人気沸騰していた天才ロイ・ジョーンズJrやジェームズ・トニーの陰に隠れてさっぱり人気は上がらず、リングに登場すれば、ブーイングの嵐につつまれていたが、40歳を過ぎてしばらくして、変身したかのようにボクシングのスタイルが変り、従来も優れていた防御技術に磨きがかかり、相手に打たせずに軽いパンチを的確に当て、左ジャブを多く用いてフェイントをかけ、適度に休みながら主導権を握るボクシングを展開するようになった。
この試合はクラウドの突進力と連打にポプキンスのごまかしが通用するかが注目された。 1Rクラウド自慢のスピード・パワーで攻め込もうとするがポプキンスの右ストレートの威力を感じてか成功せず。2Rポプキンスの右フック、ボディーに3発当り有効。クラウドのパンチは当らない。3Rポプキンスの左ジャブが的確でクラウド前進できない。ポプキンスの右フック、ボディ額面に一発ずつあたる。ペースは次第にポプキンスへと傾く。
4Rクラウド、出ようとする前にポプキンスの左ジャブが飛んできてそれでも前進しようとするとポプキンスはサット後退または左右に動き、相手をはぐらかし、時折みせるポプキンスのフェイントにクラウド悉くひっかかる。
クリンチ際にそして離れ際に小さく打つポプキンスのパンチが見栄えよく映える。
6Rポプキンスの左フックでクラウド左目上を切る。ハンデを負ったクラウド猛然とラッシュするが、パンチは打らず、ポプキンスにうまくあしらわれる。以後クラウドはポプキンスを追いかけるが距離が合わず無理してパンチを出すと身体が伸びて、ポプキンスの短いパンチの餌食となり、クラウドの焦り益々空回りする。9Rあたりからポプキンスの動きは一段と良くなりパンチのスピードも上がって快調のまま終了。
判定は116:112が2人、117:111が1人でポプキンスの圧勝であった。
後半はベテランボクサーが新人に稽古をつけている様になりチャンピオンは悔しかった事であろう。
途中激しい打ち合いもなく、観客のブーイングも聞かれたが、ポプキンスはそんなものはどこ吹く風と意に介さずに楽しげに試合を行った。ゴロフキンの選手権試合9連続KOのような試合も面白いが、ポプキンスの試合も心理戦と、相手を読む力、省エネで体力温存しながら相手を威嚇しフェイントで翻弄し、力、スピードだけでない頭脳的な力を加味して勝利を掴むテクニックの素晴らしさも又大きな醍醐味である。
ポプキンスはこの試合後今までは単発のパンチであったが、この試合はコンビネーションを使おうと思っていたと語り、あと5年くらいは続けると語った。するとそのときは54歳である。
Lヘビー級戦線は
WBA ベイブト・シュメノフ(カザフスタン)。
WBC アドニス・スティ-ヴンスン (米)。
IBF バーナード・ポプキンス(今月中に49歳になる)(米)。
WBO セルゲイ・コバレフ(ロシア)。 がそれぞれの王者である。
WBA Lヘビー級タイトルマッチ(79.38kg) カナダ ケベック州、ケベックシティ コリゼ・ドウ・ケベック会場。
WBC アドニス・スティ-ヴンスン(米)は3~4年前までスーパースター候補であった
強いチャド・ドーソンを衝撃のI R KOに下し王者となり、今回2度目の防衛戦である。
戦跡は23戦22勝19KO 1分け。ハイチ生まれのカナダ人、36歳。ニックネームはスーパーマン。
挑戦者はトニー・ベリュー(英)、WBC Lヘビー級1位、31歳、戦跡は22戦20勝12KO 1敗。ニックネームはボンバー。スティ-ヴンスンは完全な半身の構えで、右をダラリと下げ、ベリューの方が距離が長い為に距離を計って右ジャブを出しながらロープに詰める。ベリューは入って来るスティーヴンスンに対し左フックをあわせる戦法である。
2Rに入りスティ-ヴンスンは攻勢を強めコーナー・ロープに詰め連打を始めて主導権を握る。
攻勢は変らずに、6R 左ストレートでベリュー、ダウン。その後左ストレート3発で6R TKOにベリューを下す。スティ-ヴンスンの迫力に腰が引けて勝負にならなかった。
スティ-ヴンスンは左ストレート一本の選手で、巧い相手に当ると苦戦することであろう。 真っ向勝負にくる相手には好試合が期待される。
次はWBA Lヘビー級の試合である 会場はテキサス州サンアントニオ アラモドーム。
チャンピオンはベイブド・シュメノフ(カザフスタン)30歳、戦跡14戦13勝8KO1敗。
5度目の防衛戦である。
挑戦者はタマス・コバチ(スロバキア)36歳、WBA14位。戦跡23戦全勝14KO。
1R シュメノフはフットワークを使わずに、またウイービングで身体も振らずに正面から対峙、パンチは打ち放しで元の位置に戻さず、1990年代中頃に活躍したオーストラリアのコンスタンチン・チュー(Sライト級)によく似た選手で、空手のような打ち方であったが、当てる勘は良く、2R右フックでダウンを奪うや左フックが胸部に当り、2度目のダウンを奪って、3R 右ストレートでTKOに下した。毛色の変ったユニークな選手ではあるが、長く防衛は難しいと見た。
3試合目はWBOのLヘビー級。チャンピオンはセルゲイ・コバレフ(ロシア)30歳、
戦跡23戦22勝2KO1分。
挑戦者はイスマイル・シラク(ウクライナ)28歳。 戦跡22戦21勝17KO1敗。
1R コバレフ、プレッシャーをかけて優勢、右ストレートを合わせるのが得意。
2R 右クロスカウンターでダウンを奪うや、次いでの右ストレートでKOに倒し、初防衛に成功。カウンターの名手でパンチも早く強い。このクラス一番の選手ではないかと思われる。
4試合目はSミドル級である。75.20kg。 各団体のチャンピオンは
WBA スーパー アンドレ・ウォード (米)
WBA IBF カール・フロツチ (英)
WBC サキオ・ピカ (豪)
WBO ロバート・スティ-クリッツ
WBA IBFのチャンピオン カール・フロッチ 36歳、ニックネームはコプラ。
戦跡33戦31勝22KO2敗 この2敗はSミドル級 スーパーシックスのリーグ戦でミッケル・ケスラー、アンドレ・ウォードに僅差の判定で敗れたものである。
【スーパー・シックスとはアンドレ・ウォード、ミッケル・ケスラー、ジャ-メイン・テイラー、マルトゥール・アブラハム、アンドレ・ディレル、カール・フロッチ。
同級の主力6選手によるトーナメント、予想はケスラー、対抗はアブラハムであったがウォードが優勝をさらった。】
直近の試合でミッケル・ケスラーとの再戦で激戦の末判定で勝ちリベンジを果たして意気も上がっている。
挑戦者 ジョージ・グローブス(英)25歳。 IBF4位、WBA2位、ニックネームはセント・ジョージ。
戦跡19戦全勝15KO。イギリス期待のホープである。 1Rグローブス右手を下げて攻撃体勢をとり、左フックから右ストレートのカウンターでフロッチまさかのダウン。
フロッチ苦笑い。 2R~5Rまでグローブス右ストレートを武器にして攻勢を強めて、パンチも的確にあてて優勢、フロッチはグローブスの右が見えていないようだ。
5Rの終盤から6Rにかけてフロッチ攻勢に出て手数が増える。グローブス手数が減る。6R 打ち合いグローブスのパンチが的確であるが乱打戦になってきて、ペースは次第にフロッチに移って行く。8R フロッチは自分の体力に任せてグローブスをロープに追い込む。9R フロッチ、ロープに追いつめ集中打を浴びせて、グローブス、グロッキーとなりレフリーストップで劇的な逆転となった。6R あたりからフロッチは打たれながらも、戦況は我にありとの思いを深めたことであろう。驚異的なスタミナとファイティングスピリットには頭が下がる。
イギリスで絶大な人気を誇ることも、さもありなん思わせる。真向勝負で駆引きのない選手である。
12月16日 テキサス州サンアントニオ・アラモドーム
WBA世界ウエルター級タイトルマッチ(66.68kg)リングアナはジミー・レノンJR。
チャンピオンはエイドリアン・ブローナー(米)24歳。戦跡27戦全勝22KOで3階級制覇している。2011年11月ビセンテ・ロドリゲスを3RKOでWBO Sフェザー級王者、2012年11月アントニオ・デマルコを8RTKOでWBCライト級王者、2013年6月ポール・マリナッジを12R判定でWBAウェルター級王者となっている。
メイウェザー2世と言われて今最も評価の高い選手の一人である。
挑戦者はマルコス・マイダナ(アルゼンチン)30歳。戦跡37戦34勝31KO3敗、KO率84%のハードパンチャーでヴィクター・オルチスに倒し、倒されの末KO勝ちする等スリリングな選手である。
1R ブローナーはいつものL字ガードで上半身を後に反らすスタイルで試合は始まるが、マイダナは左フックが当るや猛然とラッシュ、ブローナーを防戦一方に追いやり、左フック2発を始め、右フックを顔面、ボデーに打ち込み先制攻撃に成功する。
2R マイダナの攻撃は続き、左フックでブローナー ダウン、立ち上がるも足がふらつく。マイダナの猛攻続き、ブローナー鼻血を出す。3R マイダナの攻撃は一服、ブローナー早い左ジャブを放って立ち直る。4R 疲れたマイダナのスピードが落ち、ブローナー前に出てプレッシャーをかけ始める。5R ブローナー左アッパーのボデイブローが有効、調子が出てくる。パンチのスピードは相変わらず。
6R ブローナーの右アッパーのボデイーが効いてマイダナのスタミナが急速に失われて、後退を始める。試合の流れは完全にブローナーに傾く。7R マイダナの左フックでブローナーぐらつく。8R ブローナーのボデイ攻撃が続いて、ブローナーの一方的な試合となってきたがマイダナの左フック一閃ブローナー、まさかのダウン、ブローナーの執拗なクリンチに苛立ちマイダナ頭突きで1ポイント失う。9R マイダナの左フックでブローナーぐらつく。10~12Rはお互いに疲れて一進一退のまま終了。判定は110:117、
109:116、109:117でマイダナの勝利。新チャンピオンの誕生となった。
私の採点では111:114でマイダナであったが、点差の割りに接戦であった。ブローナーは今までの試合から自信過剰がみられ、相手をナメて掛っていたフシがあり、自ら墓穴を掘った感があった。しかし弱っても出すパンチは切れも失わずスピードも力があり、非凡な才能は充分にあることは疑いない。
マイダナは疲れていても一発の威力の恐ろしさをまざまざと示した。
12月9日 ニュージャージー州アトランテックシィ・ボードウォールホテルにて
IBF Sミドル級タイトルマッチ。
チャンピオン バーナード・ポプキンス(米)48歳9ケ月、初の防衛戦。
戦跡63戦53勝32KO6敗2分2無効試合。2004年ミドル級で4団体統一、ニックネームはエクスキューショナー(死刑執行人)、現在は自ら名付けてエイリアンと称する。
挑戦者はWBA Sミドル級3位、カロ・ムラット(イラク出身のドイツ人)30歳。
戦跡は27戦25勝15KO1敗1分。初の世界戦である。
1、2R ムラッド圧力をかけ、ポプキンスを追い回すがパンチは当らず、ポプキンスの軽いパンチが当る。ムラットは主導権をとる為に、先制攻撃
をかけた。3R ムラットの左フックが当り有効であったが、後半ポプキンスの反撃に合いポイントを失う。4Rポプキンスのペースになってきてムラットの前進は止まる。5R ムラットのスピードがなくなり疲れが見えてくる。6R ポプキンス集中打で完全に主導権を握る。7R ポプキンス集中打でKOを狙ったが、かなわず深追いを避ける。8R ムラット左目の上を切って出血。ポプキンス試合途中にムラットのコーナーにもうタオルを投げろとでも言っているのか盛んに話しかける。9R ムラット最後の力を振り絞って反撃し、ポイントをとる。10~12R ポプキンスの一方的なラウンドとなり試合終了。
スコアは119:108が2組、117:110と3者ともポプキンスで、完勝であった。
ポプキンスは30代に入って強くなった選手で、ミドル級の絶対王者として20度の防衛を果たし、時のスーパースター、フェリックス・トリニダート、オスカー・デラホーヤをともにKOに下し、それまでの悪役振りから一躍スーパースターにのし上がった。
当時は一発の威力で相手を打ち倒す選手であったが、40歳を越える頃からテクニシャンに変身し、持ち前の防御勘の良さに磨きがかかり、省エネボクシングを展開。相手を翻弄、スタミナの配分、パンチのスピードもまだまだ健在で当分続けそうな勢いである。
ジョージ・フォアマンの長寿記録45歳を抜いて、最年長記録を更新中である。
6敗の相手はプロ初戦で1敗、ミドル級の王者決定戦(1993年)で天才ロイ・ジョーンスに判定敗け、以降ジャーメイン・テイラーに2敗、ジョー・ガルザゲ、チャド・ドーソンと名立たる選手ばかりである。
12月2日 ニュージャージー州アトランテックシィ、ポードウォクホール
WBOミドル級タイトルマッチ(72.5kg)。チャンピオン ピーター・クイリン、
30歳(米)ニックネームはキッド・チョコレート(過去のキューバの名選手の名前を
とっている)戦跡29戦全勝21KO。
2度目の防衛戦対戦者はガブリエル・ロサド27歳(米)WBOミドル級9位、戦跡28戦21勝12KO6敗1無効試合、ニックネームはキング。
2R クイリンがプレッシャーを掛け相手が前に出ようとするところに右カウンターでロサド
ダウン。バランスを崩したところに軽くヒットしたものでダメージはない。
3R ロサド積極的に前に出てパンチも数発当てる。以降一進一退で推移したが10R ロサド目の上を大きく切り試合続行不能となりクイリンのTKO勝ちに終わった。クイリンは左ジャブも鋭く左右パンチの切れも充分。身体能力の高さから評価が高いが、4R ロサドの右クロスを受けたところから積極性を失い、
カウンター狙いに後退、力強さに欠けて、もっとタフでパンチ力があり前進して来る相手に苦戦するのではないかと思わせる試合であった。
12月2日 マジソン・スクェアガーデン。
WBAミドル級タイトルマッチ。チャンピオン ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)31歳。
ニックネームはトリプル・シー。過去ダウンしたことはない。戦跡27戦全勝24KO、9度目の
防衛戦で15連続KO中、で今年4度目の試合である。対戦者カーライス・スティーヴンス(米)28歳。
ニックネームはショータイムとトリプト・ナイト(スーパンマンの敵役)。WBAミドル級13位。
戦跡は28戦25勝10KO3敗。
2R 左フックでスティーヴンス ダウン、ゴロフキンは3R からプレッシャーを強めてロープに追い込み、
以降圧倒的優勢のまま8R終了TKOに終わった。スティーヴンスも武器の左フックで対抗、右もスピード
があり、タフでガードも固く、仲々の強豪であったがゴロフキンの圧倒的な力の前に完敗した。
ゴロフキンは持ち前の強打で相手を打ち倒すのみではなく、相手の左フックが強いとみるや、危険を避
けてコンパクトなパンチを顔面、ボディと強弱をつけて多彩に打ち分け、相手の逃げ道を塞ぐ巧みな試合運びを
見せて、無理押しすることなく常に冷静、安全運転でしかもTKOに下す底力は素晴らしい。今後どこまでKO
勝ちを続けるか大いに楽しみな選手である。
12月2日 マジソン・スクェアガーデン。WBAミドル級タイトルマッチ。
チャンピオン ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)31歳。ニックネームはトリプル・シー。過去ダウンしたことはない。戦跡27戦全勝24KO、9度目の防衛戦で15連続KO中、で今年4度目の試合である。
対戦者カーライス・スティーヴンス(米)28歳。ニックネームはショータイムとトリプト・ナイト(スーパンマンの敵役)。WBAミドル級13位。戦跡は28戦25勝10KO3敗。
2R 左フックでスティーヴンス ダウン、ゴロフキンは3R からプレッシャーを強めてロープに追い込み、以降圧倒的優勢のまま8R終了TKOに終わった。スティーヴンスも武器の左フックで対抗、右もスピードがあり、タフでガードも固く、仲々の強豪であったがゴロフキンの圧倒的な力の前に完敗した。ゴロフキンは持ち前の強打で相手を打ち倒すのみではなく、相手の左フックが強いとみるや、危険を避けてコンパクトなパンチを顔面、ボディと強弱をつけて多彩に打ち分け、相手の逃げ道を塞ぐ巧みな試合運びを見せて、無理押しすることなく常に冷静、安全運転でしかもTKOに下す底力は素晴らしい。
今後どこまでKO勝ちを続けるか大いに楽しみな選手である。
マカオ・ベネチアン・リゾート・コタイアリーナ6階級制覇チャンピオン(フライ50.8kg ~ Sウエルター級69.85kg
)マニー・パッキャオ(フィリピン)ニックネームはパックマン34歳。戦跡61戦54勝38KO5敗2分。2012年12月8日ファン・マヌエル・マルケスに6R衝撃のKO敗けを喫して以来11ヶ月半振りの再起戦である。対戦者はプランドン・リオス(米)ニックネームはバンバン、27歳。戦跡は33戦31勝22KO1敗1分。この1敗はマイク・アルバラードとの2戦にわたる激闘の内の1敗である。試合の特徴は前進あるのみ。
打って打って打ちまくる、タフで頑丈なファイテングスピリットの塊のような選手である。再起戦にしては極めて危険な相手と見られた。オッズは3:1でパッキャオ。1Rリオス今までになくガッチリとガードを固めて対応。パッキャオは久し振りの試合で自分の状態を確認するように軽く動き、パンチも力を入れることなく数多く出す。2、3R リオス
手を出し始めるがパッキャオの強打を警戒しいつもの攻撃力はない。4,5Rパッキャオ、前後、左右に軽やかに動き、右ジャブ、左右フック、左ストレート、左右のアッパーと多彩なパンチをガードを割り、空いたところに送り込む、左ストレートでリオスぐらつく。
6Rリオス右瞼腫らし、左瞼を切り出血。パッキャオの動きの早さについていけない。8Rリオス足ぐらつき、スピードも落ち一方的な展開となり、以降パッキャオ左右に動いて多彩なパンチを顔面、ボディに数多く打ち、リオスを翻弄、スピードは最後まで落ちることなく、力を込めたパンチは打たなかったがスタミナも考えた試運転は上々であった。判定は120:108、119:109、118:110と大差であった。実力差が大きくリオスは何もさせてもらえずに、さぞフラストレーションが溜まったことであろう。
マカオは世界最大のカジノでトップランク社は本格的なボクシングで進出する意向をスーパー・スター パッキャオの再起戦で飾ったのである。
11月18日 WBO Sライト級タイトルマチ。マイク・アルバラード(米)戦跡35戦34勝23KO 1敗、33歳。1敗はブランドン・リオスとの壮絶な打ち合いに敗れたもの、次戦はリベンジしている。ニックネームはマイル・ハイ(コロラドの高地の男)。
挑戦者はルスラン・プロボドニコフ(ロシア)29歳。戦跡24戦22勝15KO2敗。
1R からプロボドニコフは左右を振ってアルバラードをロープに追い込む。アルバラードはプロボドニコフの強打を警戒してアウトボクシングを選択する。2R足を 使って時おり左フック、アッパをボデイに対抗するが圧力に押される。3R以降防御を主として後退しながら有効なパンチを出すが後退しながらの為か力がな
い。プロボドニコフは委細かまわずどんどん前に出てプレッシャーをかける。6Rプロボドニコフは接近戦の中で右に移動して左フックを顔面に打つとアルバ ラードはたたらを踏んで後退する。
7,8Rアルバラードは左構えに変えて対抗するが、プロボドニコフの圧倒的攻撃の前に防戦一方となる。8R集中打でアルバラードダウン、続く左右フックで 2度目のダウン、追い込まれる。9Rいくら打っても力が無くなり、プロボドニコフは平然と近づいて強烈なパンチを振う。10Rダウン寸前、終了時コーナー を間違える。11Rコーナーを出ず、TKOに敗れる。右まぶたは腫上がる。
激闘型のアルバラードが相手の攻撃力に初めから負けて逃げの体勢に入った為に惨敗した。新しいタイプのチャンピオンの登場である。
WBCバンタム級タイトルマッチ。チャンピオン山中慎介31歳。戦跡21戦19勝14KO2分。挑戦者はアルベルト・ゲバラ(メキシコ)23歳。
戦跡19戦18勝6KO1敗。1Rゲバラは早い足を使って常に速く動き、突然とび込んでパンチを振い、直に離れる変則的な動きで撹乱する。
その後同様な動きで山中もなかなか捉え切れないまま山中優勢で終盤にさしかかるや、8R左ストレートでダウンを奪うと左フックで2度目のダウンを奪う。8回を終わって公式判定は79:71で山中優勢である。9R動きの鈍ったゲバラを左ストレート一発でKOに下し、4連続KO勝を果たした。山中は左ストレートが主武器であるが、そこに至るまでの右のジャブ、右フックを磨くことが大切になるだろう。今後はスーパーマッチを目指してアメリカ進出すべき時ではないかと思う。
リングアナはマイケル・バッファーと並ぶ人気アナ、ジミー・レノン・ジュニアである。
フライ級ノンタイトル10回戦。ローマン・ゴンザレス(ニカラグア)26歳。36戦全勝30KO 3階級目を狙う。対戦者はオスカル・ブランケット(メキシコ)28歳。戦跡は39戦32勝23KO6敗1分。
ゴンザレスのフライ級制覇のテストマッチである。1Rゴンザレスはプレシャーを掛け接近するや左フックのボディ、左右のフックで追いつめ左フックでダウンを奪うや、2R左フックでTKOにブランケットを下す。ゴンザレスのあまりの強さに各団体のチャンピオン
が試合に応ずることに消極的でチャンピオンが掴めないでいる現状である。軽量級のハードパンチャでどのパンチでも倒せる。体の軸がしっかりしている為、連打しても体がぶれることなく、打つ程にスピードを増す。上・下の打ち分けも巧く、又防衛も堅くタフネスも誇る選手である。
11月10日 テキサス州 コーパスクリスティ、アメリカン パンクセンター WBO Sフェザー級(58.97kg)のタイトルマッチである。
チャンピオンはローマン・マルチネス(プエルトリコ)30歳。戦跡は30戦27勝16KO1敗2分。ニックネームはロッキー。
挑戦者はミゲール・ガルシア(米)25歳。戦跡は32全勝27KO。1階級上げての挑戦である。ニックネームはマイティ。
オッズは5:1でガルシア。1R互いにジャブを出し合い静かに立ち上がる。2R終了間際、ガルシアの左ジャブから右ストレートを打とうとした瞬間、マルチネスの右ストレートのカウンターにガルシアダウン、ガルシアマットに座り込んで苦笑い。3Rガルシアの左ジャブが当り始め、従来どうりの試合運びが始まる。ダウンの影響はないようだ。4R左ジャブで距離を計っての右ストレートも当り始めて主導権は完全にガルシアとなる。
6R左フックの一発でマルチネスの動きは急速に鈍り、左ストレート、左右アッパーで試合の体勢は決した。8R右ストレートに続く強烈な左ボディブローでマルチネス ダウン。初のKO負けを喫した。マルチネス2Rの右ストレート以外有効なパンチがなく完敗であった。プエリトリコはスター、ファン・マヌエル・ロペスのKO負けに続いてマルチネスもKOされ、リベンジならず。このクラスにはWBAの内山高志。WBCの三浦隆司がいるがガルシアがこのクラスで一番の選手であろう。ガードも堅く、伸びる左ジョブ、左フック、右ストレート、左右アッパーと多彩で強烈なパンチをもつが理詰めのボクシングで、バランスも良く、無理をしない。まさに教科書通りのボクサーで安定感がありスーパースター候補の一番手であることは間違いない。
11月10日 テキサス州 コーパスクリスティ、アメリカン パンクセンター
フェザー級の10回戦(57.15kg)元4階級王者ノニト・ドネア(フィリッピン)30歳。ニックネームはフィリピーノフラッシュ(フィリッピンの閃光)戦跡は33戦31勝20KO2敗。12年振りにギジェルモ・リゴンドーに敗れて再起戦で階級を1階級上げての試合である。対戦者はビック・ダルチニヤン(アルメニア)37歳。戦跡は45戦39勝28KO5敗1分。2007年7月に当時フライ級でドネアに5R左フック一発でKOに敗れ,初の1敗を喫してのリベンジでドネアがフェザー級に上げたのを追いかけて体重を上げての再戦となった。初戦のオッズは15:1でダルチニヤンであったが、今回は9:1でドネアである。ダルチニヤンの最近の試合は山中慎介に敗れて3連敗しており峠は越したとみられていた。1R 両者慎重に立ち上がって、お互い殆ど手を出さず、睨み合い状態が続き、2R
以降もお互いに警戒しフェイントを掛け合ううちに回を重ねて行った。ダルチニヤンのこの試合に賭ける意気込みは強く、コンデションは最高に仕上がり、パンチも早く強い。スタミナも充分。万全の体調で臨んできていた。ドネアの左フック、ダルチニヤンの左ストレートも当り始め試合は少しづつ動き始め、ドネア優勢で迎えた9R、ドネア得意の左フックが顔面に炸裂。ダルチニヤン堪らずダウン。ドネアの追い足速く、止めは左アッパーでTKOに下した。ダルチニヤンの気力充実で見応えある好試合となった。
ドネアは完全復活したと見て良いと思われる。左フックの切れ味は錆びていなかった。再度スーパースターへの道を歩むことであろう。
一方ダルチニヤンは執念をもってこの試合に臨んだがKOされ、今後現役を続ける気力が残っているか危ぶまれる。
11月10日 テキサス州 コーパスクリスティ、アメリカン パンクセンター
WBO Sウエルター級(69.85kg)王座決定戦。ランク1位、バーネス・マーティロシアン(アルメニア生まれのアメリカ人)2004年アテネオリンピック出場、27歳。戦跡は34戦33勝21KO1分。
対戦者は同2位、ディミトリアス・アンドレイド(米)26歳。2008年北京オリンピック出場。戦跡は19戦全勝13KO。リングアナはマイケル・バッファー。
1R 積極的に前に出て攻撃をかけるアンドレイドに終了間際マーティロシアンの左フックのカウンターでアンドレイド、ダウン。2R から立ち直ったアンドレイドはサウスポーの長く速い右ジャブを多く繰り出し、時折左ストレートで主導権を握るや、試合を完全にコントロール、スピードで劣るマーティロシアンは攻め手を見出せずに2:1の判定ながら完敗した。手が長く間断なく出すスピード溢れるジャブは素晴らしく、左ストレートも威力がありフットワークも軽快で、畳み掛ける連打も見られず、やゝ力強さは欠けるが、サウスポーで長い手、懐の深さで対戦者としてはやり憎い嫌な選手となりそうである。
11月4日 カリフォルニア州 カーソン・スタブハブセンター 野外リンクでの試合である。
3階級制覇チャンピオン(Sライト、ウエルター、Sウエルター)ミゲール・コット(プエルトリコ)戦跡41戦37勝30KO 4敗 3分 32歳 。
対戦者デルビン・ロドリゲス(ドミニカ)33才 WBASウエルター級4位の実力者で世界戦も2回経験している。戦跡37戦28勝 16KO 6敗である。
コットの4敗の最初は人間風車とニックネームのタフで、強打のエネルギシュなSウエルター級歴戦の雄、アントニオ・マルガリートに中盤までリードしていたが終盤に捕まりTKOに敗れた。次は人気、実力共に絶頂期にあった驚異の異能ボクサー、フィリッピンのマニー・パッキャオに12回TKOに破れ、無敗の天才ボクサー5階級制覇のフロイド・メイ・ウェザー。そしてこれも又ウエルターの実力者オースティン・トラウトに共に判定で敗れている。このうち10階級に亘って6階級を制覇したマニー・パッキャオに完敗した外はいずれも接戦を演じている。
コットの最近の21試合は全て世界戦であり戦跡は17勝 4敗 14KO
である。コットはデビュー当時からガードを固めて防禦体制を確立して慎重に立ち上がり、相手をロープに詰めて自分の射程距離に入るや強打を振って打ち倒す、ボクサータイプであったが次第に攻撃的となり初回から倒しにかゝるようになった。主戦試合は左右フックの顔面、ボディ打ちであるが、中でも左フックのボディ打ちは全階級を通じて一番強いのではと思わせる。今回も初回からガッチリとガードを固めて相手に圧力をかけ、ロープに詰めるやボディを中心に強打を浴びせ、威圧するや3R右フックの返しの左フックの顔面への一撃でダウンを奪ってTKOに下した。格の違いをまざまざと見せ付けてコット健在を示したことで依然として中量級の中での中心選手の一人であることを改めて明らかにした。誰と戦っても好試合をくりひろげることから人気が高いことが分かる選手である。^今後は メィ・ウェザーに敗れたとはいえ、若手No.1のカネロ・アルバレスとの対戦が予定されている。
10月14日 ネバダ州ラスベガス・トーマス&マックセンターでの3試合。
人気リングアナのマイケル・バッハーの選手紹介で始まる。
① WBOインターナショナルフェザー級タイトルマッチ(57.15kg以下)チャンピオン ホセ・ラミレス(メキシコ)、挑戦者は北京、ロンドンのオリンピック金メダリストのプロ転向1戦目のワシル・ロマチエンコ(ウクライナ)の10回戦である。
ラミレス先制攻撃をかけるが、接近戦を仕掛けるラミレスに対し左ジャブで相手をコント
ロールし、左アッパーのボディブローでラミレスダウン、4Rに右フック、左アッパーの
ボディブローでTKOに仕止め、ロマチエンコ上々のデビュー戦となった。
ガードも固く、身体の動きにも切れがあり、速い。パンチ力、連打も利いて強さと、巧みさ、速さを合わせ持つ好選手で、あと2~3試合で世界タイトルマッチ戦もありそうである。
②WBOフェザー級タイトルマッチ(王者決定戦)
オルランド・サリド(メキシコ)WBO 1位32歳、戦跡54戦39勝27K12敗2分1無効試合。対戦者オルラド・クルス(プエルトリコ)戦跡23戦20勝10KO2敗1分。
1R クルス距離をとって巧みに立ち上がったが、2R 相手の力を見極めたサリドは次第に接近戦に持ち込み、徹底的にボディを攻めて主導権を握るや、左右のフック、アッパーを握って、顔面、ボデーを攻め続け、7R 右フック、左アッパーを顎にヒットしTKOに下した。さすがにサリド・ミゲール・ガルシアには完敗したが、クルス程度の相手にはまだまだ実力差が感じられる。7敗もしているがたたき上げの粘り強さをよく分かっていてチャンピオンに帰り咲く。
③WBOウエルター級タイトルマッチ、チャンピオン ティモシー・ブラッドリー30歳(米)
、戦跡31戦30勝12KO1無効試合、挑戦者 ファン・マヌエル・マルケス40歳(メキシコ)戦跡62戦55勝40KO6敗1分、元4階級チャンピオン。
1Rは様子見で静かに立ちあがるが2R以降ブラッドリーのスピードが冴え、、深入りして
戦わずに打っては離れ、自分のペースに引き入れる。マルケスはカウンターパンチャーである為に打ち込んでくる相手にはカウンターの冴えを見せるが、フアイタータイプではない為に積極的に前に出てこない相手と戦うことは苦手であり、離れて戦うことはスピードで負けることから、自分から攻める事となりブラッドリーの逆カウンターを受ける危険があり、中途半端にならざるを得なかった。判定は僅差であったが内容は完敗であった。
10月6日ヘビー級WBA、IBF、WBO 3団体統一タイトルマチを観る。
現在4団体のうち、3団体はウラジミール・クリチコ(ニックネームはスチルハマー)WBCは兄のビタリ・クリチコが持ち、4団体すべて兄弟で所有している。ともにドクターである。
今回WBAの王者は二人居るが、長期政権が続くとスーパーチャンピオンの
称号を贈って、他にレギュラーチャンピオンを置いている。そのレギュラーチャンピオンが挑戦者のアレキサンデル・ポペトキンである。
ウラジミール・クリチコはウクライナ出身の37歳、オリンピックの金メダリストで2000年10月クリス・バード(米)を下してWBO王者となりその後コリー・サンダースにKO負け、又連続して2敗いずれもスタミナの配分を誤って後半失速、自滅したものであった。2004年以降は負けなし、現在は7年間14度の防衛を果たしている。戦跡は63戦60勝51KO3敗、ヘビー級の絶対王者として君臨している。
アレキサンデル・ポペトキン(ロシア)はアテネオリンピックの金メダリスト、34歳戦跡26戦全勝18KO、ルスラン・チャガエフを下し王座について4度防衛している。
現在考えうる最強の挑戦者で、過去ダウンしたことがない。
オッズは最初7:1であったが直近では3:1に縮まり、ウラジミール有利である。
ロシアでの対決で、リング・アナはマイケル・バッハー、もう20年以上のビックマッチの司会を務める人気アナである。
1R、両者静かに立ち上がり、ポペトキンは動きが速くパンチの切れもよく好調に見え
る。2R、クリチコの左フックでポペトキン、プロ入り初のダウン、以降クリチコ優勢で試合は進む。7R、左ジャブ、右アッパー等でポペトキン3度ダウン。
12R、戦って判定に持ち込まれたが3者共に119:104の圧倒的大差でウラジミール
に軍配が上がった。ウラジミールが1ポイント失ったのは押さえ込みの反則によるもの
である。文字通りの圧勝であった。
ウラジミールの強さの秘訣は兄弟ともにドクターである事で分かる通りの頭の良さにあ
る。基本的には早く強いジャブで相手の突進を止め、コントロールして懐に入れずに、距
離を計った上で放つ右ストレートは一発必倒の威力をもち、どこに当っても相手は倒れる。過去の苦い経験から、スタミナの配分を常に考慮し、危険を犯すことなく常 に相手のパンチの届くところにはおらず、チャンスを見て畳み掛けることも相手に攻撃力が残っているのを確認出来ないうちは行わない。
2m、110kgの巨体を有効に使って、負けない試合を行い、過去のタイソン、レノックス、ルイス、イベンダー・ホリフィールド等の強豪に比しても安定感の上では群を抜いている。今後は、体調がよほど悪いか、闘う意欲が失われるかしないかぎりまだ、まだその牙城は崩れそうにない。
9月30日ジョナサン・ロメロ(コロンビア) vs キコマルチネス(スペイン)
アメリカ ニュージャージー州アトランチックシティ・レベルリゾートでの試合。
人気リングアナ、マイケル・バッファー、IBFSバンタム級タイトルマッチ。
チャンピオン ジョナサン・ロメロ(コロンビア)戦跡23戦全勝12KO、26歳、
ニックネームはモモ。2008年五輪出場選手の中で全階級通じて初のチャンピオンである。
挑戦者 キコ・マルチネス(スペイン)戦跡32戦28勝20KO4敗、27歳、
ニックネームはラ・センサシオン(センセーション)。
1R 175cmの身長のロメロに対し、中間距離での戦は不利とみたマルチネスは果敢に内懐に入って左右のフックを振い、ロメロをロープに追い込んで連打し主導権を握った。2R ロメロは長い左ジャブと右ストレートを打ちながら足を使って距離をとって立ち直る。3Rの後半再びマルチネスの突進が始まり、ロメロをロープに詰めて接近戦に持ち込む。以降距離をとろうとするロメロに対しマルチネスこれを許さず大振ではあるが、顔面、ボディを打ち分けて、適中率も悪くなく、ロメロは4Rバッチングで左目の上を切り、劣勢となり、勢いを止めようと左ジョブ、右ストレートを振るうが如何せん手数が少なく、打ち負けて6R、2分40秒TKOに負け、初の防衛戦に敗れた。
ロメロは、スタイリッシュで基本に忠実なボクシングを行うが線が細く、ボクサータイプが
ファイタータイプに負ける典型的パターンであった。マルチネスは顔面ガラ空きで、左右フックを振るうので、カウンターを取る好餌であるのに相手の迫力に負けて、強いパンチを打てなかったのは非力であることをさらけ出した。一方マルチネスはうまい。又はパンチの強いボクサータイプにとってはきわめてやり易い選手であり、今後は多くを望めないと思われる。
ロメロ対マルチネス後のメインイベントの試合である。
他団体のチャンピオンは、このクラス最強と評価の高いWBAゲンナディ・ゴロフキンが90%のKO率を誇り全勝。WBCは変幻自在のセルシオ・マルチネス。IBFは強打のピーター・クイリンと錚々たる面々が顔を揃えている。
IBFのダニエル・ギール(オーストラリア)32歳、戦跡30戦29勝15KO1敗(この一敗はアンソニー・マンディに敗れたもので後雪辱)タイトル4度防衛中2000年シドニーオリンピックに出場しておりニックネームはリアルデール(本物)である。このニックネームは往年の名選手ヘビー級王者イベンダー・ホリフィールドが使っていた。
挑戦者はダーレン・バーカー(英)31歳、戦跡26戦25勝16KO1敗(セルシオ・マルチネス)と戦い、善戦したが11RKOで敗れている)ニックネームはダズリング(目もくらむようなスピードの持ち主).
1Rからお互いに主導権を争って積極的に打ち合う。5回まで一進一退ややギール優勢の7回中ばにギールの左フックのボデー・ブローでパーカーダウン。苦闘の表情を浮かべてやっと立ち上がるところ、ここが勝負どころとギールが詰めに入って、集中打を浴びせたが、バーカーは何とか堪え残り30秒、必死に反撃し、KOをまぬがれた。8回バーカーは攻撃に転じ、このラウンドポイントをあげて反撃体勢に入るや形勢は次第にバ-カーにと傾き、判定は僅差でバーカーの勝利となった。
ギールはバランスもよく、また手数も多く、畳みかけるうまさもあり、身体も柔らかく巧みなウイーピングやダッキングも使い一時も休む事無く攻撃を続けるスタミナとファイライングスビリットもあるが、パンチにやや正確さが乏しく、派手に見えるが相手に与えるダメージは少なかったようで、合わせてパンチ力それ程にない為に、決定力に欠けたのは否めない。バーカーは2010年弟を交通事故で失っており、その後一年間は試合をストップしての再起戦でもあった。
特徴のない選手ではあるが相手の打ち終わりに出すパンチに正確さがあり、防御もまずまず打たれたら打ち返す、強い精神力もうかがわれた。多分誰と戦っても良い試合をする選手と思われた。いずれにしても12R目一杯打ち合った好試合ではあったが、他団体のチャンピオンに比べると劣るのはやむをえないか?
米国ネバダ州ラスベガス、グランド・ガーデン・アリーナでの試合である。
WBA、WBC、Sウェルター級タイトルマッチ、152ポンド契約である。
チャンピオンはサウル・アルバレス、戦跡は43戦42勝30KO1分、23歳(メキシコ)、ニックネームはカネロ(シナモン)、対するメイウェザーはSフェザー級からSウェルター級まで5階級を制した天才ボクサー。戦跡44戦全勝26KO(アメリカ)36歳、ニックネームはマネー。リッキー・八ットンをKOに下して一時引退したが一年半程で復帰しファン・マヌエル・マルケスを大差の判定に退けている。パンチのスピード、身体能力の高さは相手の攻撃を決してまともに受けることなく目も勘もよく、すべての試合で危なげがない圧倒的勝利を続けてきた。オッズは1:1、報酬はメイウェザー80億、アルバレス10億である。
1R アルバレスの突進を防ぐ為に左ジャブを中心に積極的に攻撃を行い、3Rあたりから、一段とスピードをあげた。 6Rに入るや攻防自在なボクシングを繰り拡げて相手を翻弄し、相手のクリーンヒットを封じ込めて空回りさせ、打ち終わるともうその位置におず、攻撃は顔面直前にスウェーバっクにかわし、同時にパンチを振るう得意の形を披露し格の違いをまざまざと見せ付けて圧勝。アルバレスは多少の被弾は覚悟して集中的に攻撃を行うべきであった。単発ではメイウェザーには決して当らないからだ。
アルバレスにはまことに消化不良の思いだけのこったことであろう。
判定は114:114、116:112、117:111でメイウェザーの完勝であった。
米国ネバダ州ラスベガス、グランド・ガーデン・アリーナで3試合が行われた。
WBA、WBC Sライト級チャンピオン、ダニー・ガルシア(米)戦跡26戦全勝16KO、
25歳ニックネームはスイフト(敏捷な奴)。
対するはWBC暫定チャンピオン、ルーカス・マティセ(アルゼンチン)戦跡37戦34勝32KO、2敗、1無効試合、30歳、KO率86%ニックネームはザ・マシンによる王座統一戦である。
ガルシアはモラレス、アミール・カーンを共にKOに下して、自信をつけ急成長し、スターダムにのし上がった注目の選手。一方のマティセは最近6試合連続KO勝ちとこのクラスNo.1の強打者である。
1Rから例の通りマティセが前進し、ガルシアは相手の打ち終わりに、カウンターを狙いマティセの連続攻撃を許さない。
6Rまで攻撃を続けるマティセが優勢。6R終了後コーナーに居る父親がガルシアの頬を平手打ちし気合を入れる。
7Rに入るとマティセの右目下が腫れ始める。ガルシアの主戦武器の左フックの為である。また左アッパーが的確にボディーをとらえており、目の傷によるドクターストップを恐れたマティセは焦りも加わり突進力が弱まり次第にペースはガルシアに傾く。
11Rロープで体勢を入れ替えたガルシアの左フックによってマティセダウン。目が塞がったマティセも果敢な攻撃を休まず、
12Rにはお互いに死力を尽くして打ち合い、見事な試合であった。
判定は115:111 、1人。114:112が2人で、マティセのダウンが無ければ試合の結果は分からないもので、ガルシア、マティセ共に強打者であるが防御も巧みで、見ごたえのある試合であった。ガルシアはこれで益々自信をつけて強くなって行くであろう。
WBC、Sフェザー級タイトルマッチ。王者ブルネル・マレス(メキシコ)、バンタム、スーパーバンタム、フェザー級を制覇して3階級王者となっており、2004年アテネオリンピックの出場者で2013年5月にジョニー・ゴンザレスからダウンを奪って王者となったダニエル・ポンセ・デ・レオンを9RTKOに下し人気上昇のスターである。戦跡27、戦26勝、14KO1分、27歳。挑戦者ジョニー・ゴンザレス(メキシコ)2009年5月、Sバンタム級の西岡利晃に挑戦したがKO負け。2011年WBCフェザー級の長谷川瑞穂に挑戦。4RTKOに下し王者となったがポンセ・デ・レオンに敗れて防衛ならず、ゴンザレスが敗れたポンセ・デ・レオンにマレスが圧勝したこともありオッズは11対1と断然マレス優勢と出ていた。
1回マレスは早い動きで順調に見えたが、2分過ぎゴンザレスの左ロングフックを受けダウン、ダメージは深く、立ち上がりはしたものの、左右フックを浴びて2分55秒TKOに敗れた。下り坂とみられていたゴンザレスもただ者ではなく、得意の左フックの威力をボクシング関係者に攻めてみせつけたのである。マレスが勝つとサンタ・クルスとのスーパースターを賭けた試合が計画されていたが、これでご破算となってしまった。
WBCSバンタム級タイトルマッチ、王者はビクトル・テラサス(メキシコ)、人気者クリスチャン・ミハレスを2013年4月に倒して王者となる。実力者フェルナンド・モンティエルも倒した実力者で今が一番力の出る頃である。戦跡40戦、37勝、21KO、2敗1分、30才。
初防衛戦である。ニックネームはバイキング。挑戦者はレオ・サンタ・クルス、バンタム級で3度防衛して今回階級を上げての挑戦である。戦跡25戦、24勝、14KO、1分、25歳。ニックネームはテレモト(地震)。両者とも打ちあうタイプであるが、サンタ・クルスは長い両腕で覗き見スタイル。顔面、ボディをがっちり固め距離を詰めると左ジャブ、左右フック、アッパー、右ストレートと多彩なパンチを強力に振って優位に立つや2回フックと左アッパーによってテラサスの右目下は大きく腫上がり、視界は殆どとざされる。3回なかば左フックでテラサスダウン。テラサス立ち上がるも左右連打によって1分43秒TKOに挑戦者サンタ・クルスはテラサスを下して新王者となる。
9月2日TVでNABF北米ウェルター級王座決定戦みる。
元WBCウェルター級王者5度防衛したアンドレ・ベルト(米)29歳。戦跡30戦28勝、22KO、2敗。対戦者ヘスス・ソト・カラス (メキシコ)30才。戦跡39戦27勝17KO、8敗3分1無効試合。WBCウェルター級24位にランクされている。8敗はしているが名だたる強豪と多く戦っており、いつも接戦、スピードはないが手数がよく出るタフな戦いを身上としている。ウェルター級戦線はWBAに全勝のエイドリアン・ブローナーが日の出の勢いでいる。WBCには全勝のパウンド・フォー・パウンドと誰もが認めるフロイド・メイウェザー、WBOはパッキャオに勝った全勝ティモシー・ブラッドリー。IBFは試合巧者のサウスポーのデボン・アレキサンダーがいる。
他にファン・ママエル・マルケス。マルコス・マイダナ。アミール、カーン。マニー・パンキャオ。キース・サーマンと多士済々の強豪がひしめく階級である。
ベルトはビクター・オルチスにKO敗して王座陥落。その後下の階級から上がってきたロバート・ゲレロにも敗れてスーパースター候補から脱落して、8ヶ月振りの再起戦にカラスを選んだ。妥当な選択といえる。スピードも無いしパンチ力もさほど無いが粘る。諦めることを知らないタフさが売りの選手で恐さはないからだ。
オッズは3対1でベルト有利と出ていた。アメリカ・テキサス州サンアントニオAT&Tセンターで、著名なリングアナウンサーのジミー・レノンJRの紹介で試合は始まった。
1R. ベルトの出足は好調、速い左ジャブを的確に当ててペースを握ったかにみえたが2分過ぎにカラスのの放った右フック一発で形勢逆転。集中打を浴びてダウン寸前に追い込まれる。
2R. ベルトはL字ガードで体勢を立て直すや右アッパー3発で主導権を取り 返す。
3R. カラス右アッパー3発右フック一発でカラス優勢。4R カラス集中打を決めて一方的にベルトを追いつめる。
5~9R. お互いに足を止めて接近戦で乱打戦となり、一発の力はベルト、手数でカラス一進一退が続く。
10R. ベルトやっとダメージを回復しつつありパンチのスピードも出て強打を振って勝負に出て優勢。ボデーを打たれたカラスはスピードが落ち、パンチの力も急速に失われて疲れが目に見えてくる。
11R. カラスは力を振り絞って勝負にでて打ち合うが1分過ぎ、ベルトのボデーへの強烈なパンチが炸裂し、カラス堪らずダウン、辛うじて立ち上がったところへベルトがここが勝負とばかり打って出るが力みがあり思うように当らない。カラスも手数で対抗し軽いパンチが数多くベルトをとらえ終盤カラスの連打を受けて急速に失速し、体力も消耗が激しく弱る。
12R. お互いに死力を尽くして打ち合うがダメージはベルトに多くベルトの足が揃ったところへカウンターの左フックがショートで襲いベルトはダウン、TKOに破れる。
ベルトはパンチのスピード、踏み込みのスピード、パンチの強さ、機敏さ等攻撃は超一流であるが、攻撃ばかりに気が入っている為に身体を堅くしていることで相手の攻撃を常にまともに受けることが多く、ダメージも深く蓄積していくのである。今までは攻撃力が強い為にそれが防御にもなっていたが、オルチスに敗れたことで弱点が晒され、対戦相手もそこを突くことでベルトの攻撃の優位性を失わせていったのである。このままではベルトの復活は厳しいのではないかと思われる。
8月25日、ロンドンオリッピックでミドル級金メダルを取った村田諒太のプロデビュー戦である。
流石に金メダルの威力、プロモートするのは米トップランク社のボブ・アラムでコーチはイスマエル・サラスで力の入れ方が分かる。
対戦相手は東洋太平洋ミドル級王者柴田明雄、戦跡は29戦21勝9KO、7敗1分31歳で今回はノンタイトル6回戦、契約体重は73kg(ミドル級はリミット72.57kg)27歳の村田は1回足を使って距離をとろうとする相手に対し、オリンピックの時と同様堅いガードでしっかりと顔面及びボデイをカバーし積極的に前に出てロープに追いつめた右ストレートでダウンを奪うと、2回戦意を喪失した相手を追いかけ左アッパーをボデイに右ストレートを顔面に決めて2分24秒でKOに下した。矢張りオリンピック金メダルは伊達ではなくより攻撃的になっていた。
左ジャブも左アッパーのボディーも右ストレートも威力十分で相手に全く隙を与える事なく完勝であった。それにしても6回戦、契約体重という条件を呑んで対戦に応じた柴田選手に拍手を送りたい。
このクラスの王者達。全勝で90%のKO率を誇り防衛戦8戦8KOのゲンナデイ・ゴロフキンを筆頭に「驚異の男」と呼ばれる38歳遅咲きのセルシオ・マルチネス、スーパースター候補であった日の出の勢いポール・ウイリアムスを左フック一撃で失神させた試合から一気にスターダムにのし上がった。他にフリオセザール・チャベスJRも居り強豪揃いのクラスで、体力、スピード、パンチ力と総合的な力量が求められる。欧米人の平均的体格の為か人材が揃う。村田選手の体格で筋肉のつき方がヘビー級の絶対王者ウラジミール。クリチコによく似ており、ストレート主体の点も同じ、
今後一層のスピード、パンチ力、持久力を身につけることが出きればこの難敵揃いのクラスでチャンピオンになるのも夢ではない。
WBAウエルター級暫定王者ディエゴ・チャベス、27歳、アルゼンチン。戦跡22戦全勝18KO無敗。 挑戦者はキース・サーマン、24歳、アメリカ 戦跡21戦全勝20勝18KO、1無効試合。2回目の防衛戦のチャベスは自信満々いつもの通りガードを高くかかげて自慢の強打を振って先制攻撃を仕掛けて3Rまでは主導権を握ってきた。
4Rそれまでも巧みにカウンターを狙って対抗してきたサーマンのカウンターが冴えて
チャペスの攻撃は鈍る。5回サーマンは攻撃に転じて主導権を握る。チャベスは4回の攻撃の際に受けた的確なカウンターの威力に警戒し待ちの体制をとり相手の攻撃に合わせてのカウンター狙いに変わる。6、7、8回とその流れは変らず、前後左右と軽やかにスッテップを踏み相手の攻撃にはガードを固めウィ-ビング、ダッキングも使って躱し的確にパンチを決めるやすぐバックステップ、頭の位置を変えて相手を翻弄、優位に立つや9R2分過ぎ、左アッパーのボデイブローを決めてダウンを奪い、10R早々に追いつめられたチャペスが最後の力を込めて振った右フックにあわせた右フックのカウンターでカウントアウト、KOにしとめた。
サーマンは2008年のオリンピックのアメリカ代表の席をディミトリアス・アントラーゼと争い敗退。すぐにプロに転向し初戦から連続KO勝ちで注目され今日の試合に繋がった。ウェルター級は強豪揃いでWBAはエイドリアン・ブローナー全勝、WBCにフロイド・メィウェザー全勝。 IBFにデボンアレキサンダー。WBOにティモシ-・ブラッドリー全勝。
フロイド・メィウェザーはSフェザー級を皮切りにライト、Sライト、ウエルター、Sウエルターと5階級制覇を果たし、段違いのスピードと、勘が冴えわたり無人の道を行く如く全く危なげなく全勝街道を突っ走っている。スーパースターである。
9月には全勝の若きスターのサウル・アルバレスとの大一番が控えている。ブローナーはメイウエザー2世と呼ばれ極めてよく似たスタイルは顔を見なければメイウエザー見紛う程である。身体能力が抜群メイウエザーをもっと攻撃型にした才能溢れるスーパースター候補である。
パッキャオを下したティモシー・ブラッドリーも全勝で続き、試合運びが巧みで安定攻権を築くデボン・アレクサンダーがいる。同級にはマニー・パッキャオ、フアン、マヌエル・マルケス等強豪がひしめき、全階級の中でももっとも充実しているクラスでもある。
キース・サーマンがこの中に割った入ることができるかどうかが注目されるところであり、ビックマッチをあと数試合こなしたときにメィウェザーと対戦するのが楽しみである。
S・ライト級140ポンドとウェルター級147ポンドの中間143ポンドの体重で闘うノンタイトル戦である。イギリスのキング・カーンと呼ばれるスーパースター候補の元WBA・IBFのSライト級チャンピオン アミール・カーンの再起戦である。
2004年のアテネオリンピックのライト級で17才銀メダルの実績を引っさげてプロ入り、Sライト級の2団体のチャンピオンとして順風満帆の勢いで人気も急上昇、日の出の勢いであった。しかしこの世界では未だ無名に近かったダニー・ガルシアにKO負け、ついレイモンド・ピーターソンにも破れて、この試合が再起戦であった。
攻撃一辺倒であった従来のフレディ・ローチから防御も重視したバージル・ハンター
にコーチを替えてのニューカーンの登場であった。戦跡はアミール・カーン30戦 27勝 内19KO 3敗 26才。一方のフリオ・ディアスは 元IBFライト級チャンピオンで48戦 40勝 29KO 7敗1分 33才でパンチ力もそれ程恐れるまでもない、峠を越した33才で誰もがカーンの楽勝と思われた。
カーンはディアスの主力武器である左フックを警戒して、右の拳をしっかりと顎にあて防備体制を万全にして対戦。出だしは好調に持ち前のスピードで主導権を握ったかに見えたが従来どおりの攻撃優先の戦法である為か身体が固く、受けるパンチはことごとくまともでダメージが大きい、更に左ジャブを出す際に右のガードが下がり、2ラウンドにディアスに狙われて、左フックをまともに受け4ランドにはその左フックでダウンした。
ダメージは深く、ディアスのスピードと追い足のなさに辛うじてクリンチで逃れた。
その後一進一退が続くがやゝカーンの攻撃が多いラウンドが続き優勢にみえたが、よく見ると攻撃していても的中率が悪く威力もなかった為に終盤ディアスのもう反撃に合いダウン寸前まで追い込まれたが足を使って辛うじて逃げ切った。
スコアは3者共に接戦の採点であった。カーンは自慢の速射砲のような左ジャブを連続して繰り出し見た目には派手に映るが的中率が極めて悪く、スピード優先のために打ちになり相手にダメージを与えるに至らない。カーンは過去に強打のライト級マルコス・マイダナと対戦し左フック一発を右ボディに見舞いダウンさせたことに自分のパンチ力を誤認しているのかも知れない。
自分のパンチが当る場所での連続攻撃は相手にとっても射程距離にあることでもあり、カーンのパンチと同時にまたは打ち終りに計算した攻撃を受ける危険が多い。しかし自分のスピードに自信を過度に持つ為か相手の反撃を考慮に入れずパンチを繰り出すためカウンターを受ける確率が高くなるのである。
ディアスは自他の戦力を冷静に把握してカーンの左ジャブを出す際に右ガードが下がることを見極めて左フックのカウンターを狙い成功していたが、たたみかける程の力はなく逃げ切らてしまった。
カーンは 1.打たれ弱いし打たれ方が悪い 2.後半のスタミナ切れが激しい
3.打ち急いでパンチ力を滅殺させていて 4.的中率が極めて悪い
このままではスーパースターはおろかチャンピオンの返り咲きも困難かもしれないと思われた。
チャンピオン エイドリアン・ブローナー23歳、24戦全勝21KO、無敵。
挑戦者元WBC Sライト級チャンピオン ギャビン・リース 32歳、39戦
37勝18KO 1敗1分。
メイウェザーの再来といわれる天才ブローナーは1回目の防衛戦の相手に1階級上の元チャンピオン ギャビン・リースを選んだ。過去1敗しかしていないリースに対して4回1回目のダウンを奪い、5回に2度目のダウンを奪うと後、集中打を浴びせてKOに下し力の差をまざまざと示した。
メイウェザーにならい、L字ガードで対抗、時々覗きみスタイルで防御体勢を敷き、上体をやや後にそらして対応する。
この選手の優れているところは打つ前に常に脱力しており、打つときも力まないところで、スピードだけで打っており、打つに従って徐々にスピードをあげ力も入れて行くところである。脱力している為に相手の攻撃に対しても受け流すことが出来る。
その才能は底知れぬところがあり、やがてあと3階級を制覇してSウェルターまで行くことであろう。Sライトにはアミール・カーンが居り、カーンをKOしたダニー・ガルシアが全勝で控えており、ウェルターにはフロイド・メイウェザーとテイモシー・ブラットリーが共に全勝で今日あるが、あと2~3年精進すれば中量級のスーパースターになることであろう。唯一の難点は体重コントロールに失敗することなど問題児と言われることが懸念の材料である。
WBOフェザー級世界戦2011年4月16日 第一戦が行われた。
チャンピオンはプエリトリコの英雄ファンマことファン・マヌエル・ロペス。
戦跡は30戦全勝、28KO無敗、KO率93%、27歳。
挑戦者はメキシコのオルランド・サリド、戦跡は50戦36勝、24KO、11敗2分、30歳。誰が見てもファンマの勝ちは当然とみてオッズは12:1であったが8回KO敗で初の1敗となった。
今回再戦オッズは13:8でファンマであったが今回も5回ダウンを奪うも10回KOで敗れた。
原因はKO率93%を誇るハードパンチで悉く倒してきて自信満々、今まで自分のパンチ力を恐れて相手が思い切って打ってこないことで、攻撃が最大の防御となっていた。ガードは高いが攻撃の際ガードが下がり、攻撃優先の為に前がかりとなり相手のパンチが常にカウンターとなってまともに受けることが多く、攻撃の強い相手に弱点をさらす結果となった。
今回ファンマは足を使うアウトボクシングに作戦を変更して臨んだが、相手の攻撃力を躱す目的がみえ、前回の敗戦で自信を喪失した為、相手がどんどん踏み込んできて終始劣勢となったことから結局前回同様打ち合いに応じて敗れた。
ボクシングも心的傾向の強い競技で自信喪失の結果、自己を見失えばこのような結果を招く事の見本のような試合であった。ファンマの復活は今後見込めないと思う。一方サリドもS.バンタム級のギジェルモ・リゴンド-、ノニト・ドネア、Sフェザー級のエイドリアン・ブローナー、フェザー級のユリオルキス・ガンボア等と対戦すれば勝ち目は薄いとみる。
前WBA・IBF、Sライト級チャンピオン アミール・カーン(英)パキスタン出身28戦26勝18KO 2級でキング・カーンと呼ばれ母国イギリスを始めとして絶大なる人気を持ち次世代のスーパースターとも目されている。25才。 対戦相手はWBC、Sライト級チャンピオン ダニーガルシア(米)プエルトリコ出身23戦全勝14KO 24歳で戦前のオッズは4対1でカーンと、まず妥当なものであった。 初回カーンは自慢のスピード豊かなパンチを繰り出し主導権を握ったが、2回スピードに慣れてきたガルシアは戦前の作戦か相手のパンチをよけずに同時に多少遅れても自分も打つという戦法で対抗した。1990年代にバンタム級からフェザー級で長く活躍した強豪ウィルフレッド・バスケス(シニア)を思い起こさせるような戦い振りであった。 カーンは数試合前に戦って一躍名を挙げた90%を越すKO率の強打者、マルコス・マイダナと対戦し序盤で右フックのボディーブローでダウンを奪って判定勝ちを収めたものの後半マイダナの猛反撃にあいKO寸前に追い詰められた。マイダナに序盤のダウンのダメージが無ければKOされていたであろう。 しかしカーンはこの戦いで自分のパンチに自身を持ったことから打ち合いになっても充分勝てると判断して戦いに挑んだ。 3回、カーンの右フックに合わせて放ったガルシアの左フックー閃カーンはダウン、深いダメージを負ったカーンは4回一方的に打たれてTKOに敗れたカーンのパンチは速いが、その分相手に与えるパンチ力は自分の思う程強くはなく、乱戦になった場合今回のようにカウンターを狙われた場合には十分に有りうることではあったのである。 これで今後のカーンのスーパースターへの道は極めて厳しくなったといわざるを得ない。 ガルシアは前戦でWBC、Sフェザー級チャンピオンであった歴戦の勇エリック・モラレスをKOしてチャンピオンとなり、ついでカーンを破って一気に知名度を上げたが、この戦い振りは危険が多く、カーンよりもパンチ力がある又は速いジャブを持った相手には苦戦を免れないと思われる。